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建設業の経理において、工事原価を正確に計算することは利益管理の根幹です。
しかし「どの費用をどう集計すればいいのか」「按分の方法が分からない」という声をよく聞きます。
私も最初は工事台帳と帳簿を突き合わせる作業に追われ、月次の原価集計に何日もかかっていました。計算の流れを理解すれば、作業効率は格段に上がります。
🔍 先に結論



まず、受注した工事ごとに工事番号(工事コード)を割り振ります。
例:2026年受注のA建設の事務所新築工事 → 工事番号「2026-001」
すべての費用にこの工事番号を紐づけることが、工事別原価計算の出発点です。
特定の工事にのみかかる費用(直接費)を、工事番号ごとに集計します。
| 費用区分 | 集計方法 |
|---|---|
| 材料費 | 工事への出庫記録から集計 |
| 労務費(直接) | 作業員の工数記録から集計 |
| 外注費 | 工事ごとの発注書・請求書から集計 |
| 直接経費 | 工事に紐づく経費伝票から集計 |

複数の工事にまたがる費用(間接費)は、合理的な基準で各工事に按分します。
代表的な按分基準:
| 按分基準 | 計算式 | 適した費用 |
|---|---|---|
| 工事金額比率 | 各工事金額 ÷ 全工事合計金額 | 一般管理的な間接費 |
| 工数比率 | 各工事の工数 ÷ 全工事合計工数 | 労務関連の間接費 |
| 材料費比率 | 各工事材料費 ÷ 全工事材料費合計 | 材料関連の間接費 |

STEP 2・3で集計した費用を工事ごとにまとめて「工事別原価計算書(工事台帳)」を作成します。
| 項目 | 2026-001 A工事 | 2026-002 B工事 |
|---|---|---|
| 材料費 | 3,000,000円 | 1,500,000円 |
| 労務費 | 2,000,000円 | 800,000円 |
| 外注費 | 5,000,000円 | 2,000,000円 |
| 経費 | 500,000円 | 200,000円 |
| 工事原価合計 | 10,500,000円 | 4,500,000円 |
| 完成工事高 | 13,000,000円 | 5,500,000円 |
| 工事利益 | 2,500,000円 | 1,000,000円 |

| 項目 | 計算式 |
|---|---|
| 工事原価 | 材料費 + 労務費 + 外注費 + 経費 |
| 完成工事総利益 | 完成工事高 ー 完成工事原価 |
| 工事原価率 | 完成工事原価 ÷ 完成工事高 × 100 |
工事原価率が高いほど利益率が低いことを意味します。業界平均(建設業は原価率80〜90%程度が目安)と比較して、自社の収益性を確認しましょう。


実務で工事原価の計算をするとき、以下のような間違いが多く見られます。自分のチェックリストとして活用してください。

原価管理は「正確さ」と「タイムリーさ」のバランスが重要です。精緻な管理を目指すあまり月次の集計が遅れては意味がありません。
私が実務で取り組んでいる効率化の工夫:


工事原価計算は「数字を出すこと」が目的ではなく、「経営判断に役立てること」が本来の目的です。計算した工事原価をどのように活用するか、実務的な視点で解説します。
工事完了後は「見積り原価 vs 実績原価」の比較分析を必ず行いましょう。どの費用区分でオーバーしたかを分析することで、次回の見積り精度が向上します。特に外注費と材料費は見積りとの差が出やすい項目です。
また、複数の工事の原価データを蓄積することで、「この種の工事では材料費は請負金額の◯%が標準」「この外注業者は品質は良いが価格が高め」といった判断基準が経験として積み上がっていきます。
工事原価計算の結果を経営者・現場担当者・経理担当者が同じ数字を見て議論する場を月次で作ることが、会社全体の原価意識向上につながります。経理が単独で管理するのではなく、チームで共有する仕組みが理想です。
工事原価の計算は「正確さ」と「スピード」の両立が求められます。月末に時間をかけて精緻な計算をするだけでなく、月中から工事別に費用を積み上げておくことで、月次決算のタイムリーな作成が可能になります。
工事原価計算のスキルを高めることは、建設業経理担当者としての市場価値を高めることにもつながります。建設業経理士の資格取得と合わせて、実務での経験を積み重ねることで、専門性の高いスペシャリストになれます。
工事原価計算のスキルは、実務経験を通じて磨かれます。計算結果を現場担当者・経営者と共有し、フィードバックをもらいながら改善を繰り返すことで、原価管理の精度が着実に向上します。

工事別原価計算を効率化したい方には、弥生会計 Nextがおすすめです。工事番号別の集計・管理機能で手作業を大幅に削減できます。