
🔍 先に結論
- 一人経理のつらさは「相談できない」「休めない」「時間が足りない」の3つに分けると、打つ手が見えます
- 相談できない → 内容ごとに、社外の相談先を決めておく(税理士・国税局の電話相談センター・年金事務所・商工会議所など)
- 休めない → 年間カレンダー・支払い一覧・手順メモを残し、自分がいなくても「どこに何があるか」わかる状態にする
- 時間が足りない → 同じ数字を2回打っている作業から減らす。私は入出金の作業時間が半分以下になりました
一人経理のつらさは3つに分けられる
「一人経理がつらい」とひとまとめにすると、何から手をつければいいかわかりません。私の場合、つらさの中身は次の3つでした。
| つらさ | 起きていたこと | 見直す仕組み |
|---|---|---|
| 相談できない | わからないことは、自分で調べるしかない | 社外に相談先を持つ |
| 休めない | 自分が休むと、支払いや入力が止まる | 予定と手順を書き残す |
| 時間が足りない | 仕事量に対して、手が足りない | 入力そのものを減らす |
3つとも、担当者の努力不足から起きるものではありません。経理が一人だと、確認してくれる人・代わってくれる人・分けて持ってくれる人がいません。その形から自然に生まれるつらさです。だから、根性ではなく仕組みで手当てします。

つらさ1:相談できる人がいない → 相談先を社外に持つ
私の会社で経理を担当しているのは、私だけです。迷ったときは、自分で調べるしかありませんでした。ネットの説明は一般の会社向けが多く、建設業にそのまま当てはまるとは限りません。
社内に相談相手がいないなら、社外に決めておきます。コツは、聞きたい内容ごとに相談先を分けておくことです。
内容別の相談先リスト
| 聞きたいこと | 相談先 |
|---|---|
| 決算・税金の判断、自社の仕訳の迷い | 顧問の税理士 |
| 税金の一般的なルール | 国税局の電話相談センター |
| 社会保険の手続き | 年金事務所(建設国保の会社は、加入している組合も) |
| 雇用保険の手続き | ハローワーク |
| 経営・税務・労務の相談全般 | 地域の商工会議所・商工会 |
税金の一般的なルールを聞ける電話相談センターは、各国税局に置かれ、国税局の職員などが電話で答えてくれる窓口です。国税相談専用ダイヤル(0570-00-5901)にかけ、音声案内で「源泉徴収・年末調整」「法人税」「消費税」などの番号を選びます。受付は平日の8時30分〜17時(年末年始を除く)で、通話料はかかります(2026年10月時点の国税庁の案内)。住民税など地方税のことは、市区町村などの担当窓口に聞きます。
商工会議所は、たとえば東京商工会議所の世田谷支部が、税理士や社会保険労務士による税務相談・労務相談の窓口を置いています(世田谷区の案内より)。料金や、会員でなくても使えるかは地域で違います。近くの商工会議所・商工会に確かめてください。
私の会社は健康保険が東京土建の建設国保なので、社会保険の算定基礎届は、組合の相談会で作成をお願いしています。「この手続きはここで聞く」と決まっていれば、その分は一人で調べずに済みます。
聞いた答えは「誰に・いつ・何と」で残す
相談したら、答えをメモに残します。書くのは「誰に聞いたか」「いつ聞いたか」「何と言われたか」の3つです。税金や社会保険のルールは改正で変わります。いつの答えかがわかれば、翌年に聞き直すべきかを判断できます。
このメモがたまると、自分の会社専用の「経理の手引き」になります。次の章の手順メモにもつながります。

つらさ2:休むと止まる → 予定と手順を書き残す
私が休むと、支払いや入力が止まります。だから休みにくい。一人で経理をしている方なら、同じ思いを抱えているのではないでしょうか。
止まる原因は、「何を・いつ・どうやるか」が担当者の頭の中にしかないことです。紙やファイルに出しておけば、急に休む日があっても、社長やほかの人が「どこに何があるか」をたどれます。残しておきたいのは次の3つです。
1. 年間カレンダー
私は、年間の予定を税理士さんに確認して、社内のカレンダーに入れました。期限のある仕事が、私の記憶ではなくカレンダーに載っている状態です。
源泉所得税の納付、算定基礎届、労働保険の年度更新、決算変更届。建設業の経理には、年に1回や半年に1回しか来ない期限がいくつもあります。カレンダーに載っていれば、ほかの人が見ても「今月は何がある月か」がわかります。
\ 月ごとの手続きと期限を一覧で確認 /
建設業経理の年間スケジュールを見る2. 支払い一覧
私の会社の支払いは、月末締め・翌月末払いです。支払先・金額のもとになる請求書・振込先の口座を1枚の一覧にしておけば、担当者以外でも「今月どこにいくら払うか」がわかります。
私の支払一覧では、カナにすると似た名前になる会社にマーカーを引いています。以前、似た名前の協力会社さんへ誤送金したことがあるからです。一覧は、自分の確認にも、ほかの人への引き継ぎにも使えます。
支払日が決まっているなら、使っているネットバンキングに「振込日を先の日付で指定できる機能」があるかも確かめておきましょう。準備を前倒しで終えておけば、支払日の当日に休むことになっても慌てずに済みます。指定した振込は、一覧にも「予約済み」と書いておきます。
3. 手順メモ
毎月の入力や締めの作業は、画面の順番どおりに箇条書きで残します。最初から立派な手順書を作る必要はありません。次にその作業をするとき、やりながら1行ずつ書き足せば十分です。

つらさ3:時間が足りない → 入力を減らす
仕事量が多く、時間が足りない。これが、私がAIを使って経理のツールを作り始めたきっかけでした。プログラミングの経験はありません。
やったことをまとめると、同じ数字を2回打っている作業を探して、1回にすることです。
入出金表への二重入力をやめた
Excelで管理していたころは、入出金を月別の表と年間の表の両方に入力していました。今は、自作のツールに銀行の明細を読み込ませるだけです。作業時間は半分以下になり、打ち間違いも減りました。
1つのExcelから、2つのソフト用のデータを作る
経費の入力は、1つのExcelから、会計ソフト(弥生)用と原価管理ソフト用のCSVを一度に作っています。2つのソフトに同じ元データから取り込むので、毎月両方の数字を見比べるときの誤差が減りました。
出面(だれがどの現場で働いたか)を管理するアプリでは、1日30分の空き時間ができました。作ったツールについては、社内から「分かりやすくなった」「楽になった」という声ももらっています。

AIで作らなくても、考え方は同じです。会計ソフトに銀行明細の取り込み機能があれば、それを使うだけでも二重入力は減らせます。まずは1週間、「この数字、前にも打ったな」と感じた作業に印をつけてみてください。そこが減らせる候補です。
ツールを作ったときの手順は、【経験ゼロ】AIで経理ツールを自作する5ステップにまとめています。

仕組みを変えても軽くならないときは
相談先を持ち、予定と手順を残し、入力を減らしても、まだ回らないことはあります。その場合は、仕事の量そのものが一人分を超えている可能性があります。
社長に相談するときは、「つらい」だけでなく、「何の作業に、月に何時間かかっているか」を見せます。記帳の一部を税理士事務所に頼む、事務の手伝いを入れる。こうした相談も、数字があれば具体的に進められます。
それでも変わらないなら、働く場所を見直すのも1つの選択肢です。体と生活を守ることも、経理を長く続けるための大事な仕事だと思います。
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- 【一人経理】似た会社名で誤送金した日と再発防止の工夫(支払一覧のマーカーと口座番号の確認)
- 【一人経理】信用金庫とメガバンクで回す振込・入金確認の実務(一人で振込を実行するときの確認)
まとめ:まず、いちばんつらいものを1つ選ぶ
- 相談できない → 内容ごとに、社外の相談先を決める。聞いた答えは「誰に・いつ・何と」で残す
- 休めない → 年間カレンダー・支払い一覧・手順メモを残す
- 時間が足りない → 同じ数字を2回打っている作業から減らす
3つを一度に変える必要はありません。今週は、いちばんつらいものを1つだけ選んでください。相談できないなら相談先の表を、休めないなら年間カレンダーを、時間が足りないなら二重入力探しを。1つ手をつければ、次に直す場所が見えてきます。
手順メモの下書きには、チェックリストが役に立ちます。私が書いたKindle本『建設業の経理 はじめの一冊』には、毎日・毎月の仕事の流れと、「毎月のチェックリスト」「決算準備チェックリスト」を載せています。
\ 毎月のチェックリストつき /
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以上、建設業7年目のおけいでした!
※電話相談センターの内容は国税庁、商工会議所の相談窓口は世田谷区の案内(2026年10月確認)をもとにしています。受付時間や利用条件は変わることがあるので、利用前に各窓口で確認してください。


