建設業の経費精算と仕訳|現場の支払いを工事ごとに振り分けるコツ

現場経費の精算ルール 原価管理・積算
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おけい
おけい
こんにちは、建設業7年目のおけいです。現場から200枚近くの領収書が届いたことがあります。経理を始めた頃は仕訳の科目が分からず、税理士に何度も確認していました。
けいりん
けいりん
経費精算の仕訳は「どの工事のための支払いか」で決まるよ!科目の分け方と、精算のルールづくりを一緒に整理しよう^^

🔍 先に結論

  • 判断の軸は「どの工事のための支払いか」。特定の工事のためなら工事原価、会社全体・事務所・営業のためなら販管費
  • 現場のガソリン代・高速代・消耗品は、期中は未成工事支出金(工事原価の経費)に工事ごとに積み上げる
  • 弁当代のように扱いが分かれる支出は、税理士と決めて社内でそろえる
  • 精算書は「日付・現場名・内容・金額・領収書」を必須にし、締め日を決めて守ってもらう
現場から届くガソリン・資材・宿泊・工具の領収書を経理が工事ごとに振り分けるイメージ

建設業の経費精算が難しい理由

建設業では、同じガソリン代でも「どの工事に使ったか」で計上先が変わります。A工事の現場へ向かったときの給油はA工事の原価です。営業で元請を訪問したときの給油は、会社全体の費用(販管費)になります。

金額は同じでも行き先が違うので、経理は「どの現場の支払いか」を知らないと仕訳できません。精算書に現場を書く欄がないと、現場の経費が会社全体の費用にまざります。すると工事ごとの原価が実際より少なく出て、どの現場が赤字かが見えなくなります。

しかも現場の支払いは、作業員や現場担当者の立替が多くなりがちです。私の会社でも、現場の担当者が職人さんへの日当や材料費の立替を月末まで報告してこないことがよくあります。科目の分け方と、精算の集め方の両方を決めておくことが近道です。

経費の計上先は「工事原価」と「販管費」の2つ

判断の基準は1つです。「その支払いは特定の工事のために発生したか」。Yesなら工事原価、Noなら販管費(販売費及び一般管理費)です。

工事原価に入れる経費は、工事が終わるまでは未成工事支出金(まだ完成していない工事にかかったお金の置き場所)に工事ごとに積み上げます。完成したら完成工事原価に移します。期中は「工事原価の経費」の科目で入れておき、決算で未完成の分を未成工事支出金に振り替えるやり方の会社もあります。どちらでも、工事ごとに分けて記録することが肝心です。

支払いの内容工事原価(経費)になる例販管費になる例
ガソリン代・高速代現場への移動・資材の運搬営業・事務所の用事での移動
駐車場代現場の近くの駐車場事務所・営業先の駐車場
宿泊費遠方の現場に泊まり込むとき営業や研修の出張
消耗品(軍手・安全靴など)現場で使う物事務用品
弁当・飲み物代扱いが会社ごとに分かれる(下の③で説明)
取引先との飲食・贈答―交際費

車も同じ考え方で分けられます。私の会社では、職人さんが使う車の費用は工事原価、営業用の車は販管費に分けています。倉庫の費用は販管費です。費目ごとの線引きをもっと知りたい方は『工事原価と一般管理費の違い|費目別の判断基準と誤分類のリスク』も見てください。

けいりん
けいりん
「旅費交通費」「車両費」は一般の会社でよく見る科目だけど、現場のための支払いを入れると工事の原価が少なく出ちゃう!現場の分は工事原価に入れてね^^

よくある経費の仕訳例

① 現場のガソリン代・高速代

現場への移動や資材の運搬に使ったガソリン代・高速代は、その工事の原価(経費)です。1日に複数の現場を回ったときは、走った距離や現場にいた日数など、会社で決めた基準で分けます。

取引借方貸方
A現場へ向かう車のガソリン代を現金で精算未成工事支出金(経費・A工事)8,000現金 8,000
営業で元請を訪問したときのガソリン代を現金で精算車両費(販管費)5,000現金 5,000

私の会社でも、高速代・ガソリン代を誰がどの現場で使ったか分からず、仕訳に毎月丸1日かかっていた時期があります。ガソリンカードを入れる前は、現場の人に「領収書をなくした」と言われて困ることも何度もありました。いまはガソリンカードと法人ETCカードを入れていて、経理の作業が月10時間以上減っています。

カードの明細なら、車ごと・カードごとに利用が残ります。給油の立替をやめたい方は『新設法人でも使える法人ガソリンカード|建設業の燃料費管理』、2枚まとめて検討したい方は『法人ETCカード&ガソリンカードで現場経費がラクに!』を見てください。開業したばかりでカードの審査が心配な方向けには『【建設業】開業直後でもETCカードを作る方法』があります。

② 現場の消耗品・工具

軍手・安全靴・ヘルメットなど現場で使う消耗品は、工事原価の経費です。1つの工事だけで使う物はその工事へ、複数の工事で使う物は会社で決めた基準で分けて入れます。

取引借方貸方
A現場用の軍手・安全靴を作業員が立て替えた(精算は後日)未成工事支出金(経費・A工事)12,000未払金(立て替えた作業員への精算分)12,000
後日、作業員に現金で精算した未払金 12,000現金 12,000

工具は金額に注意します。取得価額が10万円以上の物は、原則として固定資産になり、何年かに分けて費用にします。中小企業向けの特例もあるので、高い工具を立て替えで買ったときは税理士に確認してから入れましょう。

③ 現場の弁当代・飲み物代

現場の作業員に出す弁当や飲み物は、扱いが分かれやすい支出です。工事原価の経費として入れる会社もあれば、福利厚生費として入れる会社もあります。人によって、また支給のしかたによっては給与として扱う必要が出ることもあります。自分で決めずに税理士と決めて、社内でそろえるのが安全です。

元請や取引先との飲食・贈答は交際費(販管費)です。交際費は税金の計算で損金にできる額に上限があり、資本金1億円以下などの中小法人は年800万円までが目安です。領収書には「誰と・何の目的で・何人で」をメモしておきましょう。

④ 遠方の現場の宿泊費

遠方の現場に泊まり込んだときのホテル代は、その工事の原価(経費)です。営業や研修での出張の宿泊は販管費(旅費交通費)になります。ここでも分け方は「どの工事のためか」です。

なお、給与と一緒に払う手当(現場手当など)は経費精算ではなく給与計算で扱います。現場で働く人の手当は労務費として工事原価に入ります。手当の計算は『建設業の給与計算が複雑になる理由と正しい処理方法』で整理しています。

⑤ 材料を立て替えて買ったとき

現場の人がホームセンターで材料を立て替えて買ったときは、経費ではなく材料費です。私の会社では、現場に直接入れる材料はその工事の原価(材料費)に入れます。倉庫に置く材料は、いったん材料貯蔵品(在庫)に入れ、使ったときに工事原価へ移しています。くわしくは『建設業の材料費の仕訳|現場直送と倉庫保管で変わる科目と流れ』を見てください。

⑥ 領収書の消費税で気をつけること

インボイス(適格請求書)の登録がない店のレシートは、仕入税額控除が一部しか受けられません。2026年10月から2028年9月までの支払いは、消費税額の70%が控除の対象です(経過措置)。控除できない分は、支払った費用と同じ科目に含めます。

一方で、税込3万円未満の電車・バスの運賃や、従業員に払う出張旅費のうち通常必要な分などは、インボイスがなくても帳簿の記載だけで控除できる特例があります。会社の規模によって使える特例も変わるので、迷ったら税理士に確認しましょう。

けいりん
けいりん
弁当代や高い工具みたいに迷う支払いは、その場で決めずに税理士と決めてメモしておこう!次からは同じ科目で入れられるよ^^

経費精算のルールを整える4つのポイント

① 精算書の項目をそろえる

精算書はExcelやGoogleスプレッドシートで十分です。「日付・現場名(工事番号)・内容・金額・領収書」の5つを必須にします。現場名があれば、経理が「どの工事の支払いか」を聞き直す手間がなくなります。

「少額なら現場名は不要」のように金額で分けるやり方もあります。ただ、少額の支払いも積み重なると工事の原価が変わります。私の会社では金額で分けず、すべての領収書に現場名を書いてもらっています。

② 締め日と支払日を決める

「毎月20日締め・翌月5日払い」のように、締め日と支払日を固定します。締め日を過ぎた分は翌月に回すルールも一緒に伝えておきましょう。

決算の前は特に気をつけます。私の会社では、経費の領収書が決算後に出てきて、次の期で入力したことがあります。それからは、決算の1か月前に社内へ声をかけて領収書を出してもらうようにしています。

③ よくあるトラブルを先に防ぐ

よくあるトラブルは次の3つです。

  • 領収書の紛失・提出の遅れ:月をまたぐと計上する月がずれます。締め日と、遅れたときの扱いを決めておきます
  • 私的な支払いのまぎれ込み:「内容」欄をくわしく書いてもらい、金額の大きいものは領収書と精算書を照らし合わせます
  • 現場名の書き忘れ:あとから現場を特定するのは大変です。現場名のない精算書は差し戻します

④ 立替そのものを減らす

精算の手間をいちばん減らすのは、立替を減らすことです。ガソリンや高速代はカードに、まとまった現金が要る場面は前渡し(仮払金)に切り替えられます。前渡しの仕訳と精算の流れは『仮払金・仮受金の仕訳と現場精算の実務|決算前に必ず精算』で、立替をやめる進め方は『建設業の経費管理がうまくいかない理由|現金立替をやめるだけで数字は整う』で紹介しています。

仕訳の入力を楽にする工夫

工事ごとの原価を会計ソフトとは別のソフトで管理していると、同じ経費を2回入力することになります。私の会社は会計が弥生、工事ごとの原価が原価ビルダーです。経費は1つのExcelに入力して、弥生に取り込むデータ(CSV)と、原価ソフトに入れるためのデータの両方を作るツールを使っています。原価ソフトは取り込めるものと取り込めないものがあるので、取り込めないものは一覧を見ながら手で入力しています。

Excelの精算書で回すのが大変になってきたら、経費精算の機能もまとめて使えるクラウド会計ソフトを試す方法もあります。私の会社の会計は弥生なので、マネーフォワードは仕事では使っていません。無料期間で、自社の精算の流れに合うか確かめてみてください。

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領収書・レシートの保管方法

領収書は、仕訳の裏付けになる大事な書類です。精算書と一緒に、月ごと・現場ごとなど、あとで探しやすい順に保管します。

紙の領収書は、電子帳簿保存法の「スキャナ保存」の要件を満たして画像で保存すれば、原本を捨てることもできます。スマホで撮影する方法もありますが、要件があります。国税庁の案内で確かめ、顧問税理士とも相談しながら、少しずつ進めるのがおすすめです。

まとめ:経費精算の仕訳は「どの工事のためか」から始める

  • 特定の工事のための支払いは工事原価(期中は未成工事支出金などで工事ごとに)、会社全体・事務所・営業の分は販管費
  • 弁当代や高い工具など迷う支払いは、税理士と決めて社内でそろえる
  • 精算書は「日付・現場名・内容・金額・領収書」を必須に、締め日を固定する
  • カードや前渡しで立替そのものを減らす

まずは今月の精算書に「現場名」の欄があるかを確かめてみてください。欄が1つ増えるだけで、工事ごとの原価がぐっと正しくなります。あわせて日々の記帳も効率化したい方は、無料で試せるクラウド会計ソフトも使ってみてください。

以上、建設業7年目のおけいでした!