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建設業の経理は、一般的な製造業・サービス業の経理と比べて、独特のルールや科目が多くあります。
私自身、建設会社に入社した当初は「未成工事支出金って何?」「工事完成基準って初めて聞いた」という状態でした。
しかし、建設業経理の特徴を体系的に理解することで、仕訳の判断も格段に速くなります。この記事で建設業経理の全体像をつかみましょう。
🔍 先に結論


建設業では、受注した工事ごとに原価(費用)を集計・管理します。これを「工事別原価計算」と呼びます。
工事ごとに利益・損失を把握することで、赤字工事の早期発見や次回の見積もり精度向上に役立てます。


建設業の多くは「工事完成基準」を採用しています。
工事が完成し発注者に引き渡した時点で初めて売上(完成工事高)を計上します。工事期間中は原価を「未成工事支出金」として資産に積み上げます。
建設業では一般業種とは異なる固有の勘定科目を使います。
| 建設業固有の科目 | 対応する一般科目 |
|---|---|
| 完成工事高 | 売上高 |
| 完成工事原価 | 売上原価 |
| 完成工事総利益 | 売上総利益 |
| 未成工事支出金 | 仕掛品 |
| 未成工事受入金 | 前受金 |
| 完成工事未収入金 | 売掛金 |

建設業許可の取得・更新には、財務諸表の提出が必要です。建設業法に基づく「建設業財務諸表」の様式で作成する必要があり、固有科目を正しく使うことが求められます。

建設業では、現場作業員にかかる法定福利費(社会保険料の会社負担分)を「工事原価」として計上します。一方、本社スタッフの法定福利費は「販管費」に計上します。
また、一人親方への発注時に法定福利費相当額を別途支払う慣行が建設業では広まっています。
建設業経理士は、建設業振興基金が実施する建設業専門の経理検定です。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 1級 | 財務諸表・財務分析・原価計算の高度な知識 |
| 2級 | 建設業の財務諸表作成・原価管理の実務知識 |
| 3・4級 | 基本的な簿記・建設業会計の入門レベル |
2級以上の有資格者は、建設業許可申請の経営審査(経審)でポイントになるため、会社からの取得推奨が多い資格です。


| 項目 | 一般企業 | 建設業 |
|---|---|---|
| 売上計上タイミング | 商品出荷・役務提供完了時 | 工事完成・引き渡し時(完成基準)または進捗に応じて(進行基準) |
| 製造中の費用管理 | 仕掛品 | 未成工事支出金 |
| 売上原価の科目 | 売上原価 | 完成工事原価 |
| 売上の科目 | 売上高 | 完成工事高 |
| 前受金の科目 | 前受金 | 未成工事受入金 |
| 未収入金の科目 | 売掛金(または未収入金) | 完成工事未収入金 |
| 原価管理 | 製品・商品別 | 工事別(個別原価計算) |

建設業経理を担当するにあたって、特に注意が必要なポイントをまとめます。


建設業経理を体系的に学びたい方には、「建設業経理士」の資格取得をおすすめします。2級から取得できる民間資格ですが、建設業特有の会計処理・原価計算・財務分析を体系的に学べます。
建設業経理士2級の試験範囲には、未成工事支出金・完成工事高・完成工事原価など建設業特有の勘定科目が含まれており、実務に直結する知識が身につきます。私自身、2級の学習を通じて「なんとなく処理していた仕訳の意味」が明確になりました。
また、建設業経理士1・2級の資格を持つ職員数は、公共工事の入札評価(経審)でも評価ポイントになります。個人のスキルアップが会社の競争力向上につながるという点で、建設業特有の資格といえます。
日常業務では、税理士・公認会計士との連携も重要です。建設業特有の税務処理(工事損失引当金・完成工事補償引当金の損金算入など)については、専門家の指導を受けながら処理することで、税務リスクを回避できます。
建設業経理の特徴を理解することは、建設業で働く経理担当者にとって必須の知識です。一般企業の経理経験があっても、建設業特有の勘定科目や工事原価管理の仕組みを別途学ぶ必要があります。
建設業経理の知識を深めるほど、現場担当者・経営者との会話がスムーズになり、会社全体の数字の見え方が変わってきます。経理担当者が工事の流れを理解することが、建設業での経理業務の質を高める最大のポイントです。
この記事でまとめた建設業経理の特徴を理解の土台にして、日々の実務経験を積み重ねながら、建設業経理のスペシャリストとして成長していきましょう。
建設業経理の特徴を深く理解することは、この業界で長く活躍するための基盤です。工事の流れと会計処理の流れを連動させて考える習慣をつけることで、複雑な処理も自然と理解できるようになります。

建設業の経理業務を効率化したい方には、弥生会計 Nextがおすすめです。建設業固有の科目・財務諸表様式にも対応しています。