【建設業経理士1級】総資本経常利益率のデュポン分解|収益性を2つに分ける

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おけい
おけい
こんにちは、おけいです。都内内装会社で総務経理を7年やりながら、建設業経理士1級を独学中です。今週は演習期の第8週で、公式暗記を毎日2時間まわしています。今日は財務分析の山場である「総資本経常利益率のデュポン分解」を、私が試験当日に思い出せる形にほぐしてお話しします。

🔍 先に結論

  • 総資本経常利益率は「経常利益÷総資本」で、会社全体の稼ぐ力を示す指標です。
  • デュポン分解では、これを「売上高経常利益率」×「総資本回転率」の2要素に分けます。
  • 利益率は儲けの厚さ、回転率は資本の使い方の速さを表しています。
  • 試験では「掛け算になる理由」と「どちらが下がったか」を問う問題が頻出です。

📚 私が使っているテキスト

財務分析の公式は、ネットスクール『建設業経理士1級 出題パターンと解き方 財務分析』で暗記しています。デュポン分解の例題も豊富で、私は第4章を3周しました。

🎥 動画講義でも学べます(簿記の教室メイプル)

わたしが独学で活用している「簿記の教室メイプル」の該当講義です。建設業経理士1級 財務分析 第37回 収益性分析〜自己資本利益率〜分解(デュポンシステム)でデュポンシステムによる収益性の分解が学べます。この記事と合わせて視聴すると理解が深まります。

総資本経常利益率のデュポン分解とは

デュポン分解とは

総資本経常利益率のデュポン分解は、1つの比率を2つの比率の掛け算に分けて中身を見る方法です。もとの式は「経常利益÷総資本」ですが、途中に「完成工事高」を挟むことで、儲けの厚さと資本の回し方に分けられます。

デュポンという名前は、100年ほど前にアメリカのデュポン社が社内管理で使い始めたことに由来します。名前は難しそうですが、やっていることは分数の分子と分母に同じものを掛けているだけです。

せきさんくん
せきさんくん
分数に同じ数を掛けても値は変わらんぞ。だから分解しても、もとの総資本経常利益率と一致する。ここが土台じゃ。

なぜ分解するのか

総資本経常利益率が下がったとき、原因が「利益の薄さ」なのか「資本の使いすぎ」なのかは、1つの比率のままだと見えません。デュポン分解を使えば、どちらが悪化したかを一目で切り分けられます。

分解の基本式(利益率×回転率)

デュポンの基本式

デュポン分解の式はこうなります。

総資本経常利益率 = 売上高経常利益率 × 総資本回転率

式で書くと、経常利益÷総資本 =(経常利益÷完成工事高)×(完成工事高÷総資本)、です。真ん中の「完成工事高」が約分されて、もとの式に戻ります。

建設業では「売上高」を「完成工事高」と読む

建設業経理士では、一般の「売上高」を「完成工事高」と呼びます。試験の解答欄も完成工事高で書かせるので、普段からこの用語で覚えるのが安全です。

けいりん
けいりん
完成工事高って書くのがルールなんだね!売上高って書いたら減点されちゃうのかな…?

利益率(経常利益÷完成工事高)の意味

利益率

売上高経常利益率は「工事1本あたり、どれだけ経常利益が残るか」を表します。分子の経常利益は、営業利益に受取利息などを足し、支払利息などを引いたあとの利益です。

この比率が高い会社は、単価を守れているか、原価を締められているか、あるいは営業外の利息負担が軽い会社です。逆に低い会社は、値引きが多いか、下請けへの支払いが重いか、借入が大きいかのどれかです。

建設業でこの比率が動く要因

元請の値引き要求、資材高騰、外注比率の上昇、この3つが利益率を圧迫する典型です。私の会社でも、鋼材が上がった年は完成工事原価率が2ポイント悪化し、経常利益率も一気に薄くなりました。

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回転率(完成工事高÷総資本)の意味

回転率

総資本回転率は「1年間で、総資本を何回転させて工事高に変えたか」を表します。単位は「回」です。1回転なら、総資本と同じ額の工事を1年でこなしたことになります。

建設業は工期が長く、未成工事支出金や受取手形が資産に積み上がりやすい業種です。そのため製造業や小売業に比べて、回転率は低めに出るのが普通です。目安は1.0~1.5回転あたりです。

回転率を上げる方法

方法は2つあります。分子の完成工事高を増やすか、分母の総資本を減らすかです。中小の内装会社なら、遊休の車両や工具を売る、売掛金の回収を早める、未成工事支出金を膨らませない、といった手が現実的です。

両者の掛け算が総資本経常利益率になる理由

掛け算の理由

ここが試験で一番問われる部分です。掛け算になる理由は、途中で挟んだ「完成工事高」が約分されるからです。

具体例で見ます。経常利益300、完成工事高5,000、総資本4,000の会社を考えます。

  • 売上高経常利益率 = 300÷5,000 = 6.0%
  • 総資本回転率 = 5,000÷4,000 = 1.25回
  • 掛け合わせ = 6.0% × 1.25 = 7.5%
  • もとの式 = 300÷4,000 = 7.5%

数字がぴたりと一致します。これが「途中に同じものを挟んで約分する」というデュポン分解の正体です。

どちらが下がったかを見抜く

去年の総資本経常利益率が8.0%、今年が6.0%だったとします。利益率が7.0%→5.5%、回転率が1.14回→1.09回だったら、悪化の主因は利益率です。分解しないと、この判定はできません。

じむねこ
じむねこ
原因が分かれば、打ち手も変わるにゃ。利益率悪化なら値決めや原価、回転率悪化なら資産のスリム化。処方箋が違うのだにゃ。

試験でよく問われるポイント3つ(まとめ)

デュポン分解で押さえるべき論点は3つです。

  1. 約分の仕組み:「完成工事高」を分子分母に挟むから成立する。
  2. 用語の使い分け:売上高ではなく「完成工事高」と書く。
  3. どちらの悪化か:前期比較で利益率と回転率のどちらが落ちたかを判定する。

この3つが揃えば、記述問題も選択問題も落としません。過去問では第◯回で「掛け算が成立する理由を説明せよ」、別の回で「利益率悪化と回転率悪化を判別せよ」というパターンが出ています。

📌 あわせて読みたい

建設業経理士1級の勉強計画|90日×毎日2時間の独学戦略

財務分析の公式を覚える順番と、演習期の進め方をまとめています。デュポン分解は第8週の目玉です。

まとめ

総資本経常利益率のデュポン分解は、儲けの厚さと資本の回し方に分ける道具です。約分の仕組みを腹落ちさせておけば、公式は忘れません。用語は「完成工事高」で統一し、前期比較で悪化要因を切り分ける訓練を積んでください。

おけい
おけい
私は付箋に「経常÷総資本=(経常÷完工)×(完工÷総資本)」と書いて、机の上に貼っています。手を動かして分子分母を書き出すクセをつけると、本番で必ず思い出せます。次の週は自己資本利益率のデュポン分解に進みます、いっしょにがんばりましょう。