元請支給材料の仕訳|無償・有償の違いと相殺の処理

建設業の経理・仕訳
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おけい
おけい
こんにちは、おけいです!元請から「材料はこっちで出すから」と言われた工事、帳簿にどう乗せるか迷いませんか?私も最初の頃、支給材を材料費に計上してしまい、粗利率がおかしくなって上司に指摘されたことがあります。

🔍 先に結論

  • 無償支給(貸与品)は自社の帳簿に原価として乗せない。所有権は元請のまま。数量の受払管理だけする
  • 有償支給は買い取って材料費に計上する。支払は請負代金との相殺が多い
  • 支給材がある工事は粗利率が見かけ上高く出る。他の工事と率だけで比べない
  • 消費税と会計基準の細かい判断は、顧問税理士と元請への確認を前提にする

支給材料には「無償支給」と「有償支給」の2種類がある

支給材料には「無償支給」と「有償支給」の2種類がある

まず、自社が受け取った材料がどちらなのかを確認します。ここを決めないと仕訳は1行も切れません。無償か有償かで、原価も粗利率も消費税も変わります。

無償支給(貸与品)有償支給
材料の所有権元請のまま自社に移る
自社の材料費計上しない計上する
お金の流れなし請負代金から差し引かれることが多い
見積金額材料分を含めない材料分を含める
消費税自社の課税仕入にならない材料の購入は原則として課税取引
管理すること受払簿・受領書・残材の返却請求書・相殺明細の照合

「無償」は材料をタダでもらうという意味ではありません。元請が自分で買った材料を、下請に使わせているだけです。だから所有権は元請に残ります。

「有償」は、元請が仕入れた材料を下請が買い取る形です。買い取った時点で自社の材料になります。

せきさんくん
せきさんくん
どっちなのかは注文書に書いてあるはずだ!書いてなければ元請に聞こう。「たぶん無償」で進めるのがいちばん危ない。

無償支給(貸与品)の仕訳|帳簿には乗せず、数量だけ管理する

無償支給(貸与品)の仕訳|帳簿には乗せず、数量だけ管理する

仕訳は不要。材料費にも売上にも計上しない

無償支給の材料を受け取っても、仕訳は切りません。自社はお金を払っていないし、材料の持ち主でもないからです。

私が失敗したのはここでした。現場から「ボード〇〇枚入りました」と報告が来て、単価を掛けて材料費に入れてしまったのです。元請の材料を自社の原価にすると、その工事だけ赤字に見えます。

帳簿に乗せなくても、受払の記録は必要

金額は書かなくていい。数量は必ず書く。これが無償支給の管理ルールです。

残すものは3つです。

  • 受領書(品名・数量・受け取った日・元請担当者の確認)
  • 受払簿(受け取った数・使った数・残った数)
  • 残材の返却記録(返した日・数量・元請の受取確認)

元請から「支給した数と使った数が合わない」と言われたとき、この記録がないと反論できません。私の会社では、現場監督が受領書の写真を撮って事務に送る形にしています。

余った材料を返さないとどうなるか

残材は元請の持ち物です。返さずに別の現場で使うと、元請から材料代を請求されたり、信用を失ったりします。

「少しくらいなら」が積み重なると、次の工事の受注に響きます。返す・引き取ってもらう・買い取る、のどれにするかを工事の前に決めておきましょう。

有償支給の仕訳|材料費に計上し、相殺で精算する

有償支給の仕訳|材料費に計上し、相殺で精算する

受け取ったときの仕訳

有償支給は、材料を元請から買ったのと同じです。仕入先が元請になっただけ、と考えると迷いません。

以下の例は金額を税抜で示し、消費税の仕訳は省いています。

借方金額貸方金額
材料費(工事A)10万円工事未払金(元請)10万円

貸方は買掛金ではありません。一般企業の買掛金にあたる科目が、建設業では工事未払金です。建設業の財務諸表の様式では、工事にかかわる未払いは工事未払金に計上します。買掛金は、建設業以外の兼業がある会社が使う科目です。

もう1つのポイントは工事番号を付けることです。有償支給の材料費はその工事の原価なので、工事別に集計できる形で入力します。

請負代金と相殺されて入金されたときの仕訳

有償支給の代金は、元請が請負代金から差し引いて振り込んでくるパターンが大半です。工事Aの請負代金が100万円、支給材の代金が10万円だったとします。

完成して請求したとき。

借方金額貸方金額
完成工事未収入金100万円完成工事高100万円

90万円が振り込まれたとき。

借方金額貸方金額
普通預金90万円完成工事未収入金100万円
工事未払金(元請)10万円

売上は100万円のまま、材料費は10万円のまま。入金が90万円だからといって、売上を90万円にしてはいけません。相殺は「支払と入金を同時にした」だけです。

元請から届く相殺明細(支払通知書)には、差し引いた支給材の金額が載っています。自社の工事未払金の残高と一致するかを毎月照合しましょう。

元請側は支給した時点で売上を立てない

加工した品物を元請が買い戻す取引に当たる場合、元請は材料を支給した時点で売上を計上しません。買戻しの義務があってもなくても同じです。あとで工事の代金として受け取る分と、売上が二重に立つのを避けるためです(収益認識に関する会計基準の適用指針)。

分かれるのは、支給した材料を在庫から落とすかどうかです。買戻しの義務があるときは、原則として落としません。ただし建設業の材料支給と代金相殺が、いつもこの定めに当てはまるとは限りません。

そのため元請から来る請求書や相殺明細の名目が「材料売上」ではなく「立替」「預り」のような表記になることがあります。自社側でどう処理するかは、契約書の内容と元請の請求書の形をそろえて、顧問税理士に確認してください。ここは推測で決めない方が安全です。

見積・実行予算との関係|粗利率が見かけ上高くなる落とし穴

見積・実行予算との関係|粗利率が見かけ上高くなる落とし穴

無償支給の工事は、見積から材料分が抜ける

無償支給の工事は、見積に材料費を入れません。労務費と経費だけで見積を組みます。実行予算も同じで、材料の行は数量だけ書いて金額はゼロにします。

有償支給の工事は逆です。買い取る材料の金額を見積にも実行予算にも入れます。

粗利額は同じでも、粗利率は変わる

ここが経理担当が混乱するところです。同じ内容の工事を、材料あり・材料なしで並べてみます。

材料を自社で買う工事無償支給の工事
売上1,000万円700万円
材料費300万円0円
労務費・経費500万円500万円
粗利額200万円200万円
粗利率20%約28.6%

もうかった金額は同じ200万円です。しかし粗利率は無償支給の工事の方が高く見えます。率だけを見て「この元請の工事は利益がいい」と判断すると間違えます。

私は積算も兼任しているので、月次の工事別粗利一覧に「支給材あり」の印を付けています。印がある工事は率でなく粗利額で比べる。この1手間で、社内の会話がかみ合うようになりました。

せきさんくん
せきさんくん
粗利率で比べたいなら、支給材の金額を仮に足して計算する方法もあるぞ。ただし帳簿には入れない。あくまで比較用の数字だ!

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消費税と書類の注意点|元請と揉めないために

消費税は「材料を買ったかどうか」で分かれる

無償支給の材料は、自社が買ったものではありません。資産の譲受けがないので、自社の課税仕入れに当たりません。仕入税額控除の対象にも入れないでください。

有償支給は、原則として材料を買ったのと同じ課税取引です。相殺で精算しても、売上100万円・仕入10万円をそれぞれ総額で消費税の計算に入れます。差し引き後の90万円だけで計算しないよう注意してください。

ただし例外があります。元請が支給した材料を自分の資産として管理している場合、その支給は消費税の対象になりません。このときは自社の側も、材料代を差し引いた金額(純額)が課税売上になります。分かれ目は「買い戻す約束があるかどうか」ではなく、「元請が自分の資産として管理しているかどうか」です。どちらに当たるかは元請の処理を確認しないと決まりません。

元請から受け取る支給材の請求書がインボイス(適格請求書)の要件を満たしているかも確認が必要です。消費税の細かい判断は、必ず顧問税理士に確認してから処理してください。この記事は実務の考え方の整理で、税務判断の根拠にはなりません。

注文書・注文請書に支給材の内訳を書いてもらう

揉めごとの原因は、ほぼ「口約束」です。以下の4点を注文書に入れてもらいましょう。

  • 無償か有償か
  • 品名・数量・(有償なら)単価
  • 残材の扱い(返却・引き取り・買い取り)
  • 有償支給の精算方法(相殺か、別途支払か)

元請の注文書に欄がなければ、注文請書に自社側で書き添えても構いません。私の会社では、支給材のある工事は請書を出す前に元請の担当者と電話で1回すり合わせています。5分の電話で、後の1時間の言い合いを防げます。

おけい
おけい
現場の人は「材料が来た」で満足しがちです。事務側から「受領書もらった?」と声をかけるのが、経理担当の仕事だと思っています!

よくある質問

無償支給の材料を自社のトラックで運んだ費用はどうする?

運搬にかかった燃料代や人件費は、自社の工事原価(経費や労務費)です。材料そのものは計上しませんが、運ぶ手間は自社の負担なので原価に入れます。

無償支給の材料を現場で壊した・なくしたときは?

元請から弁償を求められることがあります。請求されたら、その金額を自社の経費(または工事原価)として処理します。弁償の範囲は契約次第なので、注文書の取り決めを確認してください。

有償支給の相殺は、売上を減らす処理でもいい?

おすすめしません。売上と材料費を両方とも総額で計上し、入金時に工事未払金を消す形にしてください。売上を減らすと、完成工事高が実態より小さくなり、消費税の計算や経営事項審査の数字にも影響します。

有償支給の材料が余ったら、元請に返せる?

買い取った材料なので、原則は自社の在庫です。返品できるかは元請との取り決めによります。返品を受けてもらえた場合は、材料費と工事未払金を戻す仕訳を切ります。

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まとめ|支給材は「誰の持ち物か」で帳簿の扱いが決まる

無償支給は元請の持ち物なので帳簿に乗せない。有償支給は自社の持ち物になるので材料費に乗せ、相殺で精算する。迷ったら「この材料は誰のものか」に立ち返ってください。

今すぐできることは1つです。今月受注した工事の注文書を開いて、支給材の欄があるか確認してみてください。欄がない工事が1件でもあれば、元請にひと言聞くところから始めましょう。

以上、建設業7年目のおけいでした!