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建設業の決算は、一般業種と比べて独特の処理が多くあります。
工事完成基準を前提とした場合、決算期末時点で完成している工事・未完成の工事を正確に把握し、それぞれに適切な処理を行うことが決算の核心です。
私が初めて建設業の決算を経験した時、「どの工事が完成済みか・どの工事がまだ進行中か」の整理だけで数日かかりました。事前の準備が決算をスムーズに進める鍵です。
🔍 先に結論


決算期末時点で「完成・引き渡し済みの工事」と「まだ進行中の工事」を一覧化します。
この分類が全ての処理の出発点になります。工事台帳と現場の状況を突き合わせて確認しましょう。

完成した工事の未成工事支出金を、完成工事原価に振り替えます。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 完成工事原価 | ○○円 | 未成工事支出金 | ○○円 |

期末時点で完成していない工事に関する費用は、引き続き「未成工事支出金」として貸借対照表に残します。
工事台帳の残高と帳簿残高を照合し、差異がないことを確認することが重要です。
倉庫や現場に保管されている材料の実地棚卸しを行い、帳簿残高と照合します。
| 状況 | 仕訳 |
|---|---|
| 棚卸差益(実際 > 帳簿) | 材料貯蔵品 / 雑収入 |
| 棚卸差損(実際 < 帳簿) | 棚卸減耗損 / 材料貯蔵品 |

着手金・中間金として受け取った「未成工事受入金」の残高を確認し、完成した工事分を完成工事高に振り替えます。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 未成工事受入金 | ○○円 | 完成工事高 | ○○円 |

建設業では、決算時に次の引当金を設定することが必要になる場合があります。一般企業にはない建設業特有の引当金も含まれるため、見落とさないよう注意が必要です。

工事の見積りを超える損失が発生することが確実・合理的に見込まれる場合、損失見込額を当期に引当金として計上します。
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 工事損失引当金繰入額 | ×××円 | 工事損失引当金 | ×××円 |
引き渡し済みの工事について、将来の瑕疵担保責任(補修費用)に備えて設定します。完成工事高の一定割合(例:0.2〜0.5%)を毎期積み立てていきます。
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 完成工事補償引当金繰入額 | ×××円 | 完成工事補償引当金 | ×××円 |

決算では、当期に発生した費用でもまだ支払っていないもの(未払費用)、翌期以降の費用を当期に支払ったもの(前払費用)を適切に処理します。
| 処理の種類 | 内容 | 借方 | 貸方 |
|---|---|---|---|
| 未払費用 | 当期発生・未払いの費用(給与・社保等) | 各費用科目 | 未払費用 |
| 前払費用 | 翌期分の費用を当期に支払った分(保険料等) | 前払費用 | 各費用科目 |
| 未収収益 | 当期分収益で未計上のもの | 未収収益 | 各収益科目 |
| 前受収益 | 翌期分収益を当期に受領した分 | 各収益科目 | 前受収益 |
私が初めて建設業の決算を担当した際、未払社会保険料の見越し計上を忘れて、決算後に税理士から指摘されたことがあります。月次で積み上げておくと決算時に慌てずに済みます。


建設業の決算は、経理部門だけでは完結しません。現場担当者との情報共有が不可欠です。決算月の1か月前を目処に、以下の事項を現場担当者と確認するようにしましょう。
まず「工事完成状況の確認」として、期末(決算日)までに完成・引き渡しが完了する工事と、完成しない工事を一覧化します。「引き渡し書にサインをもらっているか」を確認し、完成の証拠書類を揃えておきます。
次に「材料の棚卸し状況の確認」として、倉庫や現場に残っている材料の数量・単価を把握します。現場担当者に棚卸しシートを配布し、決算日時点の在庫を数えてもらうことが必要です。
また「外注費の未払い確認」として、決算日までに完了した工事に関して、まだ請求書が届いていない外注業者がいないかを確認します。外注業者に「いつ請求書を送ってもらえるか」を事前に確認しておくと、決算処理がスムーズです。
私が実務で実感していることとして、現場担当者に「決算のために何が必要か」を年初に説明しておくと、期末の連携がスムーズになります。「経理のために協力してほしい理由」を伝えることで、現場との関係が良くなります。
建設業の決算は、一年間の工事実績を正確に数字に反映させる重要な作業です。工事が完成したか・材料の在庫はいくらか・引当金の設定は適切かを一つひとつ確認していくことで、信頼性の高い決算書が完成します。
決算書の数字は、税務申告・銀行融資・経審(経営事項審査)・取引先との与信判断など、多くの場面で活用されます。特に建設業では経審の点数が公共工事の受注に直結するため、決算書の正確性が会社の競争力を左右します。
初めて建設業の決算を担当する方へ:一つひとつの工事について「原価は確定しているか・売上は計上したか・前受金は消えているか」の3点を確認するところから始めましょう。このシンプルな確認が、正確な決算の基礎になります。
建設業の決算処理は、日々の工事台帳管理と月次の仕訳積み上げがあって初めてスムーズに進みます。年に一度の決算時だけ頑張るのではなく、日常業務の精度を高めることが最大の近道です。
建設業の決算は、一年間の工事実績を正確に数字に反映する集大成です。日々の工事台帳管理と月次処理の積み重ねが、スムーズな決算処理への最短ルートです。毎年確実にレベルアップしていきましょう。
建設業の決算は、まず「どの工事が完成したか」を正確に把握することがすべての出発点です。
日ごろから工事台帳を整理し、材料の出庫・棚卸しを月次で行っておくと、決算時の作業量が大幅に減ります。

建設業の決算を楽に進めたい方には、弥生会計 Nextがおすすめです。工事台帳との連携で決算処理の効率が上がります。