経審の点数は経理で上げられる|建設業経理士のW5加点

経審の点数は経理で上げられる|建設業経理士のW5加点 事業とお金の管理
記事内に広告が含まれています。

※本記事にはアフィリエイト広告が含まれています。

おけい
おけい
経理と積算を兼任して7年目。経審は行政書士さんにお願いする書類仕事だと思い込んでいて、経理担当だけで動かせるW5の加点枠を、うちは何年も丸ごと捨てていました。「経審は経理に関係ない」と思っている方に、評点表を自分で読んでわかったことをまとめます。

「今年の経審、点数どうだった?」
社長からそう聞かれて、なんとなく気まずい顔をしてしまったこと、ありませんか。

経営事項審査(経審)は、行政書士さんにお願いしているし、点数を上げるのは営業と現場の仕事。経理の自分にできることなんてない——私自身も、建設業に入って3年目くらいまでは本気でそう思っていました。決算書を作って、財務諸表を組み替えて、あとは書類を渡すだけ。そこで終わりだと思っていたんです。

でも、経審の評点表を自分でちゃんと読んだとき、正直ぞっとしました。経理担当が動くだけで取れる点数を、うちは何年も丸ごと捨てていたからです。

🔍 先に結論

  • 経審のW点には「建設業の経理の状況(W5)」という項目があり、経理担当の資格と手続きだけで動く枠がある
  • 完成工事高1億円未満の会社なら、登録1級建設業経理士が1人いて自主監査をするだけで総合評定値Pが約15点上がる計算になる
  • ただし合格しっぱなしはNG。合格の翌年度から5年を過ぎると「登録経理講習」を受けないと評価対象から外れる

「経審は経理に関係ない」という思い込みが、いちばん高くつく

経審の点数を上げる話になると、たいてい話題は完成工事高(X1)と技術者(Z)に集中します。売上を伸ばす、技術者を採る。どちらも簡単ではありませんし、経理が明日から何とかできるものでもありません。

そこで「じゃあ自分にできることはない」で思考が止まってしまう。ここが本当の問題です。

総合評定値Pは、次の式で決まります。

P = X1×0.25 + X2×0.15 + Y×0.20 + Z×0.25 + W×0.15

このうちW(社会性等)は、雇用保険や退職金共済、営業年数、建設機械の保有、ISO、そしてCCUSの活用状況などを評価する項目の集まりです。ウェイトは0.15と一見小さく見えますが、W点は他の項目と違って「やれば確実に入る」性質の点数が多い。売上のように景気で上下しないんです。

そしてこのWの中に、経理担当のための項目がちゃんと用意されています。それがW5「建設業の経理の状況」です。

W5「建設業の経理の状況」で、実際に何点動くのか

経審W5の点数がP点に換算されるまでの流れ図

W5は、次の2つの合計で決まります。

W5 = ①監査の受審状況点数 + ②公認会計士等点数

①監査の受審状況

監査の受審状況点数
会計監査人の設置20点
会計参与の設置10点
経理処理の適正を確認した旨の書類の提出2点
監査なし0点

中小の建設会社に会計監査人や会計参与を置くのは現実的ではありません。狙うのは3行目の「2点」です。これは、社内の経理実務責任者(公認会計士・税理士・登録1級建設業経理士)が自社の経理処理の適正を確認し、その旨の書類を出すことで付きます。社内に登録1級建設業経理士が1人いれば、外注費ゼロで取れる2点です。

②公認会計士等点数

こちらは人数を数値化してから、完成工事高の区分ごとの表に当てはめます。

数値 =(公認会計士等の数)×1 +(登録2級建設業経理士の数)×0.4
 ※公認会計士等=公認会計士・会計士補・税理士・これらになる資格を持つ人・登録1級建設業経理士
平均完成工事高10点8点6点4点2点0点
1億円未満0.4以上0
1億以上10億未満1.2以上0.8以上1.2未満0.4以上0.8未満0
10億以上40億未満2.4以上1.6以上2.4未満1.2以上1.6未満0.8以上1.2未満0.4以上0.8未満0.4未満

ここを見て、思わず声が出ました。完成工事高1億円未満の会社なら、登録1級建設業経理士がたった1人(数値1.0)いるだけで、いきなり満点の10点です。2級だけでも0.4なので、2級1人で10点に届きます。逆に言うと、1億円未満の区分は10点か0点かの二択で、有資格者が1人もいなければ0点。小さな会社ほど、1人目の効果が大きいということです。

Pに換算するといくらか

W評点の計算式はこうです(審査基準日が令和5年8月14日以降の場合)。

W評点 =(W1+W2+…+W8の合計点)× 10 × 175 ÷ 200

完成工事高1億円未満の会社で、登録1級建設業経理士が1人在籍し、自主監査の書類も出した場合。①2点+②10点=12点。これをW評点に直すと12×10×175÷200=105点。さらにPへのウェイト0.15を掛けると、総合評定値Pがおよそ15点上がる計算になります。

売上を数千万円積み増しても、Pは15点も動きません。経理担当ひとりの資格が、会社の入札ランクを押し上げることが本当にある——これが、私が資格を取ろうと本気で思ったきっかけでした。

\どの講座が自分に合うか比べたい方へ/

建設業経理士の通信講座おすすめ3選を見る

経理担当が加点を取り逃す3つの原因

登録経理講習の5年ルールのタイムライン図

原因1:合格して満足し、「登録経理講習」を受けていない

これがいちばん多くて、いちばんもったいないパターンです。

令和5年4月以後の経審では、登録経理試験(建設業経理士1級・2級)に合格して5年を経過した人は、「登録経理講習」を受けていないと評価の対象になりません。評価対象になるのは、合格した年度の翌年度の開始日から5年間、そして講習を受けた年度の翌年度から5年間だけ。

つまり、10年前に2級を取ったベテラン経理さんが社内にいても、講習を受けていなければ経審上はゼロ人扱いです。令和5年3月までは経過措置で全員が評価されていたので、「去年まで点が付いていたのに今年は付かない」という事故が実際に起きます。

原因2:自主監査の2点を知らずに素通りしている

登録1級建設業経理士が社内にいるのに、「経理処理の適正を確認した旨の書類」を出していない会社は本当に多いです。書類を1枚追加するだけで2点。W評点に直すと約17.5点、P換算で2〜3点。提出し忘れは、お金を落としているのと同じです。

原因3:資格取得を「個人の勉強」で終わらせている

受験料も講習費も自腹、勉強は完全に休日——この状態だと、途中で心が折れます。実際には、資格が会社のP点を押し上げる以上、これは立派な会社の投資です。「Pが15点上がります」と数字で説明すれば、費用負担も勤務時間内の学習も、驚くほどすんなり通ることがあります。

私も最初は全部自腹でしたが、評点表を印刷して社長に見せてからは扱いが変わりました。数字を持っていくと、会社は動きます

今から加点を取りに行く解決方法

STEP1:社内の有資格者と「合格年度」を棚卸しする

まず、社内に1級・2級の合格者が何人いて、それぞれいつ合格したかを一覧にします。合格証明書のコピーを集めるところからで構いません。合格年度の翌年度開始日から5年を過ぎている人は、講習を受けない限り経審では数えられません。ここで初めて「うちの実際の数値」が見えます。

STEP2:期限切れの人は登録経理講習を予約する

講習は建設業振興基金などの実施機関が行っています。受講すれば、その年度の翌年度からまた5年間、評価対象に戻ります。次の審査基準日から逆算して、余裕をもって押さえておくのが安全です。

STEP3:有資格者ゼロ・1人だけなら、新規取得を仕込む

数値が足りていないなら、取るしかありません。おすすめの順番は明確で、まず2級です。完成工事高1億円未満の会社なら2級1人(0.4)で公認会計士等点数は10点に届きますし、2級は独学でも十分に射程内。そのうえで、自主監査の2点まで欲しいなら1級を目指します。

ちなみに私は1級を科目合格制でコツコツ進めました。1級は3科目を5年以内に全部そろえればいいので、働きながらでも設計次第で十分に間に合います。

今日からできる具体アクション

  • 今日:昨年の経審の結果通知書を引っ張り出し、W5に何点入っているか確認する
  • 今週:社内の1級・2級合格者と合格年度をExcelに一覧化する
  • 今週:5年を過ぎている人がいないかチェックし、いれば登録経理講習の日程を調べる
  • 今月:「経理処理の適正を確認した旨の書類」を提出しているか、行政書士さんに確認する
  • 今月:有資格者が足りないなら、次の検定の申込スケジュールを押さえて上長に費用負担を相談する

特に1つ目。結果通知書を開いてW5の点数を見るだけなら、5分で終わります。そこが0点や2点だったなら、伸びしろがそのまま残っているということです。

まとめ|経理の机の上に、会社の点数が置いてある

経審の点数は、営業と現場だけが背負うものではありません。W5「建設業の経理の状況」は、経理担当が自分の意思で動かせる、数少ない確実な加点枠です。

  • 完成工事高1億円未満なら、登録1級建設業経理士1人+自主監査でP換算約15点
  • 合格しっぱなしはNG。5年ごとの登録経理講習を切らさない
  • まずは昨年の結果通知書でW5を確認するところから

そのうえで、これから2級・1級を取りに行くなら、独学だけで抱え込まないという選択肢も持っておいてください。建設業経理は簿記2級とは出題の癖がかなり違うので、建設業に特化した講座は、遠回りに見えて実はいちばん早いことがあります。私も過去問だけで突っ込んで、1年まるごと遠回りした経験があります。

\2級・1級の講座を比べたい方へ/

建設業経理士の通信講座おすすめ3選を見る

「現場を知らない事務には無理」と言われながら資格を取ってきた私が断言します。経理の資格は、机の上だけで終わりません。会社の点数になります。

以上、建設業7年目のおけいでした!

※本記事は2026年8月時点の制度に基づいています。経審の評価方法は改正されることがあります(直近では令和8年7月改正)。実際の申請にあたっては、必ず許可行政庁の最新の手引きや行政書士等の専門家にご確認ください。