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建設業の仕訳で迷いやすいのが、工事原価の勘定科目の使い分けです。
「これは材料費?経費?」「外注費と労務費はどう違う?」という疑問は、経理担当なら誰もが一度は悩むポイントです。
この記事では、工事原価の4区分と代表的な勘定科目を一覧表でまとめます。手元に置いておける「科目早見表」としてぜひ活用してください。

🔍 先に結論

| 勘定科目 | 内容・具体例 |
|---|---|
| 材料費 | コンクリート・鉄筋・木材・電線・配管材など工事に直接使う材料 |
| 材料貯蔵品 | 購入済みだが未使用の材料(資産科目) |


| 勘定科目 | 内容・具体例 |
|---|---|
| 労務費 | 現場作業員(自社雇用)の賃金・給与 |
| 賞与 | 現場作業員への賞与 |
| 法定福利費(工事原価) | 現場作業員にかかる社会保険料(会社負担分) |
| 勘定科目 | 内容・具体例 |
|---|---|
| 外注費 | 一人親方・下請け会社への工事発注費用 |
外注費は建設業の工事原価の中で最も大きな割合を占めることが多い科目です。インボイス制度への対応(適格請求書の確認)も必須です。
| 勘定科目 | 内容・具体例 |
|---|---|
| 仮設費 | 足場・仮囲い・現場事務所の設置費用 |
| 動力・光熱・水道費 | 現場の電気・ガス・水道費用 |
| 機械経費 | 重機・工具のリース・修繕費用 |
| 設計費 | 工事設計・図面作成費用 |
| 運搬費 | 材料・機械の現場への運搬費用 |
| 現場交通費 | 現場への通勤・移動費用 |
| 保険料(工事) | 工事保険・建設工事保険の保険料 |
| 雑費(工事) | 上記に含まれないその他の現場費用 |

「これは工事原価?販管費?」と迷った時は、次の基準で判断します。
| 判断基準 | 工事原価 | 販管費 |
|---|---|---|
| 発生場所 | 現場・工事に関連 | 本社・営業・管理部門 |
| 対象 | 特定工事に紐づく費用 | 会社全体にかかる費用 |
| 例 | 現場の電気代・足場費用 | 本社の電気代・役員報酬 |

| 費用内容 | 分類 | 理由 |
|---|---|---|
| 現場作業員の通勤手当 | 工事原価(労務費) | 現場従事者に関する費用 |
| 事務スタッフの通勤手当 | 販管費 | 本社・管理部門の費用 |
| 現場監督の給与 | 工事原価(労務費)または経費 | 工事に従事している場合は工事原価 |
| 社長・役員の報酬 | 販管費 | 会社全体の管理費用 |
| 工事保険料 | 工事原価(経費) | 特定工事に紐づく保険 |

4つの区分(材料費・労務費・外注費・経費)それぞれについて、具体的な仕訳例を確認しましょう。
| ケース | 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|---|
| 資材購入時(現場投入) | 未成工事支出金(材料費) | 220,000 | 現金・預金 | 220,000 |
| 資材購入時(在庫保管) | 材料貯蔵品 | 220,000 | 現金・預金 | 220,000 |
| 在庫から現場に投入 | 未成工事支出金(材料費) | 150,000 | 材料貯蔵品 | 150,000 |

| ケース | 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|---|
| 外注業者への支払い | 未成工事支出金(外注費) | 330,000 | 現金・預金 | 330,000 |
| インボイス未登録業者への支払い | 未成工事支出金(外注費) | 300,000(仕入税額控除は制限あり) | 現金・預金 | 330,000 |
| ケース | 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|---|
| 現場の電気・水道代 | 未成工事支出金(経費) | 15,000 | 現金・預金 | 15,000 |
| 現場レンタル機器代 | 未成工事支出金(経費) | 55,000 | 現金・預金 | 55,000 |
| 工事保険料 | 未成工事支出金(経費) | 8,000 | 現金・預金 | 8,000 |

建設業では工事ごとに原価を管理する「個別原価計算」が基本です。会計ソフトで補助科目(工事コード)を設定することで、工事別の原価を把握できます。


Q:現場監督の給与はどこに入れる?
A:現場専任の監督は「労務費(工事原価)」、複数工事を兼務する監督は「労務費(工事原価)+給与手当(販管費)」に按分します。専任か兼務かを確認して処理しましょう。
Q:現場の駐車場代は工事原価?
A:現場作業員が使用する駐車場代は「工事原価(経費)」、本社スタッフの駐車場代は「販管費」です。現場の付随費用かどうかで判断します。
Q:現場で使う工具・小道具の費用は?
A:1回の購入金額が10万円未満の工具・消耗品は「工事原価(経費・消耗品費)」として計上します。10万円以上で耐用年数が1年以上の場合は固定資産(減価償却)で処理します。
Q:現場と本社の電話代はどう分ける?
A:現場専用の電話(携帯・固定)は「工事原価(経費・通信費)」、本社の電話は「販管費(通信費)」です。共用の場合は使用実態に応じて按分します。
工事原価の勘定科目を正確に設定することは、個別原価計算の基礎です。材料費・労務費・外注費・経費の4区分を明確に理解し、各費用を適切な科目に計上することで、工事ごとの原価を正確に把握できます。
勘定科目の設定で迷ったときの判断基準は「この費用は特定の工事に直接かかった費用か?」です。特定の工事に直接かかった費用は工事原価、複数工事や全社に関わる費用は販管費と考えると整理しやすくなります。
工事原価の勘定科目管理を徹底することで、工事別の損益が明確になり、どの工事が利益を稼いでいるか・どの工事で損失が出ているかが一目でわかります。この情報が経営改善の出発点になります。
工事原価の勘定科目を正確に設定・管理することは、建設業経理の根幹です。迷ったときは「この費用は特定の工事に直接かかったか」を判断基準にすれば、ほとんどのケースで正しく分類できます。
科目に迷ったら「現場に紐づく費用か」を判断の出発点にしてみてください。

建設業の工事原価管理・勘定科目の設定を効率化したい方には、弥生会計 Nextがおすすめです。