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先日、月末支払いの集計をしていて手が止まりました。外注先からの請求書がすべて揃った時点で、支払総額が用意していた資金より約70万円多かったのです。
社長に報告すると、返ってきたのは「見込みが甘かったんじゃないか」の一言でした。
でも、経理の仕事は現場から上がってきた請求書を入力することです。請求書が揃う前に支払総額を見込む仕組みは、そもそも会社にありませんでした。悔しかったので、仕組みを自分で作りました。
この記事では、その方法をそのまま公開します。
🔍 先に結論
- 支払不足の原因は経理の能力ではなく、「請求書が揃うまで総額がわからない」後追い構造にある
- 発注書と実行予算を使えば、請求書が届く前に支払総額を8割の精度で見込める
- 月次の資金繰り表+月末前の日繰り表をエクセルで作れば、不足に2〜3週間前に気づける
「請求書が揃って初めて総額がわかる」建設業経理あるある
建設業の経理には、独特の怖さがあります。月末に支払う金額が、月末の直前までわからないことです。
外注先の請求書は20日締めでも、実際に手元へ揃うのは25日前後。そこから集計して支払総額が確定したときには、月末まで1週間もありません。この時点で資金が足りないとわかっても、打てる手はほとんど残っていないのです。
経理が悪いのではなく、「先が見えない仕組み」のまま回っていることが問題です。ここを変えない限り、同じことは必ずまた起きます。
なぜ支払不足に気づけないのか|3つの原因

原因1:経理が「後追い」になる構造
建設業の経理は、現場からの報告と請求書を受け取ってから入力します。つまり情報がいつも「過去」なんです。現場では2か月前に発注が済んでいるのに、経理がその金額を知るのは請求書が届いたとき。この時間差が、支払不足の正体です。
原因2:支払サイトのズレ
支払サイトとは、締め日から支払日までの期間のことです。外注費は翌月末払い、材料費は翌々月10日払い、リース料は当月引き落とし——と、支払先ごとにバラバラではないでしょうか。
売上の入金サイトより支払サイトが短いと、利益は出ているのに現金が足りない状態になります。資金繰りの敵は赤字ではなく「時間差」なのです。
原因3:実行予算と支払タイミングのズレ
実行予算書には工事全体の外注費・材料費が載っています。ただし、それが「いつ・いくらずつ」支払われるかまでは書いてありません。予算上は問題なくても、支払いが特定の月に集中すれば、その月だけ資金がショートします。

請求書を待たない「先出し資金繰り」の考え方

解決策はシンプルです。請求書が届く前に、支払予定を先に積んでしまうこと。私はこれを「先出し資金繰り」と呼んでいます。
使う材料は2つだけです。
- 発注ベース:現場が出した注文書・発注書の金額を、支払サイトに合わせて支払予定月に記入する
- 実行予算ベース:発注書がない経費(常用・雑材料など)は、実行予算の月割りで概算を置く
「概算じゃ不正確では?」と思うかもしれません。それでいいんです。請求書は「確定情報」、発注書は「予告情報」。予告の段階で8割つかめれば、70万円の不足は防げます。満点の数字を月末に知るより、8割の数字を月初に知るほうが、経理としては何倍も価値があります。
資金繰り表・日繰り表のエクセル作成手順

手順1:月次の資金繰り表を作る
エクセルで、横に月(3か月分)、縦に次の項目を並べます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 前月繰越 | 月初時点の現預金残高 |
| 入金予定 | 工事代金・出来高払いの入金(入金サイトどおりに記入) |
| 支払予定 | 外注費・材料費・給料・家賃・リース・税金(発注ベースで先出し) |
| 差引残高 | 前月繰越+入金予定−支払予定 |
ポイントは、差引残高がマイナスになる月がないかを見ることです。マイナスの月が3か月先に見えていれば、対策の時間はたっぷりあります。
手順2:月末に向けた日繰り表を作る
月次で「危ない月」がわかったら、その月だけ日単位に分解します。これが日繰り表です。縦に日付(20日〜翌月10日など)、横に「入金・支払・残高」を並べるだけ。
月トータルでは足りていても、25日の給料日と末日の外注費支払いの間で一時的に残高が切れる——というパターンは日繰り表でしか見えません。
資金繰り表は正確さより「早さ」が命です。毎月1日に、前月の実績と当月の見込みを更新する。この習慣だけで、月末に青ざめる回数は確実に減ります。
なお、入金予定や経費の支払予定を手入力するのが大変な場合は、クラウド会計ソフトを使う方法もあります。銀行口座やクレジットカードと連携して入出金が自動で取り込まれるので、資金繰り表の「実績側」を作る手間がほぼゼロになります。エクセル管理に限界を感じたら、検討してみてください。
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弥生会計 Nextを公式サイトで見る支払不足が判明したときの5つの打ち手

それでも不足が出てしまったら、打ち手は5つあります。上から順に検討してください。
- 入金前倒しの交渉:元請に出来高払いの前倒しや一部前払いを相談する。工事が進んでいる根拠を添えると通りやすいです
- 支払サイトの延長交渉:付き合いの長い外注先・材料屋に「今回だけ10日待ってほしい」と正直に頼む。黙って遅らせるのは信用を失うので絶対NGです
- 経費の繰り延べ:急ぎでない備品購入・修繕など、社内で完結する支出を翌月に回す
- 短期の資金調達:ファクタリング(売掛金を買い取ってもらい、入金前に現金化する手段)やビジネスローンを使う。手数料はかかりますが、最短即日で資金化できるスピードが強みです
- 社長・金融機関への早期相談:不足が確定する前の「見込み段階」で相談する。銀行は、直前の相談より1か月前の相談のほうが確実に対応しやすくなります
打ち手は「借りる」の前に4つある——これを知っているだけで、慌てて不利な条件で資金調達をせずに済みます。逆に①〜③で埋まらない金額なら、④のファクタリングのようなスピード重視の手段が現実的な選択肢になります。
\建設業に強い!売掛金を最短即日で現金化/
建設業特化のファクタリングを見る「見込みが甘い」と言われない社長への報告フォーマット
最後に、私が70万円事件のあとに作った報告の型を紹介します。ポイントは1つ。報告は謝罪ではなく、数字の提示です。
【報告テンプレ】月初の資金繰り報告
① 結論:今月末、支払予定◯◯円に対し資金見込み◯◯円で、◯◯円不足の見込みです
② 根拠:発注ベースの集計です(◯◯現場の外注費◯◯円+△△現場の材料費◯◯円…)
③ 提案:入金前倒しの交渉と経費繰り延べで◯◯円は圧縮できます。残り◯◯円の判断をお願いします
「不足しそうです」だけの報告と、「いくら・なぜ・どうするか」が揃った報告。同じ内容でも、社長の受け取り方はまったく変わります。数字と根拠を添えて月初に出せば、「見込みが甘い」という言葉はもう出てきません。

まとめ|資金繰り表は経理の「守りの武器」
支払不足は、経理の能力不足で起きるのではありません。「請求書が揃うまでわからない」後追い構造のまま放置されていることが原因です。
- 発注書と実行予算で、支払総額を先に見込む(先出し資金繰り)
- 月次の資金繰り表で3か月先を、日繰り表で月末の山場を見る
- 不足は月初に、数字と根拠つきで報告する
この3つが回り出すと、経理は「入力する人」から「会社のお金を先読みする人」に変わります。私自身、あの悔しさがあったから今の仕組みがあります。まずは今月、エクセルで1枚作ってみてください。

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弥生会計 Nextを公式サイトで見る以上、建設業7年目のおけいでした!


