建設業の月次数字チェックリスト|社長が月1回15〜30分で見る12項目【印刷用シート付き】

ID388 0_eyecatch.png 事業とお金の管理
記事内に広告が含まれています。
おけい
おけい
こんにちは、建設業の総務で経理と積算を兼任しているおけいです。「社長も数字を見た方がいい」とは分かっていても、忙しいと後回しになりますよね。私自身、毎月の数字チェックで請求の間違いや経費の増えすぎに気づけた経験があります。
けいりん
けいりん
月1回、15〜30分のチェックで会社の状態は十分つかめるよ!12項目を順番に見るだけだから、今月から始めてみてね^^

今回の記事でわかること

  • 月1回のチェックで十分な理由
  • チェック前に用意する3つの資料
  • 社長が月1回やる数字チェック全12項目
  • 印刷して使えるチェックシート(12項目の一覧表)
  • チェックを続ける仕組みと、事務の役割

🔍 先に結論

  • 社長の数字チェックは月1回・15〜30分で足りる
  • 用意する資料は試算表・請求一覧・現場別原価メモの3つだけ
  • 見るのは売上・請求・入金・原価・固定費・資金の全12項目。最後に「次の行動」を1つ決める
  • 「完璧」より続けられることが最優先。記事内の一覧表を印刷してそのまま使える

建設業の社長から、よくこんな声を聞きます。

  • 「数字を見る時間がない」
  • 「経理は事務と税理士に任せている」
  • 「決算のときだけ確認している」

利益が出ているはずなのにお金が残らない。決算直前になって慌てる。こうした状態の多くは、社長が途中の数字を見ていないことから始まります。

とはいえ、毎日帳簿を眺める必要はありません。この記事のチェックリストを月1回、上から順に確認するだけで十分です。


月1回30分の数字チェックで会社を守る
  1. なぜ建設業は「月1回」の数字チェックが必要なのか
    1. 決算は「過去」、月次は「今」を判断するためのもの
    2. 建設業は数字のズレが起きやすい
    3. 毎日ではなく「月1回」でいい理由
  2. チェック前の準備|この3つだけ用意する
  3. 建設業の社長が月1回やる数字チェックリスト全12項目
    1. ① 今月の売上はいくらか
    2. ② 未請求の工事はないか
    3. ③ 入金されていない請求はどれか
    4. ④ 今月の原価はいくらか
    5. ⑤ 現場別に赤字は出ていないか
    6. ⑥ 粗利は残っているか
    7. ⑦ 固定費は想定内か
    8. ⑧ 預金残高はいくらか
    9. ⑨ 前受金の工事は進んでいるか
    10. ⑩ 借入金と返済状況はどうか
    11. ⑪ 3か月後の資金は足りるか
    12. ⑫ 今月の数字から「次の行動」を1つだけ決める
  4. 印刷して使える月次数字チェックシート(12項目の一覧表)
  5. 数字を「見ているつもり」になっていないか|セルフチェック
    1. チェックができていない社長の特徴
    2. チェックを続けている会社に起きる変化
  6. よくある失敗パターン3つ
  7. チェックリストを仕組みにして続けるコツ
  8. 社長の数字チェックを支える事務の役割
  9. 私が毎月チェックしている数字と、そこから気づいたこと
    1. 毎月必ず見る3つの数字
    2. チェックして実際に気づいた異変
    3. 販管費は現場の人に伝わりにくい
  10. 会計ソフトと併用すると、チェックがさらにラクになる
  11. まとめ|月1回の数字チェックが会社を守る
    1. あわせて読みたい関連記事

なぜ建設業は「月1回」の数字チェックが必要なのか

決算は「過去」、月次は「今」を判断するためのもの

決算書は会社の成績表です。ただし、出来上がるのは期末から数か月後。その時点で数字を見ても、ほとんどは直せません。

月次の数字は「今、会社がどんな状態か」を知るためのものです。

  • 資金繰りは詰まりそうか
  • 利益が出ている現場と危ない現場はどこか
  • このまま進んで大丈夫か

これを早めに知ることが、会社を守ることにつながります。

建設業は数字のズレが起きやすい

建設業には、ほかの業種より数字がズレやすい特徴があります。

  • 工期が長く、請求と入金のタイミングがずれる
  • 原価が後から確定する
  • 現場ごとに利益率が大きく違う

そのため「なんとなく黒字」という感覚は危険です。決算だけ見ている会社では、原価の超過に気づくのが遅れたり、資金繰りが急に苦しくなったりしがちです。

毎日ではなく「月1回」でいい理由

現場は月単位で動き、請求・支払いも月締めが基本です。だから社長は月1回、決まった流れで確認するだけで足ります。

細かい資料を何十枚も見る必要はありません。時間をかける管理は、忙しい社長ほど続かないからです。見るのは売上・原価・資金という会社の血流に直結する数字だけで十分です。


チェック前の準備|この3つだけ用意する

完璧な資料をそろえる必要はありません。次の3つを手元に置けば始められます。

  • 月次試算表(速報値・概算でOK)
  • 売上・請求一覧(今月請求した金額・未請求の工事・入金予定日)
  • 現場別原価メモ(材料費・外注費・労務費のざっくりした数字)

預金残高は、通帳やネットバンキングでその場で確認すれば大丈夫です。精度は7割で十分。まず「見る習慣」をつけることを優先しましょう。

けいりん
けいりん
準備するのは「月次試算表・売上請求一覧・現場別原価メモ」の3つだけ!事務さんに毎月同じ形で出してもらうと、チェックがぐっとラクになるよ^^

全12項目チェックリスト

建設業の社長が月1回やる数字チェックリスト全12項目

①〜③が売上と請求、④〜⑦が原価と利益、⑧〜⑪がお金、⑫が次の行動です。上から順に見ていきます。

① 今月の売上はいくらか

まずは一番基本の数字です。今月の売上を、前月・前年同月と比べます。

  • 思っていた売上とズレていないか
  • 大きな増減の理由を説明できるか
  • 急に増えている → 無理な受注をしていないか
  • 落ちている → 受注のペースが落ちていないか

売上は会社の「体温計」です。金額そのものより変化を見ましょう。

② 未請求の工事はないか

建設業で多いミスのひとつが、工事は終わっているのに請求していないケースです。

  • 完了した工事の一覧と、請求済みの一覧を突き合わせる
  • 検収待ちで止まっている工事はないか
  • 請求が遅れている工事はないか

請求していない売上は、いつまでもお金になりません。特に月末・期末は、売上の数字と「請求まで終わっているか」をセットで確認してください。

③ 入金されていない請求はどれか

請求したのに、まだ入金されていないお金の確認です。建設業の会計では「完成工事未収入金」と呼びます。資金繰りが苦しくなる原因の多くはここにあります。

  • 未回収の金額と件数
  • 入金予定日どおりに入っているか
  • 何か月も回収できていない取引先はないか
  • 特定の元請けに未回収が偏っていないか

未回収のお金は「売上」ではなく「リスク」です。毎月増え続けているなら要注意。1件の入金遅れが、資金繰り全体に響くこともあります。

④ 今月の原価はいくらか

利益を見る前に、原価を確認します。建設業で一番怖いのは、売上が増えているのに利益が出ていない状態です。

  • 工事原価の合計(材料費・外注費・労務費など)を前月と比べる
  • 売上に対して原価が増えすぎていないか
  • 理由の分からない増加は危険信号

すべての原価が確定していなくても大丈夫です。傾向をつかむことが目的です。

⑤ 現場別に赤字は出ていないか

全部の現場を細かく見る必要はありません。赤字の現場と、利益が薄すぎる現場だけを拾います。

  • なぜ赤字になったのか
  • 次の現場で同じことが起きない対策はあるか

赤字の理由は、次の見積りや受注の判断に活かします。ここまでやって、はじめてチェックが意味を持ちます。

⑥ 粗利は残っているか

粗利(売上から工事原価を引いた利益)は会社の命綱です。建設業の会計では「完成工事総利益」と呼びます。粗利が薄いと、給与も上げられず、設備投資もできません。

  • 粗利の金額と粗利率(%)を確認する
  • 自社の過去の平均より下がっていないか
  • 理由なく数%下がっているなら要注意
  • 安い仕事を取りすぎていないか

粗利率の目安は、工事の種類や元請け・下請けの立場で大きく変わります。他社の数字より、自社の先月・昨年との比較で見るのが確実です。「売上が増えたのになぜか苦しい」原因の多くは、粗利率の低下にあります。

⑦ 固定費は想定内か

固定費は、一度増えると下げにくい支出です。売上が増えていないのに固定費だけ増えていれば、利益は確実に削られます。

確認する項目:人件費・事務所家賃・リース料・通信費・保険料・ソフト利用料など

前月より明らかに増えている科目があれば、「なぜ増えたか」を事務に聞いてみましょう。

⑧ 預金残高はいくらか

利益より先に見るべき数字です。利益が出ていても、お金がなければ会社は回りません。

  • 今の預金残高と、前月からの増減
  • 来月の支払いに足りるか
  • 借入の返済後にいくら残るか
  • 固定費の数か月分をまかなえるか

建設業は帳簿上の利益と手元のお金がズレやすい業種です。残高だけでなく、この先の入金予定とセットで見てください。

⑨ 前受金の工事は進んでいるか

工事が終わる前に先にもらっているお金(前受金)の確認です。建設業の会計では「未成工事受入金」と呼びます。

  • 前受金を受け取った工事は予定どおり進んでいるか
  • 前受金を、ほかの支払いに使い込んでいないか

前受金で預金が多く見えても、それはこれから工事にかかるお金です。「お金があるから大丈夫」と思い込まないようにしましょう。

⑩ 借入金と返済状況はどうか

借入は悪ではありません。問題は、管理していないことです。

  • 借入残高と毎月の返済額
  • 利益の中から返済できているか
  • 新しい借入が必要な状況か

借入の全体像をつかんでいないと、気づかないうちに会社の余力が削られていきます。

⑪ 3か月後の資金は足りるか

細かい予測はいりません。入金予定と大きな支払いを並べるだけで十分です。

  • お金が足りなくなる月はないか
  • 設備投資・納税・賞与など、大きな支払いの時期はいつか

不安を感じた時点で動けば、手は打てます。一番のリスクは、何もしないことです。

⑫ 今月の数字から「次の行動」を1つだけ決める

チェックの最後に、必ずこれをやります。

  • 赤字の現場が多い → 見積りの出し方を見直す
  • 資金が不安 → 請求と入金の管理を強める
  • 未回収が多い → 特定の取引先に入金の確認をする
  • 利益が薄い現場がある → 来月はその現場を重点的に管理する

数字を見て終わりでは意味がありません。行動を1つ決めることで、チェックが経営の改善につながります。

けいりん
けいりん
大事なのは、数字から「次の行動」を決めること!チェックしただけで終わるのが一番もったいないよ!

印刷して使える月次数字チェックシート(12項目の一覧表)

ここまでの12項目を、1枚の表にまとめました。このページを印刷するか、表をExcelに写して毎月使ってください。「メモ」欄には金額や気づいたことを書き込みます。

確認No.チェック項目見るポイントメモ
□①今月の売上前月・前年同月と比べて大きな増減はないか
□②未請求の工事終わった工事をすべて請求したか
□③入金されていない請求入金予定日どおりか・長く回収できていない先はないか
□④今月の原価売上に対して増えすぎていないか
□⑤現場別の赤字赤字・利益が薄い現場と、その理由
□⑥粗利・粗利率自社の過去の平均より下がっていないか
□⑦固定費前月より増えた科目はないか
□⑧預金残高来月の支払い・返済に足りるか
□⑨前受金受け取った工事は進んでいるか
□⑩借入金残高と毎月の返済額・利益で返せているか
□⑪3か月後の資金大きな支払いの月に足りるか
□⑫次の行動今月決めた行動を1つ書く

このシートは、次のような場面でも使えます。

  • 社長自身の月次確認
  • 税理士との打ち合わせ資料
  • 事務担当との数字の共有

数字を「見ているつもり」になっていないか|セルフチェック

チェックができていない社長の特徴

次に当てはまるなら、数字を「見ているつもり」になっているかもしれません。

  • 月末の預金残高しか確認していない
  • 売上は分かるが、未請求・未入金はつかんでいない
  • 原価や粗利は決算のときにしか見ない
  • 赤字の現場が出ても、原因を振り返っていない
  • 税理士から資料が来たときだけ数字を見る

共通するのは、数字を判断の材料ではなく「結果の報告」として扱っていることです。これでは、問題に気づいたときには手遅れになりがちです。

チェックを続けている会社に起きる変化

  • 資金繰りの不安が減る
  • 赤字の現場に早く気づける
  • 見積りや受注の判断が、感覚頼りでなくなる
  • 税理士との打ち合わせが短く、中身の濃いものになる
  • 社内で数字の会話が増える

よくある失敗パターン3つ

× 数字を眺めて終わる
→ 必ず「次の行動」を1つ決める

× 完璧な資料を求める
→ 精度は7割で十分。速報値でまず見る

× 税理士の説明待ちになる
→ 自分で見て、分からない部分だけ聞く


習慣化の3要素

チェックリストを仕組みにして続けるコツ

月1回のチェックを習慣にするには、次の3つが効きます。

  • 日にちを固定する(例:毎月10日、給与計算のあと など)
  • 30分以内で終わらせるルールにする
  • 同じ書式を使い続ける(上の一覧表を毎月使えば、前月と比べやすい)

特におすすめなのが、事務担当と一緒に見ることです。社長が数字に関心を持つと、事務も「もっと分かりやすく整理しよう」と工夫します。月1回の30分が、社長と事務の連携を強くします。

けいりん
けいりん
続けるコツは「決まった日・決まった時間・決まった書式」!完璧を目指すと続かないから、まずは3か月続けてみてね^^

事務が数字を整えて社長を支える

社長の数字チェックを支える事務の役割

事務の役割は、数字を「作る」ことだけではありません。社長が判断しやすい形で「見せる」ことです。

  • 月次試算表を早めに出す
  • 工事別に数字を整理する
  • いつもと違う数字を、先に社長へ伝える

社長と事務が同じ数字を見て話せる会社は、判断が速く、トラブルにも強くなります。税理士への質問も「どうなってますか?」から「この原価が増えた理由は何ですか?」に変わっていきます。


私が毎月チェックしている数字と、そこから気づいたこと

月次チェックは「やった方がいい」ものではなく、「やらないと気づけない」ものです。事務として私が毎月見ている数字と、チェックして初めて気づけたことをお伝えします。

毎月必ず見る3つの数字

  • 各現場の粗利:工事ごとに利益が出ているか。赤字の現場を早く見つけるために欠かせません。
  • 販管費(販売費及び一般管理費):家賃・通信費・リース料など、毎月かかる会社全体の経費。増えていないかを見ます。
  • 材料費・外注費:原価の大半を占める2つ。工事ごとに予算とズレていないかを見ます。

チェックして実際に気づいた異変

ひとつは材料費の請求間違いです。仕入先の請求金額が、実際の納品数と合っていませんでした。確認して直してもらえましたが、チェックしていなければそのまま払っていたかもしれません。

もうひとつは経費の使いすぎです。販管費を月ごとに見ていると、前月より明らかに増えた科目に気づけます。「なぜ増えたのか」を掘り下げることで、いらない支出を早めに止められるようになりました。

販管費は現場の人に伝わりにくい

難しいと感じたのは、従業員への共有です。現場から「なぜこんなにお金がかかるの?」という声が上がったこともあります。材料費や外注費は分かりやすい一方、家賃・保険料・ソフト利用料などは現場からは見えにくいようです。

数字を共有するだけでなく、「この費用は何のためにあるか」を説明する機会をつくる。それが、会社全体で数字を意識するための近道だと感じています。


会計ソフトとの連携で効率化

会計ソフトと併用すると、チェックがさらにラクになる

このチェックリストは、弥生会計やマネーフォワード クラウド会計などの会計ソフトと組み合わせると、数字をそろえる手間が減ります。試算表や前月比較をソフトから出せれば、社長が見るのは結果だけで済みます。

「数字を見る仕組み」をつくることが、税理士任せから抜け出す第一歩です。ソフトの機能や料金は変わることがあるため、最新の内容は各社の公式サイトで確認してください。

\月次の数字を早く出せる会計ソフトを選ぶなら/

建設業向け会計ソフトの比較を見る

まとめ|月1回の数字チェックが会社を守る

社長がやるべきことは、経理を完璧に理解することではありません。

  • 月1回、決まった日に
  • 決まった12項目を
  • 決まった順番で確認し、次の行動を1つ決める

これだけで、感覚頼りの経営から抜け出せます。まずは今月、上の一覧表を印刷して、事務さんと30分だけ数字を見る時間をつくってみてください。

けいりん
けいりん
数字は「見る習慣」をつけるだけで強い味方になる!完璧を目指さず、まず今月の1回から始めてみようね♪

この記事のまとめ

  • 社長の数字チェックは月1回・15〜30分で足りる
  • 準備は月次試算表・売上請求一覧・現場別原価メモの3つ
  • チェックは全12項目(売上・請求・入金・原価・固定費・資金・次の行動)
  • 一覧表を印刷し、日にちと書式を固定して続ける

以上、おけいでした!

あわせて読みたい関連記事