建設業経理の1年目|覚える仕事と順番のロードマップ

建設業経理の最初の年に覚える順番を、毎日・毎月・年に一度の3段階で示したロードマップ図とクレーンの前でチェックリストを持つ女性 事業とお金の管理
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おけい
おけい
こんにちは、内装下地の会社で経理・総務をしているおけいです。経理は私一人で担当していて、7年目になります。経理を始めたころは相談できる人がいなくて、その都度自分で調べていました。そこで今回は、「今の私が1年目の人に渡すなら、この順番で覚える」というロードマップを表にしました。各業務のくわしいやり方は、それぞれの記事に案内します。

🔍 先に結論

  • 1年目は「毎日の仕事 → 毎月の締め → 年に1回の仕事」の順で覚えます
  • 建設業の毎月の締めの中心は、工事ごとの原価と出来高請求です。ここを2〜3か月目で固めます
  • 月次が毎月合っていれば、決算は「12か月分の確認」になり、怖くなくなります
  • 年に1回の仕事は全部覚えなくて大丈夫。その月が来る前の月に予習すれば間に合います

建設業経理で覚える順番は「毎日→毎月→年1回」

順番の理由はシンプルです。毎月の締めは、毎日の入力を積み上げたものです。決算は、その毎月の締めを12か月分まとめたものです。

ですから、毎日の入力があやふやなまま決算の勉強をしても、数字が合いません。下から順に積むほうが、結局は早く覚えられます。

建設業ならではの点は、毎月の締めの中心に「工事ごとの原価」と「出来高請求」があることです。一般の会社の経理の本には、ここがほとんど出てきません。だからこそ、2〜3か月目に時間をかけて固めます。

1年目のロードマップ(早見表)

いつ何を覚えるゴールくわしい記事
1か月目入金の確認・領収書と現場経費・毎日の仕訳その日の分をその日に入れられる振込・入金確認の実務/現場の経費精算
2〜3か月目外注先への支払い・出来高請求と入金の照合・工事ごとの原価工事ごとに「売上・原価」が言える外注先への支払い管理/出来高払いの仕訳/工事台帳
4〜6か月目月次資料の作成・会計ソフトと原価ソフトの照合月の数字を社長に説明できる月次試算表の作り方
その月の前月決算・源泉所得税・算定基礎・年末調整など年1回の仕事期限の1か月前に準備を始められる年間スケジュール
入金・経費・仕訳から、支払い・出来高請求・原価、月次資料、年に一度の仕事へと階段状に進む経理の順番の図と、横に立つスーツ姿の女性

ここからは、時期ごとに「何を・なぜこの時期に」を短く説明します。例として、私の会社(内装下地の専門工事会社・10月末決算)の流れを入れています。

1か月目|毎日の仕事を「その日のうちに」回す

最初の1か月のゴールは、その日に起きたお金の動きを、その日のうちに記録できることです。ためると、月末に何がなんだかわからなくなります。

入金は、入金予定日に確認する

うちの会社では、元請けからの入金を法人のネットバンキングで、入金予定日に必ず確認しています。回数は月5回ほどです。銀行の使い分けや確認のしかたは「信用金庫とメガバンクで回す振込・入金確認の実務」にまとめています。

領収書と現場の経費を集める

現場で立て替えた経費の領収書は、誰がいつまでに出すかを決めておかないと、月末に集まりません。提出のルールと勘定科目は「現場の経費精算ルールと仕訳」を見てください。

仕訳は「どの工事の分か」をつけて入れる

建設業の仕訳は、金額と科目だけでは足りません。どの工事の費用かを、入力するときに決めておく必要があります。うちの会社では、工事番号を「元請けごと+枝番」でつけています。完成工事高・未成工事支出金など、建設業だけの科目は「建設業の経理の特徴5つ」で先にざっと見ておくと、入力で迷いにくくなります。

じむねこ
じむねこ
1か月目は「工事番号のない伝票をつくらない」だけ意識すれば十分だよ!これが2か月目からの原価集計の土台になるんだ^^

2〜3か月目|原価と出来高請求で「毎月の締め」の芯を固める

ここが1年目でいちばん大事な時期です。支払い・請求・原価の3つを、1か月の流れとして2〜3周まわして覚えます。1周目は手順を追うだけで精一杯でも、2周目で「なぜこの順番か」が見えてきます。

外注先への支払い|締め日と支払日を1周する

うちの会社の支払いは、月末締め・翌月末払いです。協力会社の約半分は一人親方で、インボイス(適格請求書)の登録をしていない支払先も多くあります。登録していない相手からの仕入れは、2026年10月1日から2年間、仕入れにかかる消費税の70%を控除できる経過措置で計算します。

請求書のチェックのしかたと仕訳の流れは「外注先への支払い管理」、経過措置の仕訳例は「外注費の仕訳とインボイス経過措置」にあります。

出来高請求|請求した額と入金額を照らし合わせる

うちの会社は、元請けへの請求がほぼ全現場で出来高請求です。工事の進み具合に合わせて請求するので、同じ現場でも入金額が毎月ちがいます。入金を見たら、その月に請求した金額と1件ずつ照らし合わせます。

出来高で受け取ったお金の仕訳は「中間金・出来高払いの仕訳」、請求書に付ける明細の作り方は「出来高明細書の作り方」で解説しています。

工事ごとの原価|材料・労務・外注・経費に分けて集める

1か月目につけた工事番号を使って、費用を工事ごとに集めます。分け方は材料費・労務費・外注費・経費の4つです。迷いやすいのは、材料を元請けから支給されて手間だけ請ける工事です。うちの会社では、この手間請けも「外注費」に入れています。

集めた原価を1現場ずつ並べるのが工事台帳です。書き方は「工事台帳の書き方と管理方法」、まだ完成していない工事の原価をためておく科目は「未成工事支出金とは」を読んでください。

せきさんくん
せきさんくん
出来高請求をした金額と、売上に計上する金額は、別に考えるものだ!どの工事をいつ売上にするかは、会社のルールを先に確認しておこう!

この「毎日・毎月の流れ」を1冊で通して読みたい人には、私が書いたKindle本もあります。

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4〜6か月目|月次資料と「2つのソフトの照合」まで進む

支払い・請求・原価が回り始めたら、次は1か月の数字をまとめて、社長に見せられる形にする段階です。

うちの会社の月次資料は、工事別の原価台帳・会社全体の損益・番頭別の損益・会社と番頭の月の目標の4つです。確定するのは翌月の中旬で、毎月のミーティングで画面を共有して報告しています。月次の試算表の見方は「建設業の月次試算表の作り方・見方」が入口になります。

もう1つ、この時期に覚えたいのが会計ソフトと原価ソフトの照合です。うちの会社は、会計が弥生、工事ごとの原価が「建設原価ビルダー5」です。この2つの数字を毎月突き合わせ、税理士に出す前にも必ず照合しています。片方だけ直して、もう片方を直し忘れる、というずれを月ごとに見つけるためです。

以前のうちの会社はどんぶり勘定で、赤字に気づくのは工事が終わってからでした。今は月次資料があるので、工事の途中で赤字に気づけます。4〜6か月目でこの形まで来れば、1年目の山はほぼ越えています。

けいりん
けいりん
照合でずれが出ても大丈夫!1か月分だけなら、探す範囲はせまいよ。ずれを見つけたら、その月のうちに直しておこうね^^

年に1回の仕事は「その月の前の月」に予習する

年1回の仕事は、1年目に全部を頭に入れなくて大丈夫です。来月に何があるかだけを知っておき、前の月に手順を読む。これで間に合います。毎年ある主な仕事を、うちの会社のやり方と一緒に並べました。

時期仕事うちの会社では・補足予習する記事
1月20日まで源泉所得税(7〜12月分)の納付納期の特例を受けている会社だけ。半年分をまとめて納める納期の特例
7月10日まで源泉所得税(1〜6月分・納期の特例の会社)の納付・算定基礎届算定基礎届は、加入している建設国保の組合の相談会で作ってもらう算定基礎の結果と給与明細
10月初旬〜決算準備(10月末決算)棚卸は3人で約2日。税理士へは11月中旬に資料を渡す決算準備の逆算スケジュール
11〜12月年末調整計算はほぼ税理士にお任せ。社員の書類集めは社内で行う年末調整と源泉所得税
決算後4か月以内決算変更届私が作成・申請している決算変更届はいつまで?
人が入るたび社会保険の入社手続き健康保険が建設国保なので、組合の支部への手続きもある建設国保の入社手続き

源泉所得税の納期の特例は、給与を受け取る人が常時10人未満の会社が、税務署に申請して使う仕組みです。特例を使わない会社は、給与を払った月の翌月10日が納付期限になります。期限が土日祝日にあたる年は翌平日になるので、その年のカレンダーで確かめてください。

源泉所得税の納付、算定基礎届、決算準備、年末調整、決算変更届、社会保険の入社手続きの6つを前の月に予習する、本を持った女性のイラスト

月次が合っていれば、決算は怖くない

私は入社して最初の決算で、未成工事支出金の残高が合わず、半日かけて帳簿を追いかけました。決算で数字が合わないと、12か月分のどこにずれがあるのかを探すことになります。

2〜3か月目で工事ごとの原価を固め、4〜6か月目で毎月の照合まで進んでいれば、決算は「12か月分の確認」です。うちの会社では、期末に仕掛かり中の工事が毎年3〜5件あります。この工事の原価を未成工事支出金に残す作業も、毎月の工事台帳が合っていれば落ち着いてできます。決算前の見直し方は「未成工事支出金の決算見直し」にあります。

印刷して使う|1年目チェックリスト

できるようになったものから印をつけていきましょう。上から順に埋まっていくのが理想です。

1か月目

  • □ 入金予定日に、ネットバンキングで入金を確認できる
  • □ 現場経費の提出ルール(誰が・いつまでに)を知っている
  • □ 工事番号をつけて仕訳を入れられる

2〜3か月目

  • □ 外注先の締め日・支払日を説明できる
  • □ インボイス未登録の支払先がどこか、一覧で言える
  • □ 出来高請求の額と入金額を1件ずつ照らし合わせられる
  • □ 費用を材料費・労務費・外注費・経費に分けられる
  • □ 工事台帳で、1現場の売上と原価を言える

4〜6か月目

  • □ 月次の試算表を出して、売上と粗利を説明できる
  • □ 会計ソフトと原価ソフトの数字を照合できる

年1回の仕事

  • □ 自社の決算月と、決算準備を始める月を知っている
  • □ 来月にある年1回の仕事を、前の月に予習している

まとめ:まずは「工事番号のない伝票をつくらない」から

建設業経理の1年目は、次の順で覚えます。

  1. 1か月目:入金確認・経費・仕訳を、その日のうちに
  2. 2〜3か月目:支払い・出来高請求・工事ごとの原価を2〜3周
  3. 4〜6か月目:月次資料と、会計ソフト・原価ソフトの照合
  4. 年1回の仕事:その月の前の月に予習

順番の土台になるのは、1か月目の工事番号です。どの工事の費用かがわかる伝票さえそろっていれば、原価も月次も決算も、あとから積み上げられます。

このページのチェックリストを印刷して、机の見える場所に貼っておいてください。来月どんな年1回の仕事があるかは、年間スケジュールの記事で月ごとに確認できます。

\ 1月〜12月の期限と、決算・許可更新まで月別に一覧 /

建設業経理の年間スケジュールを見る

以上、建設業7年目のおけいでした!

※この記事は2026年10月時点の制度(国税庁・日本年金機構・建設業法)をもとにしています。期限や控除の割合は改正されることがあるので、最新の情報は各機関の案内で確認してください。