見積では利益が出ているはずなのに、工事が終わると手元に残らない。建設業の経理をしていると、この「粗利が現場で溶けていく」感覚に何度も出会います。
原因の多くは、原価をどんぶり勘定のまま工事を進めていることです。「実行予算書を作らなきゃ」と思いつつ、日々の見積や請求書に追われて後回し。気づけば竣工していて、儲かったのか赤字なのかは請求書がそろってから判明する。心当たりはないでしょうか。

その私が続けられるようになったのは、根性ではなくExcelの形を変えたからでした。この記事では、実行予算書の作り方と「続ける仕組み」を、無料テンプレート付きでお伝えします。
🔍 先に結論
- 実行予算書は見積金額と実際の原価のズレを事前に見える化する書類。粗利を守る道具です
- 続かない原因は「時間がかかる・様式がない・見積と二度手間」の3つ。意志の問題ではありません
- 見積→実行予算→出来高をExcelでつなげると、入力1回で回り続ける。無料テンプレートあり
実行予算書とは?見積書との違いと必要な理由

実行予算書(工事ごとの原価の予算書)は、着工前に「この工事に使えるお金の上限」を決める書類です。見積書が「お客様に出す売値の内訳」なら、実行予算書は「自社で使う原価の計画」。同じ工事を、外向きと内向きの2つの顔から見る関係です。
作り方の骨組みはシンプルです。受注金額から目標の粗利を先に引き、残りを材料費・労務費・外注費・経費に割り振ります。この「先に粗利を取り分ける」順番がポイントです。
粗利は「結果として残るもの」ではなく、「最初に決めて守るもの」です。予算がないまま工事を進めると、材料の追加発注や応援の人工代で原価がじわじわ膨らみます。それに気づくのは、工事が終わって請求書が出そろったあと。その時点ではもう1円も取り返せません。

実行予算書が続かない3つの原因

実行予算書が続かないのは、担当者の意志が弱いからではありません。「明日から頑張る」で解決しないものは、仕組みで解決するしかありません。つまずくポイントは、どの会社もほぼ次の3つに集約されます。
原因1:作るのに時間がかかりすぎる
実行予算書は項目数が多く、1件作るのに数時間かかることも珍しくありません。工事のたびにこの手間が発生すると、忙しい月は必ず飛ばします。そして1回飛ばすと、「作らないのが普通」にすぐ戻ってしまうのです。
原因2:会社に決まった様式がない
様式がないと、毎回ゼロから枠組みを考えることになります。担当者によって書き方もバラバラ。前の工事と比べられない予算書は、作っても経営判断に使われません。「使われない書類」を作り続けられる人はいないでしょう。
原因3:見積と別で作ると二度手間になる
いちばん大きい原因がこれです。見積書に書いた項目と金額を、実行予算書へもう一度手入力する。同じ数字を2回打つ作業は苦痛なうえに、転記ミスも起きます。二度手間の書類は、繁忙期に真っ先に切り捨てられます。

解決策:Excelで「見積→実行予算→出来高」をつなげる

続けるコツは、頑張ることではなく入力回数を減らすことです。入力は1回、数字は見積・予算・出来高の3枚に流れる。これが「続くExcel」の形です。建設業の原価管理を仕組みにするなら、押さえる点は次の3つです。
- 見積の数字をそのまま予算に流す:見積書の項目と金額をセル参照で実行予算書に引っ張る。二度打ちをゼロにする
- 月ごとの出来高(工事の進み具合に応じた完成高)の欄を作る:月末に出来高を入れるだけで、粗利の推移を毎月追える
- 材料費と工賃(労務費)を分けて管理する:合算だと「材料が高かったのか、人工がかかりすぎたのか」を特定できない
とくに材料費と工賃の分離は、専門工事業のいちばんのコツです。赤字の原因分析に使えるだけでなく、「労務単価がこれだけ上がっている」と元請への単価交渉の材料にもなります。

私自身、この形にしてから予算書が続くようになりました。「現場を知らない事務には無理」と言われながら1級建築施工管理技士の一次検定に半年の独学で合格したのですが、その勉強でいちばん効いたのも「原価を内訳で分けて見る」視点です。もともとは自分の実務のために、入力の手間を減らしたExcelを自作したのが始まりでした。
まず無料Excelテンプレートで1現場やってみる

最初の1現場は、無料テンプレートで十分です。無料版は実行予算書1枚のシンプルな構成で、原価を入れると粗利と粗利率まで自動計算されます。登録は不要です。
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- 見積書から工事名・項目・受注金額を写す
- 材料費・労務費・外注費・経費の予算を入れる(粗利率は自動計算)
- 工事が終わったら実際の原価を入れて、予算とのズレを確認する
完璧な様式を探すより、まず1現場ぶんの数字を入れてみるほうが10倍早く身につきます。ズレた項目こそ、次の見積の精度を上げる材料です。
数現場回して「見積からの転記が面倒」「月ごとの推移も見たい」と感じたら、完全版の出番です。完全版は見積書と実行予算書が連動し、単価マスタで単価が自動入力されます。月別出来高は13ヶ月分。手持ちデータの取込機能も付いています。私が実務で使っている形を、そのまま商品にしました。
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完全版をnoteで見る(¥2,430)まとめ:実行予算書は「作り方」より「続け方」
- 実行予算書は、見積と実際原価のズレを事前に見える化して粗利を守る道具
- 続かない原因は「時間・様式・二度手間」の3つ。意志ではなく仕組みで解決する
- 見積→実行予算→出来高がつながるExcelなら、入力1回で回り続ける
「気づいたら赤字だった」は、実行予算書が1枚あるだけでほぼ消せます。まずは無料テンプレートをダウンロードして、直近の1現場から数字を入れてみてください。物足りなくなったら、完全版がその先を引き受けます。
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