自作ツールは使われない|社内で定着させた5つの工夫

自作ツールを社内で定着させた5つの工夫 事業とお金の管理
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おけい
おけい
苦労して作ったツールが、誰にも使われないまま放置されたことがあります。

業務ツールを自作したとき、本当に大変なのは作ることではありません。自分以外の人に使ってもらうことです。

私は出面を管理する仕組みを作りました。使うのは社長・番頭・事務の5人です。現場に出ている人も含まれます。

最初に作ったものは、ほとんど使われませんでした。使いにくかったからではありません。使う理由が、その人たちの側になかったからです。

この記事では、そこから定着させるまでにやったことを書きます。前回の「作り方」の続きです。

🔍 先に結論

  • 使われない原因は操作の難しさではなく、その人に得がないこと
  • 覚えることをゼロにする。説明が要る時点で負けている
  • 入力を頼むのではなく、入れ忘れをツールから知らせる

作ったツールが使われない3つの理由

作ったツールが使われない3つの理由

私がつまずいた順に挙げます。

理由1|入力する人に、得がない

これが一番大きい理由です。

出面を入力して楽になるのは経理です。入力する現場の人は、手間が増えるだけ。この構造のままでは、どんなに使いやすくしても続きません。

だから、入力する人にも返るものを作ります。私の場合は、自分の出面がその場で一覧で見られるようにしました。「何日働いたか」を自分で確かめられるのは、入力する側の得です。

理由2|今までのやり方と二重になっている

紙も残したまま新しい仕組みを足すと、両方やることになります。人はかならず慣れたほうに戻ります。

新しいほうに一本化する日を決めてください。どちらでもいい期間を長く置くほど、定着しません。

理由3|使い方を口で説明している

説明が必要なツールは、説明した人がいないと止まります。

私は最初、自分で手順を覚えていました。つまり私が休むと誰も使えない状態です。会社の道具としては失格でした。

じむねこ
じむねこ
マニュアルを配っても読んでもらえないんだよね〜。だから「読まなくても迷わない画面」にするのが先だよ!

使ってもらうためにやった5つのこと

使ってもらうためにやった5つのこと

工夫1|覚えることをゼロにする

目指すのは「押すところが1つしかない」画面です。

出退勤は、緑の「出勤」ボタンと赤の「退勤」ボタンだけにしました。時刻を手で入れる欄はあえて作っていません。

欄があると、何時と書くか考えます。考える時間があると後回しになります。押すだけなら、考える余地がありません。

Excelのツールも同じです。使い方を書いたシートに実行ボタンを置き、ファイルを開いたらボタンが目の前にある状態にしました。

工夫2|その人がいつも触っている道具の中に置く

新しいアプリを覚えてもらうのは、思っている以上に高い壁です。

経理まわりのツールはExcelの中に作りました。毎日開いているものの中にあれば、新しく覚えるものはゼロです。

現場の人にはスマホです。パソコンを開かない人たちなので、スマホのホーム画面にアイコンを置いて、そこから開けるようにしました。見た目は普通のアプリと変わりません。

工夫3|その人に要る画面だけを出す

全員に全部の機能を見せると、どれが自分の仕事か分からなくなります。

私の仕組みでは、人ごとに使える機能を選べるようにしました。出面を入れる人には出面の画面だけ。原価や金額の画面は出しません。

これは親切であると同時に、安全のための設計でもあります。見せる必要のないものは、はじめから見せない。詳しくは連載4本目で書きます。

工夫4|入力を頼まず、入れ忘れを知らせる

これが一番効きました。

以前は、入っていない人を私が探して、LINEで聞いていました。この確認作業そのものが、毎月まとまった時間を食っていました。

今は、その日の予定があるのに報告が入っていない人に、ツールのほうから知らせが出ます。本人の画面には赤いお知らせが出て、スマホにも通知が届きます。

ここで大事な条件がひとつあります。予定が入っていない日には、知らせを出さないこと。日曜や休業日にまで通知が飛ぶと、みんな通知そのものを見なくなります。

けいりん
けいりん
いらない通知が1回でも来ると、次から全部見てもらえなくなるよ!出す条件はしぼろうね^^

工夫5|守ってほしいことは、画面の中で伝える

口頭で伝えたルールは、1か月で忘れられます。

私は月に1回だけ、運用のルールが画面に出るようにしました。読んで「同意する」を押さないと先へ進めません。

毎日出すとただの邪魔です。月1回なら、全員が年12回は目を通します。朝礼で言い続けるより確実で、誰の手間も増えません。

「使い方の説明」はツールの中に書く

マニュアルを別ファイルで配るのはやめました。探す手間がある時点で読まれません。

Excelのツールなら、いちばん左のシートを「使い方」にします。そこに手順を書き、実行ボタンも同じシートに置きます。開いた瞬間に、やることが目に入る状態です。

Webのツールなら、その操作をする画面の中に一言だけ添えます。「押した場所も記録されます」のように、知らせるべきことはその場で短く。長い注意書きは読まれません。

広げる順番は「1人→1人→全員」

広げる順番は「1人→1人→全員」

できたものを、いきなり全員に配らないでください。3段階に分けます。

  1. まず自分だけで、本物の仕事に使う
  2. 次に、協力してくれる1人に使ってもらう
  3. 最後に全員へ

2番目が抜けがちですが、ここが一番大事です。自分以外の人が触った瞬間に、想定していなかった使い方が出てきます。

私の場合、自分の画面では問題なく動いていたものが、別の人のスマホでは名前が表示されないまま止まりました。全員に配ったあとでこれが起きていたら、一度失った信用を取り戻すのに何倍も時間がかかったはずです。

選ぶ相手は、パソコンが得意な人ではなく、いちばん苦手な人がおすすめです。その人が迷わず使えるなら、全員が使えます。

そして全員に広げるときは、いつから新しいほうに一本化するかを先に伝えます。「使える人から使ってください」では、いつまでも切り替わりません。

それでも使われないときに確かめること

それでも使われないときに確かめること

3つ確かめてください。

  1. その人の端末で、実際に動いていますか。自分のパソコンでしか試していないことがあります
  2. 入力に何秒かかっていますか。30秒を超えると、忙しい日に飛ばされます
  3. 入れたあと、何か返っていますか。入れっぱなしで何も起きないと続きません

私が軽く見ていたのは3番です。入力しても画面が何も変わらないと、入ったのかどうかが分かりません。不安なまま使う仕組みは、そのうち使われなくなります。入れた内容がその場で一覧に並ぶようにしただけで、聞かれる回数が減りました。

自作にこだわらないという選択

ここまで書いておいて何ですが、定着させる労力まで含めて考えると、市販のソフトが安いこともあります。

とくに会計や給与のように、制度が変わるたびに直しが必要な領域。ここは素直に買ったほうが確実です。自作するのは、売っていない作業だけで十分です。

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まとめ

自作したツールを社内で回すために効いたことをまとめます。

  • 使われない原因は操作の難しさではなく、入力する人に得がないこと
  • 覚えることをゼロにする。押すところは1つに絞る
  • 新しいアプリを覚えさせず、いつも触っている道具の中に置く
  • 入力を頼むのではなく、入れ忘れをツールから知らせる
  • ルールは口で言わず、月1回だけ画面に出す

私の場合、一番大きかった効果は入力が早くなったことではありません。「入っていない人を探す作業」がまるごと消えたことでした。

次回は、作ったツールを直し続ける話です。単価が改定されたとき、書類の様式が変わったとき、どこが壊れるのか。備えておけば怖くありません。

以上、建設業7年目のおけいでした!