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🔍 先に結論
- 経理・総務・事務・積算・営業の業務は、受検資格の実務経験として認められません(受検の手引に明記)
- 経験記述は、建築では令和6年度から問題に示された工事概要に、自分の経験・知識で答える形です。答えの土台は施工管理の実務です
- 二次検定を目指すなら、まず現場の施工管理の実務を積むことが出発点です
- 経理で身につけた数字の見方は、施工管理の実務を経験したあとで記述の厚みに生かせます
経理・総務の仕事は「実務経験」にならない
最初に、いちばん大事な前提です。経理・総務の仕事は、施工管理技術検定の受検資格になる「実務経験」に入りません。
試験機関の建設業振興基金が出している「受検の手引」には、実務経験として認められない業務がはっきり書かれています。
- 設計、積算、保守、点検、維持、メンテナンス、事務、営業などの業務
- 工事現場の事務、積算、営業などの業務
- 工事での雑役務だけの業務、単純な労働作業
- 入社後の研修期間
(出典:建設業振興基金「令和8年度 1級建築施工管理技術検定 受検の手引」「実務経験として認められない工事・業務等」より抜粋)
つまり、請求書のチェック、支払いの管理、原価の集計、見積のための積算は、どれだけ工事に関係していても実務経験には数えられません。「現場の事務」も対象外です。


受検資格になる「実務経験」とは
受検の手引では、実務経験を「工事の施工の管理に直接的に関わる技術上の職務経験」としています。具体的には、工程管理・品質管理・安全管理などを含めて工事の施工を管理した経験です。
認められる立場は、次の3つです。
- 施工管理:工事を請け負った会社の立場で、施工を管理した経験
- 施工監督:発注者側の立場で、現場の監督をした経験
- 設計監理:設計者などの立場で、工事監理をした経験
新しい受検資格の手引には「補助者としての経験を含む」とも書かれています。施工管理の補助として現場の管理に関わった期間は対象になりえます。ただし、補助でも中身が施工の管理であることが条件です。事務の手伝いは含まれません。
二次検定に必要な実務経験の年数(新受検資格)
令和6年度から受検資格が変わりました。一次検定は年齢だけで受けられます(受検する年度のうちに、1級は満19歳以上、2級は満17歳以上になる人)。一方、二次検定には実務経験が必要です。新受検資格では、一次検定などに合格したあとの実務経験の年数で判定します。
| 受けたい試験 | 主な新受検資格(いずれか。ほかのルートもあります) |
|---|---|
| 2級建築 二次検定 | 2級一次合格後に実務経験3年以上/1級一次合格後に実務経験1年以上 |
| 1級建築 二次検定 | 1級一次合格後に実務経験5年以上/特定実務経験1年以上を含む実務経験3年以上/監理技術者補佐として1年以上 など |
(出典:建設業振興基金「1級 建築施工管理技術検定」「2級 建築施工管理技術検定」の案内ページ)
学歴と実務経験年数で判定する旧受検資格も、経過措置として令和10年度まで使えます。どちらの資格で受けられるかは人によって違うので、受検する年度の受検の手引で必ず確認してください。
実務経験は工事ごとに証明が必要
令和6年度以降の新受検資格では、実務経験を原則として工事ごとに証明します(国土交通省 令和5年7月3日の通知)。施工管理の経験なら、その工事を請け負った会社の代表者など、またはその工事の監理技術者・主任技術者が証明者になります。どの工事で、どの立場で、何をしたのかが問われます。
事務の仕事を書き換えるのは虚偽申請になる
経理として請求書を確認した経験を、実務経験証明書などの申請書類に施工管理の経験として書くのは虚偽の申請です。
受検の手引には、申請書類の記載に虚偽があれば受検や合格を取り消すと書かれています。不正受検が分かった場合は、受検の停止や合格の取消しが行われます。さらに、不正に取った資格で建設業の許可や経営事項審査を受けたり、技術者として配置したりすると、建設業法違反になることもあります。
本人だけでなく、証明した会社にも迷惑がかかります。実際に担当していない業務は、1行も書かないのが鉄則です。

経理・総務から二次検定を目指す道
事務の仕事だけをしているあいだは、実務経験の年数は増えません。二次検定を本気で目指すなら、現場の施工管理を担当することが出発点です。
ステップ1:自分の経験が対象になるか確かめる
これまでの仕事で、施工の管理に直接関わった工事があるかを洗い出します。ない場合は、今の時点では二次検定の受検資格がありません。迷うときは、試験機関に問い合わせるのが確実です。
ステップ2:会社と相談して、現場の施工管理を担当する
施工管理の担当や補助として、工程・品質・安全などの管理を受け持たせてもらえるか、会社に相談します。実務経験は工事ごとに会社の証明が必要なので、どの工事で何を担当したかを自分でも記録しておきましょう。
ステップ3:一次検定は先に受けておける
一次検定は実務経験がなくても受けられます。新受検資格では「一次合格後の実務経験」を数えるので、先に一次に合格しておくと、そこから年数を積み上げられます。

経験記述は「自分の経験・知識」で答える
ここからは、施工管理の実務を積んだあとの話です。なお、建築の第二次検定は記述式の問題が中心で、マークシート方式(択一)の問題もあります。
建築の第二次検定では、令和6年度から経験記述の問題(問題1)の形が見直されました。以前のように自分が経験した工事の概要を書くのではなく、問題に示された建物の概要や現場の状況に対して、自分の経験・知識をもとに施工管理上の課題や対策を答えます(1級・2級共通。2級は受検種別に合わせて、示された複数の工事概要から1つを選んで答えます)。答えの土台になるのは、施工管理の実務で積んだ経験です。
出題テーマは種目や年度で変わります。予備校の解説では、建築の経験記述のテーマとして品質管理・工程管理・建設副産物対策などが挙げられています。原価管理がテーマとして出るとは限りません。「経理出身だから原価管理で書く」と決め打ちせず、最新の試験問題で出題の形を確認しましょう。建築以外の種目は、出題の形も種目ごとに確かめてください。
書くときの基本の流れ
- 工事概要を読む(建物の概要・現場の状況。建築では問題に示されます)
- 課題・問題点(なぜ管理が必要か)
- 管理・対策(自分の経験・知識をもとに、何を判断し、どう動くか)
- 設問で指定されたほかの項目(理由・効果・留意事項など)
答えは、問題に示された工事概要(建物や現場の状況)に合わせて書きます。示された条件で何が課題になるかを読み取ったうえで、自分の経験・知識から対策を考えます(設問2のように、工事概要にかかわらず答える設問もあります)。
「何をするか」は施工管理の行動で書く
書くのは、施工管理として現場で行う管理です。たとえば工程管理なら、次のような違いが出ます。
× 「工程を管理する」
◯ 「天井ボード張りの前に設備業者と配管検査の日を打ち合わせて確定させ、検査待ちで作業が止まらないよう作業の順番を組み直す」
請求書の照合や支払いの調整など、経理として行った作業を施工管理の対策として書いてはいけません。それは施工の管理ではないからです。
架空の工事で見る記入例(工程管理)
上の4つの流れで考えを整理した例です。実在の工事ではなく、書き方を見せるための架空の例です。実際の試験では、問題に示された工事概要と設問に沿って、自分の経験・知識をもとに答えます。設問で書く項目(重点を置く理由・実施すべき内容・得られる効果など)は、級や年度で変わります。受検する年の問題に合わせてください。
記入例(架空の工事)
【工事概要(問題に示される想定)】建物:○○ビル(事務所)/工事の内容:事務所2フロアの間仕切り・天井・床の改修/現場の状況:天井の中の空調ダクトと配管も更新する
【課題】天井ボードを張る前に、天井の中の空調ダクトと配管の検査を終える必要がある。設備業者の検査日が決まらないままだとボード張りが止まり、その後の内装仕上げまで遅れるおそれがある。
【管理・対策】着工前の打合せで設備業者と検査日を確定させる。そのうえで、検査が済んだ区画から順にボードを張れるよう、区画ごとの作業順序を工程表で組み直す。検査前の区画に張らないよう、検査済みの区画をボード業者と毎朝の打合せで共有する。
【効果】検査待ちで作業が止まる日をなくし、内装仕上げを予定どおりの日程で始められる。
この例で押さえたいのは、次の3点です。
- 課題には「なぜ問題になりそうか」「いつまでに手を打つ必要があるか」を入れる
- 対策の文は、「誰と・いつ・何をするか」まで具体的に書く
- 設問で求められた項目は、感想や反省ではなく、具体的な内容で答える
経理の作業(請求書と実行予算の照合、支払計画の調整など)を、この形に当てはめて書くことはできません。答えの土台は、あくまで施工管理の実務で身につけた経験と知識です。

よくあるNGパターン
- 経理・事務の業務を、施工管理をしたかのように書く
- 実際にしていないことを、自分の経験として書く
- 「補助的に」「指示を受けて」など、自分の判断が見えない書き方
- 抽象的で、何をしたのかが分からない
「補助的に」は、補助をしていたことを隠せという意味ではありません。補助の立場で身につけた経験も、具体的に書けば答えの材料になります。
書き終えたら確かめたい5つのこと
- 答えは、施工管理の実務で身につけた経験・知識に基づいているか(事務の作業になっていないか)
- 工事概要に沿って答える設問では、示された工事概要(建物や現場の状況)に合った答えになっているか
- 対策が「誰と・いつ・何をするか」まで具体的になっているか
- 課題→判断と対策が、1本の話としてつながっているか
- していないこと、大きく盛ったことが混ざっていないか
経理・総務の経験が生きるのは「厚み」の部分
経理・総務の経験は、記述の題材にはなりません。生きるのは、施工管理の実務を経験したあと、その内容を深く説明する場面です。
- 工程の遅れや手戻りが、どれくらいのコスト増につながるかを数字で捉えられる
- 実行予算や出来高の考え方が分かっているので、設問で管理の効果を問われたときに具体的に説明しやすい
- 一次検定で学んだ用語と、日々見ている数字を結びつけて理解できる
あくまで、施工管理の実務で身につけた経験と知識が主役です。経理の目は、その管理の意味や効果を説明するときの補強として使いましょう。

まとめ|まず実務経験、記述はそのあと
経理・総務・事務・積算の仕事は、二次検定の受検資格になる実務経験には入りません。経験記述も、建築では問題に示された工事概要に自分の経験・知識で答える形なので、施工管理の実務を積んでいることが前提です。
二次検定を目指すなら、まず受検の手引で今の自分の状況を確かめましょう。そのうえで、会社と相談して現場の施工管理を担当するところから始めてください。一次検定は実務経験なしで受けられるので、先に合格しておくのも一つの手です。
この記事のまとめ
- 事務・経理・総務・積算・営業の業務は実務経験にならない
- 経験記述は、問題に示された工事概要に自分の経験・知識で答える(建築・令和6年度から)
- 事務の仕事を書き換えるのは虚偽申請になる
- 経理の視点は、施工管理の実務を積んだあとで記述の厚みに生かす
以上、建設業7年目のおけいでした!


