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🔍 先に結論
- 取得価額10万円以上の重機・車両は固定資産に計上し、法定耐用年数で減価償却する
- 建設業で使うユンボ・ブルドーザーは総合工事業用設備で6年、ダンプは4年、普通乗用車は6年
- 法人は届け出をしなければ、重機・車両は定率法で償却する
- 現場で使った重機の償却費は未成工事支出金(工事原価)へ、本社の車や事務機器は販売費及び一般管理費へ
- 中小企業者等は少額減価償却資産の特例で、一定額未満の資産を買った年に全額費用にできる
減価償却とは:重機を買った年に全額を経費にできない理由
重機・車両のような高額な資産は、買った年に全額を経費にしません。使える期間(耐用年数)にわたって、少しずつ費用に振り分けます。これが減価償却です。
1,000万円のユンボを買った年に全額を費用にすると、その年だけ大きな赤字になります。翌年以降は重機を使って売上を上げているのに、費用がゼロです。「資産を使う期間に費用を合わせる」ために、減価償却という仕組みがあります。
固定資産に計上する基準は「10万円以上」
固定資産とは、1年以上使うつもりで買った資産のことです。建設業では、重機(ユンボ・ブルドーザー・クレーンなど)、車両(ダンプ・トラック・社用車)、パソコン、工具などが当たります。
取得価額が10万円未満なら、買った年に全額を費用(消耗品費など)にできます。10万円以上は、原則として固定資産に計上します。ただし、中小企業者等には少額の資産を即時に費用にできる特例があります(後半で説明します)。
「全額を消耗品費で落とせないか」は、経理がよく聞かれる質問です。50万円のコンプレッサーのように、見た目は「道具」でも10万円を超えるものは、固定資産に当たらないか必ず確認しましょう。
買ったときの仕訳は次のとおりです(税抜経理・消費税は省略)。重機や車両の代金の未払いは、工事代金ではないので「未払金」を使います。
| 取引 | 借方 | 貸方 |
|---|---|---|
| パワーショベルを600万円で購入(代金は翌月払い) | 機械装置 6,000,000 | 未払金 6,000,000 |
| ダンプを500万円で購入(普通預金から支払い) | 車両運搬具 5,000,000 | 普通預金 5,000,000 |
建設業でよく使う重機・車両の法定耐用年数(一覧表)
耐用年数は「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」の別表で決まっています。建設業でよく使う資産をまとめると、次のとおりです。
| 資産の例 | 区分 | 法定耐用年数 |
|---|---|---|
| 油圧ショベル(ユンボ)・ブルドーザー・ロードローラー | 機械及び装置(総合工事業用設備) | 6年 |
| トラッククレーン・コンクリートポンプ車など作業用の車両 | 機械及び装置(総合工事業用設備) | 6年 |
| ダンプカー | 車両及び運搬具(貨物自動車・ダンプ式) | 4年 |
| トラック(ダンプ以外) | 車両及び運搬具(貨物自動車・その他) | 5年 |
| 普通乗用車(社用車・営業車) | 車両及び運搬具(その他の自動車) | 6年 |
| 軽自動車(総排気量0.66L以下) | 車両及び運搬具(小型車) | 4年 |
| 事務用パソコン(サーバー用を除く) | 器具及び備品 | 4年 |
※新品を取得した場合の年数です。国税庁の耐用年数表をもとに作成しています。最新の内容は国税庁のホームページで確認してください。
注意したいのは、ナンバー付きの作業用車両です。トラッククレーンやブルドーザーのように「人や物を運ぶためでなく、作業場で作業するための車両」は、車両ではなく機械及び装置に区分されます(耐用年数通達2-5-5)。機械及び装置の年数は、その資産をどの業種で使っているかで決まります。建設業の総合工事業用設備なら6年です。
中古の重機・車両は、残りの使用期間で年数を計算し直す方法(簡便法など)があり、新品より短くなります。誤った年数を使うと、毎年の償却費がずれて税額にも影響します。判断に迷う資産は、国税庁の耐用年数表と顧問税理士に確認しましょう。

定額法と定率法:計算例で違いを見る
計算方法は定額法と定率法の2つです。ここでは、パワーショベルを600万円(耐用年数6年)で期首に買った例で比べます。償却率は、2012年4月1日以後に取得した資産の率です。
定額法:毎年同じ金額を償却する
計算式は「取得価額 × 定額法の償却率」です。耐用年数6年の償却率は0.167です。
例)6,000,000円 × 0.167 = 毎年1,002,000円
毎年の費用が同じなので、利益の見通しが立てやすい方法です。
定率法:最初に多く、だんだん少なく償却する
計算式は「期首の帳簿価額(まだ償却していない残り)× 定率法の償却率」です。耐用年数6年の償却率は0.333です。
| 年 | 期首の帳簿価額 | 償却費(× 0.333) |
|---|---|---|
| 1年目 | 6,000,000円 | 1,998,000円 |
| 2年目 | 4,002,000円 | 1,332,666円 |
| 3年目 | 2,669,334円 | 888,888円 |
1年目の償却費は定額法の約2倍です。買ってすぐの時期に多く費用にできるのが定率法の特徴です。
もう1つ、ダンプ(取得価額500万円・耐用年数4年・償却率0.500)の例です。
1年目:5,000,000 × 0.500 = 2,500,000円
2年目:2,500,000 × 0.500 = 1,250,000円
3年目:1,250,000 × 0.500 = 625,000円
4年目:残り625,000円から備忘価額1円を残した624,999円
4年間の合計は4,999,999円で、帳簿には1円だけ残ります。定率法は途中で償却額が一定の水準(償却保証額)を下回ると、「改定償却率」での計算に切り替わります。細かい計算は会計ソフトの固定資産台帳に任せるのが安全です。
なお、期の途中で買った場合は、1年分の償却費を使った月数で月割りします。
どちらを使うか:法人は届け出がなければ定率法
法人が償却方法の届け出をしていない場合、重機・車両は定率法で償却します。建物・建物附属設備・構築物(2016年4月1日以後の取得分)は定額法だけです。個人事業主は、届け出がなければ定額法です。

償却率や改定償却率の切り替えを手計算で追うのは大変です。会計ソフトの固定資産台帳に取得価額・取得日・耐用年数・償却方法を登録すると、毎年の償却費を自動で計算できます。私の会社は弥生会計を使っていますが、これからクラウド会計を選ぶなら、無料で試せるソフトから始めるのも1つの方法です。
減価償却費の計上先:工事原価か販売費及び一般管理費か
建設業では、何に使った資産かで償却費の行き先が変わります。
| 使い方 | 計上先 | 勘定科目 |
|---|---|---|
| 1つの現場だけで使う重機 | 工事原価(経費) | 未成工事支出金(その工事へ直接) |
| 複数の現場で使う重機 | 工事原価(経費) | 未成工事支出金(各工事へ按分) |
| 本社・営業用の乗用車 | 販売費及び一般管理費 | 減価償却費 |
| 事務所のパソコン・事務機器 | 販売費及び一般管理費 | 減価償却費 |
未成工事支出金に入れた償却費は、工事が完成したときに完成工事原価へ振り替えます。
月次の仕訳例(間接法)
先ほどのパワーショベル(1年目の償却費1,998,000円)と、本社の営業車(取得価額180万円・耐用年数6年・定率法で年599,400円)を毎月計上する例です。1年分を12で割ります。
| 取引 | 借方 | 貸方 |
|---|---|---|
| 現場で使うパワーショベルの月次償却(1,998,000 ÷ 12) | 未成工事支出金 166,500 | 機械装置減価償却累計額 166,500 |
| 本社営業車の月次償却(599,400 ÷ 12) | 減価償却費 49,950 | 車両運搬具減価償却累計額 49,950 |
貸方を資産の科目(機械装置・車両運搬具)で直接減らす「直接法」もあります。ただ、取得価額と償却済みの金額が別々に見える間接法のほうが、固定資産台帳と照らし合わせやすくなります。どちらの方法でも、毎期忘れずに計上することが大切です。計上を忘れると帳簿価額が減らず、決算書が実態とずれます。
複数の現場で使う重機は「稼働日数」で按分する
1台の重機を複数の現場で使うときは、使用日数や稼働時間の割合で各工事に振り分けます。そのために、重機ごとに「どの現場で何日(何時間)動いたか」を毎日記録する機械稼働日報をつけます。
例)パワーショベルの月の償却費166,500円。今月の稼働はA現場12日、B現場8日(合計20日)。
A現場:166,500 × 12 ÷ 20 = 99,900円
B現場:166,500 × 8 ÷ 20 = 66,600円
(合計166,500円)
日報を後からまとめてつけようとすると、必ず抜け漏れが出ます。記録が雑だと工事ごとの原価がずれ、どの現場がもうかったのか判断できなくなります。

少額の資産は即時に費用にできる:10万円・20万円・少額特例の判定
電動工具や測量機器、パソコンなど金額が小さい資産は、取得価額によって処理が変わります。
| 取得価額 | 処理のしかた | 使える会社 |
|---|---|---|
| 10万円未満 | 買った年に全額を費用(消耗品費など) | すべての会社 |
| 20万円未満 | 一括償却資産として3年で均等に費用(毎年3分の1) | すべての会社 |
| 30万円未満 (2026年4月1日以後の取得分は40万円未満) | 少額減価償却資産の特例で、買った年に全額を費用(年間合計300万円まで) | 青色申告をしている中小企業者等 |
たとえば28万円の測量機器を買った場合、通常は耐用年数にわたって償却します。少額減価償却資産の特例を使えば、買った年に全額を費用にできます。
特例を使うときの注意点は次の3つです。
- 使える会社が限られる:資本金1億円以下などの中小企業者等で、青色申告をしていることが条件です。従業員数の要件もあり、大きな会社は使えません
- 金額の基準と期限が改正された:2026年度(令和8年度)の税制改正で、2026年4月1日以後に取得した資産は40万円未満に引き上げられ、期限は2029年3月31日まで延長されました。3月31日以前の取得分は30万円未満のままです。最新の要件は国税庁のホームページで確認しましょう
- 償却資産税(固定資産税)はかかる:特例で全額を費用にした資産も、償却資産の申告の対象です。一括償却資産(20万円未満で3年償却を選んだもの)は対象外です

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まとめ:重機・車両の減価償却ポイント
重機・車両の減価償却 まとめ
- 10万円以上の重機・車両は固定資産に計上し、法定耐用年数で償却する
- 耐用年数:ユンボ・ブルドーザー・トラッククレーン6年(総合工事業用設備)、ダンプ4年、トラック5年、乗用車6年
- 法人は届け出がなければ定率法(最初に多く費用にする)
- 現場で使った重機の償却費 → 未成工事支出金(完成時に完成工事原価へ)
- 本社の車・事務機器 → 減価償却費(販売費及び一般管理費)
- 複数現場の重機は機械稼働日報の日数・時間で按分する
- 少額の資産は10万円・20万円・少額特例(30万円未満、2026年4月1日以後の取得分は40万円未満)で判定する
まずは自社の固定資産台帳を開いて、重機の区分と耐用年数が合っているかを1台ずつ確かめてみてください。ユンボが「車両」になっていたら、顧問税理士に相談するタイミングです。
以上、おけいでした!


