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🔍 先に結論
- 生成AIは「完成品」ではなく「たたき台」を作らせると、ゼロから書く手間が減る
- 使いどころは施工計画書・KY表などの安全書類・近隣へのお知らせやメールの3つ
- 社名・現場名・金額は伏せて入力し、法令や数値は必ず人が原典で確認する
- 最初は書類を作る担当者1人が、1種類の書類から試すのが続くコツ
建設業の書類作成が大変な理由

建設業は、法令・役所・元請けから求められる書類がとても多い業界です。
- 施工計画書・工種別施工計画書
- 安全衛生計画書・KY(危険予知)活動表・ヒヤリハット報告書
- 施工体制台帳・施工体系図
- 工事日報・打ち合わせの議事録
- 近隣へのお知らせ文・元請けへの報告メール
- 協力会社への注文書・請書
大変なのは、量の多さだけではありません。「似ているけど、毎回少しずつ違う」ことが本当の負担です。
施工計画書は現場の条件が毎回違います。安全書類は元請けごとに様式が違います。報告書は、書く人の文章力で出来がバラつきます。テンプレートを用意しても、結局は構成から考え直す時間がかかるのです。
中小の建設会社では、専任の書類担当がいないことも多く、現場の担当者や事務・経理が本業と並行してこなしています。2024年4月からは建設業にも時間外労働の上限規制が適用され、書類にかける時間を減らす工夫がますます欠かせなくなりました。

工事書類で生成AIが使える3つの場面

① 施工計画書のたたき台をつくる
ChatGPTなどの生成AIに、工事の種類・工期・規模・工法といった条件を伝えると、章立てのある施工計画書のたたき台が数分で出てきます。
ポイントは完成品を求めないことです。出てきた構成を見ながら、実際の現場条件や元請けの指定様式に合わせて直していきます。「安全管理と近隣への配慮を厚めに」のように、重点にしたい項目を一緒に伝えると、直す量が減ります。
大手ゼネコンでも、社内向けの生成AIを整える動きがあります。たとえば鹿島建設は2023年8月の発表で、グループ従業員約2万人を対象に専用の対話型AI「Kajima ChatAI」の運用を始めたと公表しています。中小の会社でも、汎用の生成AIを使えば下書きづくりから始められます。
② KY表・ヒヤリハット報告書など安全書類の文章
安全書類は、まず元請けの指定を確認するのが先です。私の会社では、安全書類は建設サイトに登録されている書類に記入したり、現場で作成したりしていて、私が一から作ったことはありません。様式が決まっている書類は、その様式に書き込むのが基本です。
AIの出番は、様式の中の「文章を考える部分」です。たとえばKY表なら、「〇〇作業で想定される危険と対策を3つずつ」と頼むと、候補がすぐに出てきます。ヒヤリハット報告書も「発生状況・原因・対策」の順で下書きを作らせれば、文章が苦手な人でも書き始めやすくなります。
私も、元請けから化学物質のリスクアセスメントのExcelが届いたとき、使っている接着剤2種類について、AIに手伝ってもらいながら自分で作りました。調べものの出発点としてAIを使い、中身は自分で確かめる使い方です。
ただし、KY活動は作業する人たちが自分で危険を考えることに意味があります。AIの案はあくまで話し合いのきっかけにして、その日の現場で出た意見を書き込みましょう。

③ 近隣へのお知らせ文・元請けへのメール
工事前に配る近隣へのお知らせ文、元請けへの進捗報告、協力会社への依頼メールも、生成AIの得意分野です。「騒音・振動のお知らせ文を丁寧な表現で」と頼むだけで、礼儀正しい文面が出てきます。書く人によって文章の出来がバラつかなくなるのもメリットです。
私も、見積書に添える文章や取引先へのメールの下書きはAIに作ってもらい、自分の言葉に直してから送っています。書き出しで悩む時間がなくなるだけでも、だいぶ楽になります。
ほかにも使える場面:議事録の整理と下調べ
打ち合わせのメモを整える作業にも使えます。私は会議中はキーワードと数字だけメモしておき、終わってからAIに「発注者に提出する議事録の形に整えて」と頼んだことがあります。
初めて担当する工種のときは、先輩に聞く前の下調べとして「〇〇工事の一般的な工程と必要な資材」をAIに聞いています。ただし、法令や基準の答えをそのまま信じるのは危険です。AIは調べものの出発点と考え、最終的な判断は一次資料や専門家で確かめましょう。
そのまま使えるプロンプト例(AIへの頼み方)
AIへの頼み方(プロンプト)で、出てくる文章の出来が変わります。あいまいに頼むと、あいまいな答えが返ってきます。次の4つを入れるのがコツです。
- 役割:「あなたは建設会社の施工管理担当です」
- 条件:工事の種類・工期・規模・使う機材
- 形式:「箇条書きで」「A4一枚程度で」
- 目的:「元請けに提出する施工計画書の概要として」
社名・発注者名・現場の住所・金額は、「A社」「〇〇市」「〇〇円」のように伏せて入力します。出てきた下書きに、あとから本物の情報を当てはめれば安全です。
施工計画書の概要
「あなたは建設会社の施工管理担当です。以下の条件で施工計画書の概要版を作成してください。【工事名】〇〇道路改良工事【工期】〇年〇月〜〇年〇月【工法】アスファルト舗装【施工場所】〇〇市内 形式はA4一枚程度の箇条書きで、安全管理・品質管理・工程管理の3項目を含めてください。」
KY表の危険と対策
「本日の作業:高所でのコンクリート型枠の解体作業。想定される危険と対策を5つ、KY活動表の形式で書いてください。」このように作業内容を具体的に入れると、候補が数秒で出てきます。
近隣へのお知らせ文
「〇〇工事に伴う騒音・振動のお知らせ文を作成してください。工事期間は〇月〇日〜〇月〇日、作業時間は8時〜17時。近隣の方へ向けた丁寧な表現でお願いします。」
元請けへの報告メール
「以下の状況を、元請けの現場代理人に報告するメール文を作成してください。【報告内容】今週の工程が台風の影響で2日遅れている【対応策】来週中に挽回する予定 丁寧で簡潔なビジネスメールの形式で。」
過去の書類を見本にする
以前に作った書類の文章を貼り付けて、「この形式で、今回の工事に合わせて書き直して」と頼む方法もあります。自社の書き方に近い下書きが出てくるので、直す量が減ります。ChatGPTではファイルを読み込ませることもできます(使える機能や回数はプランによって違います)。貼り付ける前に、社名・個人名・金額は必ず伏せてください。

生成AIで書類を作るときの注意点
社外秘・個人情報は入力しない
ChatGPTなどの外部のAIサービスに、発注者名・工事名・現場の住所・見積金額・作業員の個人情報を入力するのはNGです。未公開の情報も同じです。サービスによっては、入力した内容がAIの改善に使われる設定もあります。会社で使うなら、設定と利用規約を確認し、「入れてよい情報・ダメな情報」を社内ルールにしておきましょう。大手ゼネコンが社内専用のAIを整えている理由のひとつも、この情報漏れの心配です。
「もっともらしい間違い」に注意
生成AIは、事実と違うことをもっともらしく書くことがあります(ハルシネーション)。労働安全衛生法などの法令や、安全基準の数値は特に要注意です。必ず法令の原文や国・行政の資料で確認してください。
最終確認は必ず人がする
AIが作った書類を、そのまま提出しないのが基本ルールです。現場の安全に関わる書類は特に、担当者が中身を確かめてから出してください。AIは「下書きを速く作る道具」で、書類の責任を持つのは人です。

中小建設会社での始め方3ステップ
私は以前、AIのツールを社内全体で使ってもらおうとしたことがあります。でも、パソコンに慣れていない人には難しく、結局は私だけが使う状態になりました。だからこそ、最初から全員に広げようとせず、書類を作る担当者1人から始めるのがおすすめです。
- 無料版で試す:OpenAIの公式サイトからChatGPTを開きます。普段使っているパソコンのブラウザで使え、無料版でも基本的な下書きは作れます。
- いつも時間がかかる書類を1つ選ぶ:次の現場の施工計画書の章立て、よく使う作業のKY表、近隣へのお知らせ文など、1種類だけで試します。
- うまくいった頼み方を残す:使えたプロンプトをExcelやメモにまとめておきます。「施工計画書用」「お知らせ文用」とストックすれば、次からは直すだけで済みます。

それでもAIが怖い人へ:仕組みから学ぶという選択肢
ここまで読んでも「会社の書類をAIに触らせるのは、やっぱり怖い」と感じる方もいると思います。その怖さの多くは、AIが何をしていて、どこまで任せてよいのかが見えないところから来ています。
私は経理の仕事のかたわら、AIに手伝ってもらいながら請求・入金を管理するツールを自分で作り、会社で使っています。見積書の単価入力も、自作のツールで1〜2時間かかっていたのが1時間未満になりました。使ってみて分かったのは、仕組みを知るほど「AIに任せてよいこと」と「人が確かめること」の線引きがはっきりして、怖さが減るということです。
腰をすえて学びたい方には、プログラミング未経験の人向けの講座「AI Agent Camp」があります。Claude Code・Cursor・Codexといった、AIに作業を任せる道具(AIエージェント)の使い方を、準備の段階から学べる月額制のオンライン講座です。カリキュラムには「セキュリティと安全性」の単元があり、24時間質問できるAIチューターも付いています。
申し込む前に、次の点は確認しておきましょう。
- 月額制で、いつでも解約できます(料金は公式サイトで確認してください)
- Claude Codeなどのツールの利用料は、講座とは別にかかります
- Windowsのパソコンでは、WSL2(Windowsの中でLinuxを動かす仕組み)の準備が必要です
- 書類の下書きだけなら、まずは無料のChatGPTで十分です。講座は「AIで仕事のやり方そのものを変えたい」と思った人向けです
書類作成で浮いた時間をどう使うか
書類の下書きが速くなると、その分の時間が空きます。書類づくりは手段なので、本来やるべき仕事に時間を回せることが一番の価値です。
- 現場の安全巡視や品質の確認
- 次の工事の下調べや見積もり
- 協力会社との打ち合わせ
- 若手の指導
書類が速く作れるようになると、「この書類は本当に必要?」と見直すきっかけにもなります。施工管理アプリ(ANDPADなどの建設業向け施工管理アプリ)で現場の情報をまとめるのも、ひとつの方法です。
事務・経理の担当者なら、次に時間がかかるのは会計の入力作業です。銀行明細の取り込みや仕訳の入力は、クラウド会計ソフトで手間を減らせます。
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まとめ:書類は「ゼロから作る」をやめて「AIの下書きを直す」へ
建設業の書類そのものは減りません。でも、ゼロから考える時間は減らせます。
- 施工計画書は、条件を伝えてたたき台を作らせ、現場に合わせて直す
- 安全書類は元請けの様式が先。AIは文章を考える部分と、KYの話し合いのきっかけに使う
- お知らせ文やメールは、AIの下書きで文章の出来をそろえる
- 社名・金額・個人情報は伏せて入力し、法令や数値は原典で確認する
- 最終確認は必ず人がしてから提出する
今日やることは1つだけです。いつも一番時間がかかっている書類を1つ選んで、AIに下書きを頼んでみてください。うまくいった頼み方を残していけば、来月の書類仕事は確実に軽くなります。
書類の次は、経理の入力作業も見直してみませんか。会計ソフトは無料のお試しで、自社に合うか確かめられます。
以上、建設業7年目の経理担当・おけいがお届けしました♪


