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🔍 先に結論
- 建設業の経理の大変さは、計算よりも現場からの書類を待つことと、同じことを何度もお願いすることに出やすいです
- 向いているかは、性格より「この場面で平気か」で確かめると判断しやすくなります
- 大変さは会社の体制で大きく変わります。入社前に5つの質問で確かめておくと、入ってからのずれを減らせます
- この記事の体験は、元請(自社に工事を発注する会社)から仕事を受ける内装下地の会社で、経理を一人で担当している私の会社の話です
建設業の経理が大変なのは、現場とのやりとりの場面
建設業の経理には、建設業ならではの科目や、工事ごとに原価を分ける仕事があります。そのうえ、現場は事務所の外にあります。書類やお金の報告は、現場の人を通して届きます。
私が大変だと感じたのも、計算そのものより、この現場とのやりとりでした。
| 大変だった場面 | 私の会社で起きたこと |
|---|---|
| 現場からの報告を待つ | 現場の担当者が、職人さんへの日当や材料費の立替(先に払ったお金)を、月末まで報告してこないことがよくあります |
| 書類が月末に集まる | 月末の書類処理に追われて、残業が続いた時期がありました |
| 社内に相談できる人がいない | 経理は私一人です。始めたころは科目が分からず、社外の税理士に何度も確認していました |
建設業の経理の仕組みの違いは「建設業の経理の特徴5つ」にまとめています。一人で担当するつらさと対処は「一人経理がつらい時に見直すこと」をどうぞ。ここから先は、その大変さが自分に合うかどうかを確かめる方法です。
向いているかは「この場面で平気か」で確かめる
几帳面さや数字への抵抗のなさだけでは、入社後の仕事を想像しにくいかもしれません。そこで、私の会社で実際にあった場面を5つ並べました。読みながら「これなら平気」「これはつらいかも」と、自分の感覚で答えてみてください。

場面1:報告が来ない人に、何度でも声をかけ直せるか
現場の立替の報告が月末まで来ないのは、私の会社ではよくあることです。締めに間に合わせるには、こちらから聞きにいく形になりがちです。
領収書に現場名を書いてもらうルールも、私が決めたものの、最初はなかなか守られませんでした。何度も伝え直して、ようやく習慣になりました。同じお願いを、責めずに言い続けられるか。これが一つめの分かれ目です。
場面2:分からないことを、そのままにせず聞けるか
私は経理の経験がないまま、今の会社に入りました。経理の資格は、高校で取った簿記3級だけでした。
始めたころは仕訳の科目が分からず、税理士に何度も確認しました。たとえば、未収入金と前受金の違いや、未成工事支出金(途中の工事にかかったお金)を完成工事原価に移すタイミングです。「こんなことを聞いていいのかな」と迷うより、聞いて確かめる人のほうが早く慣れると思います。
場面3:月末に仕事が重なっても、順番を決めて片づけられるか
私の会社では、現場の書類が月末にまとまって届きます。領収書が200枚近く届いた月もありました。仕事が一度に来ても、「現場ごとに分ける→入力する→確かめる」のように順番を決めて片づけられる人に向いています。
場面4:人によって違うやり方を、そろえていけるか
私の会社では、見積書・出来高・請求書を誰が作るかが、番頭さん(現場をまとめる担当者)ごとにバラバラだった時期があります。その後、「経理は番頭さんが作った資料をチェックするだけ」と役割を決めてから、ミスが減りました。役割の見直しに関われる職場なら、決まっていないことに気づいて話し合いに加われる人は、力を発揮しやすいと思います。
場面5:数字の変化を、言葉で説明できるか
私は毎月、工事ごとの原価の一覧や会社全体の損益をまとめた資料を、社内のミーティングで画面に映して報告しています。続けるうちに、社長が数字の変化に自分で気づけるようになってきました。「先月より何が変わったか」を伝えるのが苦にならない人は、社内で頼られやすいと思います。
反対に、経理の仕事を机の上だけで終わらせたい人は、少なくとも私の会社のような専門工事会社では、しんどく感じると思います。5つの場面のどれにも、現場の人とのやりとりが入っているからです。
「つらいかも」と思った場面があったら、次の章の質問で、その会社の体制を確かめてみてください。
| 「つらいかも」と思った場面 | 確かめたい質問 |
|---|---|
| 場面1:声をかけ直す | ③ 現場の領収書や立替の届き方 |
| 場面2:分からないことを聞く | ① 経理の人数・相談先 |
| 場面3:月末に仕事が重なる | ① 忙しい時期や休むときのフォロー/⑤ 受け持つ範囲 |
| 場面4:やり方をそろえる | ② 請求書を作る人 |
| 場面5:数字を説明する | ④ 原価の管理と照合、数字の共有 |

入社前に確かめたい5つの質問
ここに挙げる5つは、私の会社で大変だったことを、入社前に確かめる質問の形に直したものです。
先に、私の前提を書いておきます。私が経理として知っているのは、今の会社1社だけです。入社も、夫が会社を立ち上げるときの手伝いで、面接は受けていません。そのため、この質問を自分で聞いたことはありません。
聞くタイミングは、面接の最後の「何か質問はありますか」や、会社見学のときです。求人票に書いてあることは、あいまいな点だけ確かめれば十分です。5つ全部でなくても、気になる2〜3個を選んで聞いてみてください。

| 確かめたいこと | 聞き方の例 |
|---|---|
| ① 経理の人数・相談先と、忙しい時期のフォロー | 「経理のご担当は何名でしょうか。月末や決算前に仕事が重なるときや、お休みの方がいるときは、どなたがフォローされていますか」 |
| ② 元請への請求と、請求書を作る人 | 「元請さんへの請求は、工事の進み具合に合わせた出来高請求でしょうか。請求書は、現場の方と経理のどちらで作っていますか」 |
| ③ 現場の領収書や立替の届き方 | 「現場の方が使った経費の領収書は、月のいつごろ、どんな形で経理に回ってきますか」 |
| ④ 原価の管理と照合、数字の共有 | 「工事ごとの原価は、どんなソフトや表で管理されていますか。会計ソフトの数字と合わせるのは、どなたのお仕事ですか」 |
| ⑤ 経理以外に受け持つ範囲 | 「経理のほかに、給与計算や社会保険の手続き、協力会社さんの書類の確認などをお願いすることはありますか」 |
① 経理は何人か、忙しいときや休むときは誰が助けるか
私の会社の経理は私一人で、税理士は社外の先生です。仕訳は私が入れています。困ったのは、相談できる人がいないこと、休むと支払いや入力が止まること、時間が足りないことでした。
場面2の「聞く」が気になった人は、「仕訳などで判断に迷ったときは、社内外のどなたに相談できますか」と聞いてみてください。経理が一人の会社でも、税理士にどこまで相談できるかで、心細さは変わります。
私の会社は10月末が決算で、準備は10月の初めから始めます。気になる会社では、忙しい時期に休めるか、休んだときに支払いが止まらないかを確かめておきましょう。「忙しいですか」より「お休みの方がいるときは、どなたがフォローされていますか」と聞くほうが、実態が見えます。
② 元請への請求は出来高か、請求書は誰が作るか
私の会社では、元請への請求は、ほぼすべての現場が出来高請求です。工事が終わるのを待たずに、進み具合に合わせて請求します。
場面4で書いたとおり、見積書・出来高・請求書を誰が作るかが、番頭さんごとにバラバラだった時期もありました。請求書を作るのが現場か経理かで、経理の毎月の仕事の量と中身は大きく変わります。

③ 現場の領収書や立替は、いつ・どう届くか
工事ごとの原価は、現場の領収書や、協力会社の請求書などをもとに集めます。私の会社では、ガソリンカードを入れる前、現場の人に「領収書をなくした」と言われて困ることが何度もありました。
領収書に現場名を書くルールは、私が決めて、何度も伝え直して習慣にしたものです。応募して入る場合、同じように経理からルールを決められるとは限りません。余裕があれば「経理からお願いして、やり方が変わったことはありますか」と聞いてみると、職場の雰囲気がつかめます。
④ 工事ごとの原価は何で管理し、誰が照合するか
私の会社では、会計は弥生、工事ごとの原価は「建設原価ビルダー5」という原価管理ソフトで管理しています。2つのソフトの数字を毎月突き合わせ、税理士に資料を出す前にも必ず照合しています。
ソフトが2つあれば、照合の仕事も生まれます。Excelで原価を管理している会社なら、入力や照合をどう進めているかも聞いておくと、入社後の仕事を想像しやすくなります。
場面5の「数字を説明する」が気になった人は、「工事ごとの原価や会社全体の損益は、どなたがまとめて、社内でどのように共有されていますか」と聞いてみてください。まとめた数字を誰に、どう伝えるのかまで分かると、経理に期待されている役割が見えてきます。
⑤ 経理以外に、どこまで受け持つか
私は経理のほかに、毎月の給与計算と、新しく入った社員の健康保険(建設国保)の手続きをしています。建設業許可の決算変更届(毎年の決算を役所に届ける書類)の作成と、積算(見積りの数量を拾う仕事)も兼ねています。
協力会社の約半分は一人親方です。一人親方の労災保険や社会保険の書類を出してもらい、確認するのも私の仕事です。会社によっては、求人票に「経理」とあっても、仕事の範囲がそれより広いことがあります。「経理以外に何を兼ねるか」を聞いておくと、入ってからの驚きが減ります。建設国保の手続きの流れは「建設国保の入社手続き」で紹介しています。
未経験の人・経験がある人へ
経理が未経験の人は、まず「経理未経験で建設会社の経理を始めたら」で、入社後に最初に覚える全体図をつかんでください。1年目に覚える仕事の順番は「建設業経理の1年目ロードマップ」にまとめています。私も、簿記3級だけを持って、経験なしで始めました。
面接の前に、出来高請求など建設業の経理の流れに慣れておきたい人には、私が書いたKindle本もあります。
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『建設業の経理 はじめの一冊』をAmazonで見るほかの業種で経理をしていて、建設業の会社も候補にしている人は、5つの質問をそのまま比べる物差しに使えます。社内で仕事を広げる道と転職の整理は「建設業経理のキャリアアップ」に書いています。
よくある質問
Q. 簿記の資格がなくても、建設業の経理に応募できますか?
応募の条件は会社ごとに違うので、まず求人票の「必須」と「歓迎」の欄を確かめてください。私は経理の経験がなく、経理の資格は高校で取った簿記3級だけで始めました。建設業ならではの言葉は、入ってから覚えました。
Q. 建設業経理士の資格は、入社前に取っておくべきですか?
入社前に必ず要る資格ではありません。ただ、経営事項審査(公共工事を元請として直接受けたい会社が受ける審査)では、1級・2級の建設業経理士の人数が評価の項目に入ります。経審を受けている会社かどうかで、資格の重みが変わります。私の会社は経審を受けておらず、資格手当もありません。簿記2級との違いは「建設業経理士と簿記2級の違い」にまとめています。
Q. ほかの業種の経理経験は、建設業でも活かせますか?
仕訳や月次の締め、決算といった経理の基本は、業種が変わっても同じです。建設業で新しく覚えるのは、工事ごとに原価を分けることや、出来高請求、建設業ならではの科目です。私は今の会社の経理しか知らないので、違いの全体像は「建設業の経理の特徴5つ」で確かめてください。
Q. 経理が一人の会社は、避けたほうがいいですか?
一人かどうかだけで決めるより、困ったときの相談先があるかを確かめるのがおすすめです。私の会社も経理は一人で、相談できる人がいない・休みにくい・時間が足りない、の3つに困りました。その一方で、私の場合は、領収書のルールのように仕事のやり方を自分で決められた面もありました。応募して入る場合は、ここは会社によって違います。一人の会社なら、税理士にどこまで相談できるかを聞いておくと安心です。
Q. 面接で質問をたくさんすると、印象が悪くなりませんか?
私は面接を受けて入社していないので、体験としてはお答えできません。この記事では、5つの質問から気になる2〜3個に絞ることをおすすめしています。聞くときは「入社後に早く仕事に慣れたいので」のように理由を一言添えると、なぜ聞くのかが相手に伝わります。
まとめ:大変さは、入る前にある程度見当がつく
5つの場面で「つらいかも」と思うものがあっても、それだけで向いていないとは限りません。大変さの多くは、会社の体制で変わるからです。
まずは気になる会社の求人票を見ながら、5つの質問のうち聞けそうなものに印をつけてみてください。入社前に体制が分かっていれば、入ってからの「こんなはずじゃなかった」を減らしやすくなるはずです。
経理・財務の経験があり、建設業の会社も含めてほかの会社と比べたい人は、経理職向けの転職エージェントに相談する方法もあります。ツインプロは、首都圏の会計・財務の転職に特化したサービスで、経理・財務の経験者が対象です。経験や地域など、自分が対象になるかどうかは、無料相談の申し込み時に確認してください。特徴と注意点は「ツインプロの口コミ・評判」で整理しています。


