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建設業では、工事途中に代金を受け取る方法として「中間金」と「出来高払い」の2種類があります。言葉が混用されることも多いですが、本来は異なる概念です。
中間金は契約書であらかじめ決めたタイミング(例:上棟時・工事進捗50%時)に受け取る代金です。出来高払いは実際の工事進捗率に応じて算出した金額を受け取ります。どちらも「工事途中のお金」ですが、進捗率と連動しているかどうかが違います。
ただし、収益認識基準の適用によって処理が変わる場合もあるため、会社の規模や方針に合わせた対応が必要です。
この記事でわかること
- 中間金と出来高払いの違い
- 中間金受取時・工事完成時の仕訳(完成基準)
- 工事進行基準で、工事の進み具合から売上を計算する場合の仕訳例
- 収益認識基準(進行基準)を適用する場合の処理
🔍 先に結論
- 中間金は受け取っても売上ではなく「未成工事受入金」(負債)で処理する
- 完成・引渡しのタイミングで完成工事高へ振替える
- 消費税も原則引渡し時に課税(工事進行基準を適用する場合は別)
- 入金管理は工事台帳とセットで行うと漏れがなくなる
中間金とは
中間金とは、工事が完成する前の特定時点(例:上棟時・工事進捗率50%時など)に発注者から受け取る代金の一部です。
| 受取タイミング | 名称 | 勘定科目 |
|---|---|---|
| 工事着工時・前 | 着手金 | 未成工事受入金 |
| 工事進行中 | 中間金 | 未成工事受入金 |
| 工事完成・引き渡し後 | 完成金(最終金) | 完成工事高 |

中間金と出来高払いの違い
中間金と出来高払いは混同されやすいですが、本来は別の概念です。
| 中間金 | 出来高払い | |
|---|---|---|
| 受取の基準 | 契約で決めたタイミング | 実際の工事進捗率 |
| 進捗率との関係 | 進捗率と一致しないことも | 進捗率に連動して算出 |
| 売上の計上基準 | 完成基準・進行基準のどちらもありうる | 完成基準・進行基準のどちらもありうる |
| 受取時の仕訳 | 完成基準なら未成工事受入金(負債) | 完成基準なら未成工事受入金(負債)/進行基準でも、受け取った額がそのまま売上になるわけではない(売上は進み具合で計算し、差額は未成工事受入金か完成工事未収入金で調整) |
実務では「出来高50%到達時に中間請求する」など、結果的に中間金=出来高金額になるケースもあります。ただし、契約で金額が決まっている場合は「中間金」、進捗率に基づいて計算する場合は「出来高払い」として区別します。
中間金受取時の仕訳
中間金を受け取った時点では、工事はまだ完成していないため「未成工事受入金」(負債)に計上します。
仕訳例:中間金800万円(税込880万円)を受け取った場合

| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 普通預金 | 8,800,000円 | 未成工事受入金 | 8,800,000円 |
工事完成・引き渡し時の仕訳
工事完成時に、着手金・中間金合計を完成工事高へ振り替え、残金を受け取ります。
仕訳例:工事合計5,000万円(税抜)、着手金500万円・中間金800万円(いずれも税抜)受取済み、残金3,700万円(税抜)の場合
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 普通預金(残金・税込) | 40,700,000円 | 完成工事高 | 50,000,000円 |
| 未成工事受入金(着手金・税込) | 5,500,000円 | 仮受消費税 | 5,000,000円 |
| 未成工事受入金(中間金・税込) | 8,800,000円 |

収益認識基準(進行基準)を適用する場合
進行基準では、工事の進み具合(原価比例法など)で毎決算期に売上を計算します。請求や入金の額がそのまま売上になるわけではありません。ただし、出来高払いは代金の受け取り方で、売上の計上基準とは別です。出来高払いの工事でも完成基準で処理していれば、受け取ったお金は未成工事受入金になります。
| 基準 | 収益認識タイミング | 対象 |
|---|---|---|
| 工事完成基準 | 工事完成・引き渡し時 | 中小の建設会社が多く採用 |
| 工事進行基準 | 工事の進み具合に応じて毎期 | 長期大規模工事(法人税で強制)。それ以外も、着手した期から工事ごとに選べる |
工事進行基準で、工事の進み具合から売上を計算する場合の仕訳例
例)請負金額1,000万円(消費税別)、当期末の工事の進み具合60%(原価比例法などで計算)=当期の売上600万円。期末時点ではまだ請求していない場合
① 決算時(進み具合で計算した売上を計上)
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 完成工事未収入金 | 6,600,000円 | 完成工事高 | 6,000,000円 |
| 仮受消費税 | 600,000円 |
② 翌期に請求し、入金されたとき
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 普通預金 | 6,600,000円 | 完成工事未収入金 | 6,600,000円 |
完成基準との大きな違い:進行基準では、請求や入金の額ではなく、工事の進み具合で計算した額を決算で完成工事高(売上)にします。先に請求・入金していた分はいったん未成工事受入金にしておき、決算で売上の分を振り替えます。請求の方が多ければ差額は未成工事受入金に残し、売上の方が多ければ差額を完成工事未収入金にします。
ほとんどの中小建設会社では工事完成基準を採用していますが、請負金額10億円以上などの長期大規模工事は、法人税の計算では進行基準が強制です。それ以外の工事で進行基準を使うなら着手した期から続けることが条件なので、使うかどうかは顧問税理士に確認することをおすすめします。
中間金を受け取ったときの消費税処理
中間金を受け取った時点では、工事は完成していません。そのため消費税の課税時期(納税義務の確定)は、原則として工事の引き渡し時点になります。
ただし、中間金を受け取った時点で「前受金(未成工事受入金)」として計上し、消費税の仮受処理は引き渡し時にまとめて行うのが実務では一般的です。
| タイミング | 借方 | 貸方 | 消費税 |
|---|---|---|---|
| 中間金受取時 | 現金・預金 1,100,000 | 未成工事受入金 1,100,000 | 仮処理(区分記載) |
| 工事引き渡し時 | 未成工事受入金 1,100,000 | 完成工事高 1,000,000 / 仮受消費税 100,000 | 確定計上 |

複数回中間金を受け取った場合の処理
大型工事では着手金・中間金を複数回受け取ることもあります。その場合でも、すべて「未成工事受入金」として積み上げていきます。
| 受取タイミング | 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
|---|---|---|---|---|
| 着手金受取 | 現金・預金 | 550,000 | 未成工事受入金 | 550,000 |
| 中間金①受取 | 現金・預金 | 1,100,000 | 未成工事受入金 | 1,100,000 |
| 中間金②受取 | 現金・預金 | 1,100,000 | 未成工事受入金 | 1,100,000 |
| 引き渡し時 | 未成工事受入金 | 2,750,000 | 完成工事高(税抜)+仮受消費税 | 2,750,000 |
引き渡し時に未成工事受入金の残高をすべて完成工事高に振り替え、残金があれば完成工事未収入金で計上します。
実務上のよくある間違いと注意点
中間金の仕訳で現場でよく見られる間違いを確認しておきましょう。
- 売上に計上してしまう:完成基準では、工事が終わる前に受け取ったお金は売上になりません。「未成工事受入金」で処理します(進行基準の工事や、部分完成に当たる工事の引き渡した部分は別。迷ったら顧問税理士に確認)。
- 消費税を受取時に全額計上してしまう:原則は引き渡し時の計上です。受取時に消費税を確定計上すると過早申告になる可能性があります。
- 工事ごとに残高管理していない:複数工事を一括で管理すると引き渡し時の振り替えが混乱します。工事台帳で工事別に管理しましょう。

中間金の回収管理と未収入金の処理
大型工事では着手金・中間金を計画通りに受け取れないケースがあります。発注者の都合で中間金の支払いが遅延した場合でも、工事は進めなければならないことが多く、資金繰りに影響します。
中間金の受取予定日を工事台帳に記録し、入金状況を定期的に確認する習慣をつけましょう。入金遅延が発生した場合は、工事台帳に遅延を記録して督促フローに入ります。
入金の確認を通帳やネットバンキングの画面で1件ずつ見ているなら、銀行口座と連携して入出金の明細を自動で取り込める会計ソフトを使うと、確認の手間を減らせます。弥生会計 Nextは金融機関との連携や、取引データの自動取得・自動仕訳に対応した法人向けのクラウド会計ソフトです。
中間金が受け取れていない状態で工事が完成した場合、引き渡し後の残金請求と合わせて「完成工事未収入金」として一括管理することになります。この場合、完成工事未収入金の金額が大きくなりやすいため、回収管理を徹底することが重要です。
建設業では完成・引き渡し後の残金回収が遅れると、資金繰りに直接影響します。「引き渡し後いつまでに請求・回収するか」を社内ルールとして決めておくことが重要です。
中間金の管理は工事台帳と会計帳簿の両方で行うことが重要です。会計帳簿の「未成工事受入金」の残高と、工事台帳の「受取金額累計」が常に一致しているかを月次で確認する習慣をつけましょう。
大型工事では中間金の受取スケジュールが工事の資金繰りに直結します。中間金の入金予定日を資金繰り計画に反映させ、入金遅延が発生した場合は早期に発注者と確認することが、経営安定の観点から重要です。
中間金の適切な管理は建設業の資金繰り安定に欠かせません。受取時から引き渡し時まで「未成工事受入金」として正確に管理し、工事完成時に漏れなく完成工事高へ振り替えることが建設業経理の基本中の基本です。
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まとめ:中間金は未成工事受入金で処理
- 中間金と出来高払いは別の概念:契約で決めたタイミング vs 進捗率に応じた受取
- 中間金受取時(完成基準):未成工事受入金(負債)に計上
- 工事完成時(完成基準):未成工事受入金 → 完成工事高へ振り替え
- 進行基準:請求や入金の額ではなく、工事の進み具合で計算した額を完成工事高(売上)に計上(出来高払いでも完成基準なら未成工事受入金)
- 進行基準を採用する場合:税理士・会計士に相談して正しい処理を確認する

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