【建設業経理】建設業許可申請の財務諸表|経審前に整える3つのポイント

建設業法の財務諸表の作り方と経審との関係 事業とお金の管理
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「建設業許可の決算変更届で財務諸表が必要と言われたけど、どんな書類を用意すればいいの?経審も受けないといけないの?」

おけい
おけい
決算変更届の「財務諸表」って、税理士さんが作った決算書をそのまま出せばいいのかな?それとも決まった書式があるのかな?
じむねこ
じむねこ
建設業許可用の財務諸表は「建設業法様式」で作成する必要があるよ!一般的な決算書とは様式が違うから注意しよう^^

今回の記事でわかること

  • 建設業許可の決算変更届に必要な財務諸表の種類
  • 建設業法様式の財務諸表と一般決算書の違い
  • 経営事項審査(経審)で財務諸表が与える影響
  • 財務諸表を整えて経審点数を上げるためのポイント
  • 申請スケジュールと提出期限の管理方法

🔍 先に結論

  • 建設業許可の財務諸表は一般の決算書と様式が異なる建設業法様式で作成
  • 決算変更届で提出が必要な財務諸表の種類を整理
  • 経審(経営事項審査)で財務諸表の数字がどこに使われるかを整理
  • 申請スケジュールの管理方法もわかる

建設業許可で求められる財務諸表とは

建設業許可を受けた業者は、毎事業年度終了後4か月以内に「決算変更届(事業年度終了の届出)」を許可行政庁に提出しなければなりません(建設業法第11条第2項)。提出先は、知事許可なら許可を受けた都道府県、大臣許可なら主たる営業所の所在地を管轄する地方整備局等です。提出しないと罰則の対象にもなります(同法第50条)。この届出には、建設業法施行規則の定める様式で作成した財務諸表を添付する必要があります。

建設業法様式の財務諸表は、株主総会や税務申告に使う一般的な決算書とは様式が異なります。東京都の手引でも、株主総会や税務申告に出した決算報告書は使えないとされています。決算書の数字を、建設業法の様式に組み替えて作り直す必要があるのです。社内で作る会社もあれば、行政書士などに依頼する会社もあります。

組み替えでつまずきやすいのは、一般の科目を建設業の科目に読み替える部分です。たとえば「売上高」は「完成工事高」、「売上原価」は「完成工事原価」、工事の「買掛金」は「工事未払金」、「仕掛品」は「未成工事支出金」、工事の「前受金」は「未成工事受入金」になります。建設業会計の科目体系を日頃から使っていれば、財務諸表の作成作業がぐっと楽になります。

提出が必要な財務諸表の種類

書類名内容
貸借対照表資産・負債・純資産の状況(建設業法様式第15号)
損益計算書完成工事高・完成工事原価・販売費及び一般管理費などの収益・費用(様式第16号)
完成工事原価報告書材料費・労務費・外注費・経費の内訳(様式第16号の損益計算書に付く書類)
株主資本等変動計算書純資産の変動内容(様式第17号)
注記表財務諸表の補足情報(様式第17号の2)
附属明細表資産・負債などの明細(様式第17号の3)。資本金1億円超、または負債合計200億円以上の株式会社(特例有限会社を除く)だけが必要

上の表は法人の場合です。個人事業の場合は、様式第18号(貸借対照表)と様式第19号(損益計算書)を使います。

決算変更届には、財務諸表のほかに工事経歴書、直前3年の各事業年度における工事施工金額、納税証明書なども添付します。納税証明書は、知事許可なら事業税、大臣許可なら法人税(個人は所得税)のものです。特例有限会社を除く株式会社は、事業報告書も必要です。細かな添付書類は、許可行政庁の手引で確認してください。

特に「完成工事原価報告書」は建設業特有の書類です。材料費・労務費・外注費・経費の4費目で原価内訳を開示するため、日頃から工事原価を費目別に正確に集計していることが前提となります。費目の集計ができていない場合は、この書類の作成に非常に手間がかかります。

経営事項審査(経審)と財務諸表の関係

公共工事を発注者から直接請け負おうとする建設業者は、経営事項審査(経審)を受けなければなりません(建設業法第27条の23)。経審の結果は、総合評定値(P)などの数値で通知されます。経審では、財務諸表の数値が点数に直結するため、財務内容が審査結果に大きく影響します。

経審の総合評定値は、X1(完成工事高)・X2(自己資本額と利益額)・Y(経営状況)・Z(技術力)・W(社会性等)の5つから計算されます。このうち財務諸表の数字を直接使うのは、X1・X2・Yの3つです。X2では、自己資本の額と、利払前税引前償却前利益(営業利益に減価償却実施額を足した額)の平均が評価されます。Yで使うのは、純支払利息比率・負債回転期間・総資本売上総利益率・売上高経常利益率・自己資本対固定資産比率・自己資本比率・営業キャッシュフロー・利益剰余金の8指標です。Yの数値は、登録経営状況分析機関に「経営状況分析」を申請して受け取ります。

経審点数を上げるための財務管理のポイント

① 純資産(自己資本)を増やす

自己資本の額はX2で、自己資本比率や自己資本対固定資産比率はYで評価されます。基本は、利益を出して内部留保として積み上げることです。役員借入金を資本に振り替える方法もありますが、税務上の影響が出ることがあります。実行する前に、必ず税理士に相談してください。

② 完成工事高を正確に計上する

完成工事高は経審の「X1(完成工事高)」の評価に使われ、許可業種ごとに評価されます。自社が採用している計上基準(工事完成基準など)に沿って、計上漏れや先送りをなくすことが重要です。財務諸表の完成工事高は、工事経歴書や工事施工金額の合計とも一致させる必要があります。決算期をまたぐ工事の処理には特に注意しましょう。

③ 工事原価の費目分類を正確に行う

完成工事原価報告書は、材料費・労務費・外注費・経費の4つに分けて作ります。決算のときにまとめて分けようとすると作業が大変になり、間違いも起きやすくなります。また、X1は許可業種ごとの完成工事高で評価されるため、工事ごとに業種を区分して集計しておくことも大切です。日頃の仕訳と工事台帳で整えておけば、決算変更届と経審の準備がぐっと楽になります。なお、点数を上げる目的で実態と違う数字を書くのは虚偽申請です。罰則の対象になります(建設業法第50条)。

じむねこ
じむねこ
決算変更届は決算後4か月以内が締め切りだよ!スケジュール管理を忘れずに。経審を受けるならさらに早めに動く必要があるにゃ!

申請スケジュールの管理方法

決算変更届と経審は、決算日から逆算して動き始めることが大切です。たとえば3月決算の会社なら、決算変更届の期限は7月31日です。経審を受ける場合は、決算変更届の提出と、登録経営状況分析機関への経営状況分析の申請を先に済ませます。そのうえで、許可行政庁に経営規模等評価の申請と総合評定値の請求を行うのが基本の流れです。経審の結果は審査基準日から1年7か月有効です。公共工事を切れ目なく受注するには、毎年受け直す必要があります。行政書士に依頼する場合は、決算が確定したらすぐに連絡しておきましょう。

まとめ

建設業許可の財務諸表 ポイント まとめ

  • 事業年度終了後4か月以内に、許可行政庁(都道府県または地方整備局等)へ決算変更届と建設業法様式の財務諸表を提出
  • 法人の財務諸表は貸借対照表・損益計算書(完成工事原価報告書つき)・株主資本等変動計算書・注記表。資本金1億円超などの株式会社は附属明細表も必要
  • 一般決算書とは様式が異なるため組み替え作業が必要
  • 経審では財務諸表の数字がX1・X2・Yに使われる。純資産の充実と、完成工事高・原価の正確な集計が土台
  • 経審は、決算変更届と経営状況分析を済ませてから申請する。決算が確定したらすぐに動き出す

決算変更届と経審は、毎年やってくる作業です。日頃の仕訳を建設業の科目で整えておくことが、いちばんの近道になります。