― どんぶり経営から抜け出す「現場別数字」の持ち方
はじめに|なぜ建設業は「忙しいのに儲からない」のか
建設業の社長から、最も多く聞く悩みがこれです。
- 仕事は途切れない
- 現場も回っている
- 売上も上がっている
それなのに、
- 利益が思ったほど残らない
- 決算後に「こんなはずじゃなかった」と感じる
- お金が増えた実感がない
この原因の多くは、原価管理ができていないことにあります。
原価管理と聞くと、
「経理の仕事」「難しそう」
と思われがちですが、実は社長のための数字管理です。
原価管理=「細かく記録すること」ではない
まず大きな誤解を正します。
原価管理とは、
- 1円単位で完璧に管理すること
- 経理ソフトを使いこなすこと
ではありません。
原価管理の本質は、
「この現場は、今いくら使って、最終的にいくら残りそうか」
を社長が把握できているかどうかです。
建設業で原価管理が難しい理由
① 現場が同時に複数動く
- 現場Aは仕上げ
- 現場Bは着工
- 現場Cは見積段階
原価の進み方がバラバラになりやすく、
会社全体の数字だけ見ても判断できません。
② 材料費・外注費が先に出る
建設業では、
- 材料は先に仕入れる
- 外注費も先払いが多い
- 請求・入金は後から
この構造が、
「利益は出ているのにお金がない」
状態を生みます。
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「建設業で利益が出ているのにお金が残らない理由」
③ 原価のズレに気づくのが遅い
原価管理をしていないと、
- 赤字現場に工事終盤まで気づかない
- 値引き交渉ができない
- 次の見積に活かせない
という悪循環に陥ります。
「利益が残る会社」と「残らない会社」の違い
利益が残らない会社
- 原価をまとめて月末に見る
- 現場ごとの利益を把握していない
- 「終わってみないと分からない」
利益が残る会社
- 現場別に原価を把握している
- 途中段階で「使いすぎ」に気づける
- 見積・交渉・次回工事に活かしている
違いは、**管理の精度ではなく“見るタイミング”**です。
社長が最低限おさえるべき「原価の考え方」
原価は3つに分けて考える
原価を一括で見ると分かりません。
最低限、次の3つに分けます。
- 材料費
- 外注費(常用・材工共)
- その他経費(運搬・雑費など)
「細かすぎる」と感じる必要はありません。
ざっくりで十分です。
見るべきは「率」
金額より重要なのは、
- 原価率
- 粗利率
です。
例)
- 見積原価率:70%
- 現在原価率:78%
この時点で、
「このまま進むと利益が減る」
と判断できます。
原価管理ができると何が変わるか
① 赤字現場を途中で止められる
- 追加請求
- 仕様変更交渉
- 無駄な作業の見直し
工事中に手を打てるのが最大のメリットです。
② 見積精度が上がる
過去の原価データがあれば、
- 外注費の相場
- 材料費のブレ
- 利益が出やすい工事
が見えてきます。
③ 社長の判断スピードが上がる
原価が見えていると、
- この仕事を受けていいか
- 値引きに応じていいか
を即判断できます。
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原価管理を始める現実的ステップ
STEP1|現場別に分ける
まずはこれだけで十分です。
- 現場A
- 現場B
と分けて、
「どの現場にいくら使ったか」を把握します。
STEP2|完璧を目指さない
原価管理で一番の失敗は、
「ちゃんとやろうとして、何もしない」
- 月1回
- ざっくり
- 合っていなくてもOK
続けることが最優先です。
STEP3|ツールを使う
Excel管理に限界を感じたら、
- 会計ソフト
- 原価管理機能
を活用すると一気に楽になります。
▶ 比較記事
「建設業に強い会計ソフト比較|弥生とマネーフォワード」
原価管理は「経理任せ」にしない
原価管理は、経理作業ではありません。
- 経理:数字をまとめる
- 社長:数字で判断する
この役割分担ができると、
会社の利益体質が変わります。
まとめ|原価が見えれば、経営は怖くない
原価管理ができるようになると、
- 利益の理由が分かる
- 赤字の原因が分かる
- 次の一手が打てる
ようになります。
まずは、
「今動いている現場の原価」
を一度、紙に書き出してみてください。
そこが、
どんぶり経営から抜ける第一歩です。



