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🔍 先に結論
- 建設業経理のキャリアアップには、社内で任される範囲を広げる道と、経験を武器に会社を移る道の2つがあります
- 社内の道は「入力 → 月次資料 → 原価管理 → お金の見通し → 決算と届出」の順に広がります
- どちらの道でも効くのは、工事ごとの損益や未成工事支出金など、建設業ならではの数字が読めることです
- 資格は手段の一つ。取る前に「取ったら何の仕事に使うか」を決めておきましょう
建設業経理のキャリアアップは「2つの道」で考える
キャリアアップというと「資格を取るか、転職するか」の2択で考えがちです。私は、資格はどちらの道でも使う道具と考えて、道そのものは次の2つに分けています。
| 社内で役割を広げる道 | 経験を武器に会社を移る道 | |
|---|---|---|
| 変わるもの | 任される仕事の範囲、社長と話す中身 | 会社・職場の規模・待遇 |
| 向いている状況 | 社長が数字の報告を聞いてくれる | 任せてもらえる仕事がこれ以上増えない |
| 最初の一歩 | 今の担当業務を書き出して、次に増やす仕事を決める | 同じように書き出して、求人の仕事内容と見比べる |
2つの道は、どちらかを選ぶものではありません。社内で任された仕事は、そのまま転職のときに「何ができる人か」の説明になります。だから、まず社内で広げられるところまで広げるのが、どちらに進むにしても損のない順番です。
年収の目安や、資格で年収が上がるのかは「建設業の経理の年収は?資格で上がるかを統計で確認」で公的な統計をもとに整理しています。
社内で任される範囲を広げる5つの段階
建設業の経理の仕事は、だいたい次の順番で広がります。このうち私が今担当しているのは、入力・支払、月次資料、工事途中の赤字の把握、決算前の着地見込みと納税額の概算、決算変更届です。経審(経営事項審査)は、私の会社では受けていないので経験がありません。
| 段階 | 主な仕事 | 社長から見て変わること |
|---|---|---|
| 1. 入力・支払 | 仕訳の入力、請求書の処理、支払 | 事務が止まらずに回る |
| 2. 月次資料 | 工事別の原価台帳、会社全体の損益を毎月まとめる | 先月どうだったかがわかる |
| 3. 原価管理 | 工事の途中で赤字の気配に気づき、現場へ返す | どの工事がもうかっているかがわかる |
| 4. お金の見通し | 資金繰り、決算前の着地見込み・納税額の概算 | この先どうなるかがわかる |
| 5. 決算と届出 | 決算の主担当、決算変更届、経審の準備 | 許可と入札の土台を任せられる |

段階1:入力の時間を減らして、次の仕事の時間を作る
入力と支払に追われているうちは、次の段階に進む時間がありません。私は仕事量が増えて時間が足りなくなったのをきっかけに、AIで社内のツールを作りました。プログラミングの経験はありません。それでも、入出金の管理にかかる時間は半分以下になりました。
作り方は「【経験ゼロ】AIで経理ツールを自作する5ステップ」にまとめています。
段階2:入力した数字を「月次資料」にまとめる
私の会社は以前どんぶり勘定で、工事が赤字だとわかるのは、いつも工事が終わってからでした。
今は毎月、工事別の原価台帳・会社全体の損益・番頭(現場をまとめる人)ごとの損益・会社と番頭の月の目標を資料にしています。ミーティングで画面を共有しながら報告し、資料が固まるのは翌月の中旬です。
いきなり全部そろえなくても大丈夫です。最初は「工事ごとの売上・原価・粗利」の1枚から始めましょう。表の作り方は工事台帳の書き方で、Excelの列の例と一緒に紹介しています。
段階3:工事の途中で赤字に気づき、現場へ返す
月次資料が毎月出ると、工事が終わる前に赤字の気配が見えるようになります。私の会社でも、今は工事の途中で赤字に気づけます。
私は毎月、会計ソフト(弥生会計のデスクトップ版)と原価管理ソフト(建設原価ビルダー5)の数字を突き合わせています。報告する前に、数字が合っているかを確かめておく。そうしておくと、報告した数字を安心して使ってもらえます。
段階4:お金の見通しを、決算が締まる前に伝える
私は決算前に、利益の着地見込みと納税額の概算を自分で出して、社長に報告しています。「今期はいくら残りそうか」「税金はどのくらいか」を、決算が締まる前に伝える仕事です。
支払と入金の時期のズレを先に読む資金繰り表も、この段階の仕事です。作り方は建設業の資金繰り表の作り方を参考にしてください。
段階5:決算と届出の主担当になる
建設業の許可を持つ会社は、事業年度が終わってから4か月以内に決算の内容を役所へ届け出ます(建設業法第11条第2項)。いわゆる決算変更届です。私の会社では、作成から申請までを私が担当しています。
公共工事を元請けで受ける会社は、経審を受けます(建設業法第27条の23)。経審には、経理の資格を持つ人がいると点数が動く項目もあります。詳しくは経審の点数は経理で上げられるで解説しています。

決算変更届の中身と準備の順番は決算変更届はいつまで?10月決算の準備手順にまとめています。
転職という選択肢を整理する
私は経理として転職したことはなく、転職エージェントを使ったこともありません。なので、ここは体験談ではなく選ぶときの整理として書きます。
転職で伝わるのは「何を任されてきたか」
上の5段階は、そのまま職務経歴書の中身になります。「建設会社で経理を7年」と書くより、「工事別の月次資料を作って毎月報告」「決算変更届を作成・申請」と書いたほうが、何ができる人かが伝わります。
経理・財務の転職エージェントのツインプロも、公式サイトの転職事例で、メーカー経理の人がリーダーとして業務を回した経験を評価された例を紹介しています。どんな役割で業務を回してきたかが、評価の材料になるということです。
相談先は「経理職向けかどうか」で選ぶ
建設業に特化した転職サービスが、経理の人に合うとは限りません。対象の職種と地域を先に確かめましょう。たとえば、同じグループの2つのサービスでも、対象はこれだけ違います。
| サービス | 公式サイトで確認したこと | 建設業の経理の人に合うか |
|---|---|---|
| ツインプロ | 経理・財務・会計の転職エージェント。首都圏が中心。「今は転職しない」相談もOK | 経理の経験を活かして、首都圏で移りたい人に合う |
| ビルドジョブ | 施工管理職・設計職に特化。申込フォームの職種は施工管理・設計・積算・営業など | 経理職のまま移りたい人向けではない |
ツインプロの紹介先は、事業会社の経理・財務、会計事務所・税理士法人、コンサル、監査法人などです。首都圏が中心なので、地方で地元の会社を探す人は、面談で求人があるかを確かめてください。経理・財務の経験者が対象で、年齢などの条件もあるため、申し込む前に公式サイトで確認しましょう。
ツインプロの特徴と注意点はツインプロの口コミ・評判|経理の年収アップ転職に使える?で詳しく整理しています。施工管理や積算の仕事に移ることも考えている人は、ビルドジョブの評判・口コミの記事も参考にしてください。
どちらの道でも効くのは「建設業ならではの数字」
社内で任される範囲を広げるにも、転職で経験を伝えるにも、土台になるのは同じ力です。一般の経理にはない、建設業の数字が読めること。具体的には次の3つです。
1. 工事ごとの損益
会社全体が黒字でも、その中に赤字の工事が隠れていることがあります。材料費・労務費・外注費・経費を工事ごとに分けて、1件ずつの粗利を出せること。段階2と3の仕事は、ここが読めて初めてできます。
2. 完成した工事と、まだ途中の工事の区別
途中の工事にかかったお金は「未成工事支出金」として、いったん資産に置いておきます。どの工事を今期の売上にするかで、決算の数字は大きく変わります。私の会社では、売上は完成したときに計上するのが基本で、決算をまたぐ大きな現場のときだけ、元請けと話し合って進み具合に応じて売上にしています。
入社して最初の決算では、この未成工事支出金の残高が合わず、半日かけて帳簿をさかのぼりました。決算の着地見込みを出すには、ここが読めることが前提になります。
3. 建設業法の決算書の科目
決算変更届で出す決算書は、会社がふだん使っている科目と名前が違うことがあります。売上は「完成工事高」、工事の未払いは「工事未払金」です。決算変更届を自分で作るなら、この読み替えを知っておく必要があります。

資格はキャリアの「手段の一つ」
私の会社には資格手当がありません。それでも私が施工管理技士の勉強をしたのは、何のために取るかがはっきりしていたからです。
私は経理と一緒に積算もしています。現場の状況や使う材料を知らないまま積算をしていることに問題を感じ、「現場を知りたい」と思って、1級建築施工管理技士の第一次検定を受けました。周りには「事務には無理」と言われましたが、半年、毎日2時間のほぼ独学で1回で合格しました。その時の勉強のしかたは事務職が一次検定に1発合格した体験記に書いています。
建設業経理士1級も、2026年9月に受験しました。経審を受ける会社なら、建設業経理士は経審の点数に関わります。受けない会社なら、資格の勉強は建設業の数字を体系立てて覚え直す時間になります。
建設業経理士と簿記2級のどちらを取るかは「建設業経理士と簿記2級の違い|どっちを先に取る?」で比べています。


今月からできる3つのこと
- 今の担当業務を5段階の表に当てはめる。今どこまで任されていて、次の段階の仕事は何かを1行で書き出します。
- 次の月次で「工事ごとの粗利」を1枚、社長に出してみる。完璧でなくてかまいません。出すと、聞かれる質問が変わります。
- 任された仕事を「何を・どのくらいの頻度で・誰に」でメモする。例:「月次資料を作り、毎月のミーティングで報告」。転職をしてもしなくても、自分の仕事を説明する材料になります。
一人で経理を回していて、次の仕事を増やす余裕がないときは、先に一人経理がつらい時に見直すことで仕事の仕組みを整えるのがおすすめです。
📌 あわせて読みたい
まとめ:次に任せてもらう仕事を1つ決める
- キャリアアップの道は「社内で範囲を広げる」と「会社を移る」の2つ。社内で任された仕事が、転職のときの説明にもなる
- 社内の道は、入力 → 月次資料 → 原価管理 → お金の見通し → 決算と届出の順に広がる
- どちらの道でも土台は、工事ごとの損益・未成工事支出金・建設業法の決算書が読めること
- 資格は、使い道を決めてから取ると効く
経理未経験・簿記3級で入った私も、今は月次の報告や決算変更届を担当しています。まずは5段階の表から次の仕事を1つ選んで、来月の自分の担当に入れてみてください。
建設業の数字を基礎から押さえたい人には、私が書いた入門書もあります。
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※この記事の制度の説明は、2026年10月時点の建設業法にもとづいています。転職サービスの内容は2026年10月に各社の公式サイトで確認したものです。最新の条件は公式サイトで確認してください。


