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🔍 先に結論
- 今の建設会社で経理を続けるなら、建設業経理士2級を先に取りましょう。毎日使う科目と工事原価が、そのまま試験範囲です
- 建設業以外の会社へ移る可能性があるなら、業種を問わない簿記2級が先です
- 建設業経理士は、会社が経営事項審査(経審)を受けていれば会社の評価の対象にもなります。ただし合格から一定期間を過ぎると講習が必要です
- 迷ったら「5年後も建設業の経理をしているか」で決めてください
建設業経理士と簿記2級の違いを表で比べる
2つの資格のいちばん大きな違いは、「建設業専用か、業種を問わないか」です。主な違いを、それぞれの実施団体の案内をもとに並べました。
| 建設業経理士2級 | 日商簿記2級 | |
|---|---|---|
| 実施団体 | 建設業振興基金 | 日本商工会議所・各地の商工会議所 |
| 試験の内容 | 建設業の簿記、原価計算、会社会計 | 商業簿記、工業簿記(原価計算を含む) |
| 前提にしている会社 | 建設会社 | 業種を問わない(工業簿記は製造業) |
| 試験の時期 | 年2回(9月・3月) | 統一試験は年3回(6月・11月・2月)。ネット試験は会場ごとに随時 |
| 経審との関係 | 評価の対象になる(期限あり) | 対象外 |
建設業振興基金は、2級の程度を「実践的な建設業簿記、基礎的な建設業原価計算を修得し、決算等に関する実務を行えること」としています。最初から建設会社の経理担当者を想定した試験です。
日商簿記2級は、商業簿記と工業簿記の2本立てです。工業簿記は、工場で製品を作る会社の原価計算を扱います。どの業種の経理にも通じる土台を作る試験だと考えてください。

建設業経理士は「毎日使う科目」がそのまま出る
建設会社の経理で最初につまずくのは、科目の名前です。簿記の教科書で覚えた科目が、建設業では別の名前で決算書に載ります。
| 一般の簿記(簿記2級) | 建設業の科目(建設業経理士) |
|---|---|
| 売上高 | 完成工事高 |
| 売掛金 | 完成工事未収入金 |
| 仕掛品 | 未成工事支出金 |
| 買掛金 | 工事未払金 |
| 前受金 | 未成工事受入金 |
名前が違うだけではありません。建設業では、材料費・労務費・外注費・経費を工事ごとに集めて原価を出します。工事が終わっていなければ、かかった費用は未成工事支出金として翌期へ持ち越します。
私も入社して最初の決算で、未成工事支出金の残高が合わず、半日かけて帳簿を追いかけました。未成工事支出金は、簿記3級では出てこない建設業の科目です。建設業経理士の勉強は、こうした建設業の科目と工事原価の流れを、正面から学ぶ勉強です。
一方、簿記2級の工業簿記は製造業の原価計算です。考え方の土台は共通しますが、工事ごとに原価を集める建設業の流れとは、使う科目も帳簿の形も違います。建設会社で働いている人にとっては、覚えたことを翌日の仕事でそのまま使えるのは建設業経理士のほうです。

建設業経理士は経審で会社の評価にもなる
建設業経理士の1級・2級は、建設業法施行規則にもとづく「登録経理試験」です。会社に雇用されている合格者は、経営事項審査(経審)の「公認会計士等の数」という項目で評価されます。簿記2級には、この扱いはありません。
経審は、国や自治体の公共工事を元請けとして直接受けたい建設会社が受ける審査です。国土交通省の評価項目では、「建設業の経理の状況」の中に「公認会計士等数」が入っています。2026年7月施行の改正後も、この項目は残っています。
建設業振興基金の案内では、数え方は次のとおりです。
- 経審で評価される1級合格者は1人を1、2級合格者は1人を0.4として数える
- 評価されるのは、合格した日の属する年度の翌年度の開始日から5年を経過しない人
- 期間を過ぎた人は、登録経理講習を受けると再び評価の対象になる
注意したいのは、この加点が効くのは経審を受けている会社だけという点です。民間の工事や下請けの仕事が中心で経審を受けていない会社なら、経審の評価は資格選びの決め手になりません。まず、自分の会社が経審を受けているかを社長か担当の行政書士さんに確認しましょう。
経審の点数のしくみや、合格後5年で講習が必要になる理由は、別の記事で詳しく書いています。
\ W5「建設業の経理の状況」の点数と、登録経理講習の期限 /
経審のW5加点の記事を読むどっちを先に取るか、2つの質問で決める
選び方は、次の2つの質問に答えるだけで決まります。

質問1:5年後も、建設業の経理をしていますか?
「はい」なら、建設業経理士2級からです。仕事の科目と試験の科目が同じなので、勉強がそのまま仕事を楽にします。会社が経審を受けていれば、会社の評価にもつながります。
「わからない」「別の業種も考えている」なら、簿記2級からです。建設業経理士の科目は、建設業以外の会社ではそのままの名前では使いません。業界を移る可能性があるうちは、どこでも通じる簿記を先に固めるほうが無駄がありません。
質問2:会社は経審を受けていますか?
経審を受けている会社で、社内に評価される建設業経理士がいないなら、建設業経理士を取る理由がもう1つ増えます。本人の勉強が会社の評価にもなるので、受験料や勉強時間について会社に相談しやすくなります。
経審を受けていない会社なら、質問1の答えだけで決めてかまいません。
| あなたの状況 | 先に取る資格 |
|---|---|
| 今の建設会社で経理を続ける | 建設業経理士2級 |
| 会社が経審を受けていて、評価される経理士が社内にいない | 建設業経理士2級(会社に相談する材料にもなる) |
| 建設業以外へ移る可能性がある | 日商簿記2級 |
「まず簿記2級で土台を作ってから建設業経理士へ」という順番もよく見かけます。簿記2級で身につく仕訳や原価計算の考え方は、建設業経理士の勉強にも役立ちます。ただ、すでに建設会社で働いている人なら、必ずしもこの順番にこだわらなくてよいと私は考えています。簿記2級の工業簿記は製造業の原価計算なので、建設業の工事原価はあらためて覚えることになるからです。仕事で使う科目から覚えると、勉強と実務を同時に進めやすくなります。

簿記3級から建設業経理士1級を受けた私の場合
私は簿記3級だけで経理を始めました。簿記2級は持っておらず、建設業経理士も2級を受けないまま、2026年9月の試験で建設業経理士1級の財務諸表と財務分析を受験しました。結果はまだ出ていません。
建設業経理士は受験資格に制限がなく、2級を持っていなくても1級を受けられます。1級は原価計算・財務諸表・財務分析の3科目に分かれていて、科目ごとの合格は5年間有効です。
勉強は、ネットスクールのテキストを中心に、「簿記の教室メイプル」も活用しました。正直に言うと、財務諸表と財務分析は独学だと理解に時間がかかりました。2級を飛ばして1級を受けるのは、誰にでもすすめられる道ではありません。これから始める人は、2級から順に進むほうが確実です。
私が1級で使ったネットスクールの『出題パターンと解き方』には、2級版もあります。テキストと過去問題集が1冊になっているので、建設業経理士2級から始める人の最初の1冊の候補になります。2級版は私自身は使っていません。楽天ブックスでは2026年10月22日ごろ発売と案内されています。
まとめ:建設会社にいるなら、建設業経理士2級から
- 建設業経理士は建設業専用。完成工事高・未成工事支出金など、毎日使う科目と工事原価を正面から学べる
- 簿記2級は業種を問わない。建設業以外へ移る可能性があるなら、こちらが先
- 建設業経理士は経審の「公認会計士等の数」で評価される。ただし効くのは経審を受けている会社だけで、合格後5年を過ぎたら講習が必要
資格選びで迷う時間がいちばんもったいないです。今日のうちに、自分の会社が経審を受けているかを確かめてください。答えがわかれば、次の試験に向けて申し込む資格が決まります。建設業経理士の次の試験は2027年3月14日で、申し込みは2026年11月10日から12月10日までです。
試験の前に、建設業の科目や工事原価の考え方をひととおりつかんでおきたい方には、私が書いた本も用意しています。
\ 完成工事高・未成工事支出金など、建設業特有の科目の意味と使い分け /
『建設業の経理 はじめの一冊』を見る以上、建設業7年目のおけいでした!
※この記事は2026年10月時点の公的資料(建設業振興基金、日本商工会議所、国土交通省)をもとにしています。試験日程や経審の評価方法は変わることがあるため、受験・申請の前に各団体の最新の案内を確認してください。

