注文書に工期の記載なしは違反?建設業法19条と正しい書き方

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注文書を作るたびに、工期の欄で手が止まる——そんな経験はありませんか。

「着工日はわかるけど、竣工日ってまだ決まってないし…」
「とりあえず”令和○年○月○日まで”と書いたけど、本当にこれで合ってるの?」
「元請けからもらった注文書と、うちが下請けに出す注文書、同じ書き方でいいの?」

建設業の事務に就いて間もないころは、工期の書き方を教わる機会がないまま「見よう見まね」で注文書を書いてしまいがちです。その結果、後から「工期が過ぎてるのに完成していない」「追加工事の工期はどうするんだ」と現場と揉めてしまうケースもあります。

工期は、ただの日付ではありません。工事の責任範囲を決める、最重要項目のひとつです。

おけい
おけい
こんにちは、建設業7年目のおけいです。届いた注文書の工期欄が空いていると、このまま受けていいのか迷いますよね。この記事では、建設業法の決まりと、注文書を受け取る側・出す側それぞれの対応をまとめました。
せきさんくん
せきさんくん
工期は契約の根拠!曖昧なまま進めると後でトラブルになることが多いんだ。一緒に正しい書き方を確認しよう^^

🔍 先に結論

  • 注文書には工期(工事着手の時期と工事完成の時期)を書く決まりがある(建設業法第19条第1項第3号)
  • 工期の欄が空いた注文書は、法律が求める記載事項がそろっていない。届いたら着工前に、工期を書いた注文書にしてもらうよう頼む
  • 書面の取り交わしは着工前が原則。日付が決まらないときも目安を書いておく
  • 工期が変わったら、口約束で済ませず変更の書面(覚書など)を残す

注文書に工期の記載がないときはどうする?

工期の欄が空いている注文書は、建設業法が求める記載事項がそろっていない状態です。建設業法第19条第1項は、請負契約を結ぶときに書面に書く事項を決めていて、その3番目が「工事着手の時期及び工事完成の時期」、つまり工期です。

この決まりは、注文する元請けだけでなく、請け負う下請けにもかかります。国土交通省のガイドラインでも、必要な記載事項を満たさない契約書面を交わすことは、第19条第1項違反の例に挙げられています。違反すると、許可を出した行政庁から指示を受けることがあります(建設業法第28条)。

届いた注文書に工期がないとき

  • 着工前に、工期を書いた注文書に直してもらうよう頼む
  • 日付が決まっていない部分は、目安だけでも書いてもらう
  • 頼んだ内容と返事は、メールなど記録が残る形でやり取りする

契約日は着工日より前にする

ガイドラインでは、契約書面の取り交わしは、災害などやむを得ない場合を除き着工前が原則です。工事が始まってから書面を交わすことも、違反の例に挙げられています。着工の前に書面がそろうよう、早めに頼みましょう。

注文書と請書の2枚だけでは足りないことがある

注文書と請書で契約するときは、あらかじめ基本契約書を交わしておくか、同じ内容の契約約款を注文書と請書の両方に付けます。工期・金額・工事内容は注文書と請書に、支払いの方法や変更のときの決めごとなどは基本契約書や約款に書く、という分け方です。

工期が曖昧なまま進むと何が起きるか

注文書の工期に困惑する現場監督のイラスト

建設現場では「とりあえず期日だけ書いておく」という慣習が根強く残っています。しかしその曖昧さが、後になって大きなトラブルに発展するケースは少なくありません。

① 追加費用の請求ができなくなる

工期が「◯月◯日まで」とだけ書いてあるのに、施主の都合で工事が遅延した場合。こちらが損害を被っているのに、工期の書き方が曖昧だと「最初からそういう契約だった」と押し切られてしまうことがあります。

工期は「いつからいつまで」を明記してこそ、交渉の根拠になります。

② 工事完成の基準が双方でズレる

「引き渡し日」と「工事完了日」は、実は別物です。工事が終わっていても、施主の検査待ち・書類の提出待ちで引き渡しが遅れることがあります。注文書の工期に「完成引き渡し」とだけ書いていると、「まだ引き渡してないじゃないか」と言われるリスクがあります。

③ 下請けへの責任転嫁が起きやすくなる

元請けが下請けに出す注文書の工期が、実際の作業可能期間より短く設定されていると、下請けは無理なスケジュールで仕事をさせられます。一方で「工期を守れなかった」と責任を問われやすくなる。この問題の根本は、元請けが工期を現実に即した形で書いていないことにあります。

せきさんくん
せきさんくん
工期のトラブルは「書き方が甘かった」という小さなミスから始まることが多いんだ。早めに見直しておこう!

工期が曖昧になる3つの原因

注文書の工期について議論するイラスト

原因① 「工期=完成日」という思い込み

工期は「着工日~完成日(または引き渡し日)」の期間全体を指します。ところが、完成日(または引き渡し日)しか書かない注文書が非常に多いです。着工日が書かれていないと、「いつから始める契約なのか」が曖昧になります。

着工日と竣工日(または引き渡し日)の両方を書くのが基本です。

原因② 工期変更の手続きを知らない

当初の工期が変わることは、建設現場では珍しくありません。天候・施主都合・材料の納期遅延など、様々な理由で工期は変わります。問題は、変更したことを書面で残していないケースが多いこと。口頭で「じゃあ○月まででいいよ」と言われても、注文書の工期を変更する覚書を交わさなければ、元の工期が有効なままです。

原因③ 建設業法の規定を意識していない

建設業法の第19条では、工事請負契約書に「工事着手の時期及び工事完成の時期」を記載することが義務付けられています。注文書と注文請書を取り交わして契約する場合も、書面にこうした事項を記載する必要があります。

「注文書だから多少曖昧でいい」は通用しない、というのが法律の立場です。

せきさんくん
せきさんくん
この3つの原因、どれか一つでも心当たりがあったら要注意だ!仕組みから見直す必要があるよ^^

正しい工期の書き方・考え方

注文書に正しい工期を書き込む事務員のイラスト

ポイント① 着工日と竣工日を両方書く

着工日と竣工日(または引き渡し日)の両方を記載するのが基本です。

工 期:令和○年○月○日 着工
    令和○年○月○日 竣工(完成引き渡し)

着工日が未定の場合でも「◯月上旬予定」「契約締結後○日以内」のように目安を書いておくと、後のトラブルを防げます。

ポイント② 「完成」と「引き渡し」を分けて考える

工事の完成(施工が終わる日)と、引き渡し(施主に鍵・書類を渡す日)は別の概念です。引き渡しまでに時間がかかる工事(大型物件・官公庁工事など)は、特にこの区別が重要です。建設業法第19条でも、「工事完成の時期」(第3号)と「引渡しの時期」(第11号)は別の項目です。注文書には「完成予定日」「引き渡し予定日」を分けて書いておくと安心です。

ポイント③ 工期変更は覚書で残す

変更が生じた場合は、必ず書面で残しましょう。シンプルな一枚ものでも、双方署名があれば証拠になります。変更理由も明記しておくと、後の確認がスムーズです。

「後でまとめて直せばいい」と思っていると、書面のない変更だけが積み重なります。

ポイント④ 下請けに出す場合は「元請け工期」より短くしすぎない

建設業法では、通常必要と認められる期間に比べて著しく短い工期で請負契約を結ぶことが禁止されています(建設業法第19条の5「著しく短い工期の禁止」)。注文する側だけでなく、請け負う側も、著しく短い工期で契約してはいけません(同条第2項)。実際の作業日数を踏まえた上で、現実的な工期を設定してください。

「元請けから厳しい工期を押しつけられたから、そのまま下に流す」は、法律違反になり得ます。

せきさんくん
せきさんくん
ポイントは4つだけど、まずは「着工日と竣工日を両方書く」これだけでもすぐ実践してみよう!

今日からできる具体的なアクション

チェックリストで確認作業をする事務員のイラスト

アクション① 今使っている注文書ひな形を見直す

現在使っている注文書のひな形に「着工日」の欄がない場合は、今すぐ追加しましょう。チェック項目は以下の3つです。

  • 着工日・竣工日(または引き渡し日)の両方が書かれているか
  • 工期変更時の手続き(覚書)のフローが社内に存在するか
  • 下請け工期が元請け工期に比べて極端に短くなっていないか

アクション② 工期変更の覚書テンプレートを作っておく

工期変更が発生するたびに一から書いていると、面倒で省略しがちになります。あらかじめ「工期変更覚書」のテンプレートをWordやExcelで用意しておくと、迷わず書面化できます。シンプルな1枚でも十分です。

アクション③ 建設業法の基礎知識を体系的に学ぶ

工期の問題は、建設業法の知識があるかどうかで対処の仕方が変わります。建設業法では、請負契約の書面に書くことが決められていて、「工事着手の時期及び工事完成の時期」もその一つです(第19条)。ひな形を見直すときは、この項目がそろっているかを確かめましょう。

せきさんくん
せきさんくん
まずひな形の見直しから!完璧にやろうとしなくていい。一歩踏み出すことが大切だよ^^

よくある質問

Q:着工日が決まっていないまま注文書を出してもいいですか?

A:着工日が確定していない場合は「令和○年○月上旬予定」「契約締結後○日以内」などの記載で対応できます。完全に未定のまま空欄にするのは、後からトラブルになりやすいので避けましょう。

Q:口頭で工期変更を合意したら覚書は必要ですか?

A:必要です。口頭合意は証拠が残らないため、後から「そんな話はしていない」というトラブルが起きやすいです。シンプルな1枚でも、双方が署名した書面があれば大きな安心材料になります。

Q:下請けへの工期設定でどれくらい余裕を持てばいいですか?

A:何日以上という法律上の基準値はありません。目安になるのは、中央建設業審議会が2020年7月に勧告した「工期に関する基準」です。休日や天候で作業できない日も含めて作業日数を見積もり、設定することが求められます。天候・材料納期・他の現場との兼ね合いなどを加味して、現実的な工期を組みましょう。

まとめ:工期は「日付」ではなく「契約の根拠」

工期の書き方を確認し合う現場監督と事務員のイラスト

注文書の工期で迷う気持ち、私もよくわかります。日々の業務に追われながら、一枚一枚の書類を丁寧に仕上げるのは大変なことです。

でも、工期の曖昧さは後になって必ず問題として戻ってきます。

今日から実践してほしい3つのことをおさらいします。

  1. 着工日と竣工日(引き渡し日)の両方を書く:これだけで工期トラブルのリスクが大きく下がります。
  2. 変更が生じたら覚書で残す:口頭合意は証拠になりません。1枚のシンプルな書面が命綱です。
  3. 下請けへの工期設定は現実的に:法律違反にならないよう、実際の作業日数を踏まえた工期を設定しましょう。

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以上、建設業7年目のおけいでした!