建設業の経理を分解して考える
「経理は全部、税理士に任せているから大丈夫」
そう思っている建設業の社長ほど、実は経営リスクを抱えています。
- 決算のたびに数字に驚く
- 利益は出ているのに資金が苦しい
- 現場は忙しいのに、何が原因か分からない
これは税理士が悪いのではなく、任せ方を間違えているケースがほとんどです。
この記事では、
建設業の経理業務を分解しながら
「税理士に任せるべき仕事」と「社長・社内でやるべき仕事」を明確にします。
そもそも税理士の役割とは何か
最初に整理しておきたいのは、
税理士の本来の役割です。
税理士は、
- 正しい帳簿をもとに
- 正しい税額を計算し
- 期限内に申告する
税務の専門家です。
一方で、
- 利益が出る工事の選び方
- お金が残る経営判断
- 現場別の採算管理
は、本来の業務範囲ではありません。
この線引きを曖昧にしたまま
「全部お任せ」してしまうと、経営判断が空洞化します。
建設業の経理を3つに分解して考える
建設業の経理は、大きく分けると次の3つです。
- 記帳・会計処理
- 原価管理
- 売上・請求・入金管理
この3つを分けて考えると、
「任せていい仕事/いけない仕事」がはっきりします。
① 記帳・申告業務|税理士に任せてよい仕事
任せて問題ない業務
- 日々の仕訳チェック
- 月次・年次決算書作成
- 法人税・消費税の申告
- 税務署対応
これらは、
税理士に任せるべき仕事です。
専門知識が必要で、
間違えるとリスクが高いため、
社内で無理に抱える必要はありません。
ただし注意点
よくある失敗が、
「記帳も全部丸投げして、数字を見ていない」
この状態です。
帳簿は作ってもらっているのに、
- 試算表を見ない
- 数字の意味を理解していない
結果、
決算書=年1回見る資料になってしまいます。
▶ 試算表をどう見るべきかは
② 原価管理|税理士に任せてはいけない仕事
原価管理は、
絶対に税理士任せにしてはいけません。
よくある誤解
- 税理士が原価管理もしてくれる
- 決算書を見れば原価は分かる
これは大きな誤解です。
税理士が見ているのは、
「会計上の数字」であって
「現場別の儲け」ではありません。
建設業で起きやすい原価管理ミス
- 材料費・外注費をまとめて処理
- 現場別に分かれていない
- 工事が終わってから赤字に気づく
この状態では、
「どの工事が儲かっているのか」
「どこで利益が削られているのか」
が分かりません。
原価管理は、
現場と一番近い人が見る数字です。
▶ 原価管理の考え方は
「建設業の原価管理|利益が残る会社の考え方」へ内部リンク
③ 売上・請求・入金管理|社内で仕組み化すべき仕事
売上管理も、
税理士に丸投げしてはいけない代表例です。
建設業特有の問題
- 完成工事基準で売上計上
- 請求は工事完了後
- 入金は翌月・翌々月
このズレを理解せずにいると、
- 請求漏れ
- 入金遅延
- 売上と現金のズレ
が頻発します。
税理士は「入金管理」まで見ない
税理士が見ているのは、
- 売上が計上されているか
- 数字が合っているか
であって、
- 本当に入金されたか
- いつ入金されるか
までは、通常管理しません。
売上・請求・入金は、
社内で管理する仕組みが必須です。
👉関連記事
「税理士任せ経営」になっている会社の共通点
建設業でよく見るのが、次の状態です。
- 会計ソフトは税理士任せ
- 社長は数字を見ない
- 経理担当も全体像を知らない
この状態では、
- 数字はあるが、使われていない
- 経営判断が感覚になる
という危険な経営になります。
任せ方を変えるだけで会社は変わる
うまくいっている建設会社は、
- 記帳・申告 → 税理士
- 原価・売上管理 → 社内
- 数字の確認 → 社長
という役割分担が明確です。
結果、
- 数字のズレに早く気づく
- 赤字工事を事前に止められる
- 資金繰りに余裕が出る
という好循環が生まれます。
会計ソフト・業務フローとの相性が重要
ここで重要なのが、
会計ソフトと業務フローの設計です。
- 社内で見たい数字が取れない
- 税理士用の帳簿しかない
この状態では、
いくら意識を変えても意味がありません。
👉関連記事
まとめ|「任せる」と「丸投げ」は違う
- 税理士は税務のプロ
- 経営判断の数字は社長の仕事
- 原価・売上管理は社内の役割
すべてを抱える必要はありませんが、
手放してはいけない数字はあります。
税理士に正しく任せ、
社長が数字を把握する。
それが、
建設業で会社を強くする経理体制です。





