― 建設業の社長が今すぐ知るべき「数字の持ち方」
はじめに|「税理士がいるから大丈夫」と思っていませんか?
建設業の社長から、次のような声をよく聞きます。
- 税理士に任せているから経理は分からなくていい
- 決算のときに初めて利益を知る
- 黒字と言われているのに、なぜかお金が残らない
結論から言うと、税理士に丸投げしている会社ほど、資金繰りに悩みやすい傾向があります。
これは税理士が悪いのではなく、役割の違いを誤解していることが原因です。
この記事では、
- なぜ「税理士任せ」が危険なのか
- 社長が最低限持つべき数字とは何か
- 税理士と“正しく”付き合うための考え方
を、建設業の実務目線で整理します。
税理士の本来の役割とは?
まず前提として、税理士の主な役割は次の3つです。
- 税務申告(法人税・消費税など)
- 税務上のチェック・助言
- 税務リスクの回避
つまり、**税理士の仕事は「過去の数字を税務的に正しく処理すること」**です。
一方で、社長が本当に知りたいのは次のようなことではないでしょうか。
- 今月、この現場はいくら儲かっているのか
- 来月の支払いに資金は足りるのか
- 借入返済を続けていけるのか
これらは経営判断のための数字であり、税理士の専門外です。
「黒字なのにお金がない」建設業が多い理由
建設業でよくある失敗が、次の状態です。
- 損益計算書(PL)は黒字
- でも通帳残高は増えない
- 支払い前になると不安になる
これは、利益とお金の動きが一致しない業界構造が原因です。
建設業特有のズレ
- 工事完了基準・請求タイミングのズレ
- 外注費・材料費の先払い
- 入金は数か月後
このズレを把握せずに
「税理士が黒字と言っているから大丈夫」
と判断すると、資金ショートの危険があります。
税理士に丸投げしている会社の共通点
多くの会社を見てきて、共通する特徴があります。
- 月次試算表をほとんど見ていない
- 売上や原価の内訳を把握していない
- 現場別の利益が分からない
- 社長が数字を聞くのは決算時だけ
この状態では、経営のハンドルを握っていないのと同じです。
社長が最低限「持つべき数字」5つ
税理士依存から抜けるために、社長が把握すべき数字は多くありません。
最低限、次の5つです。
- 月次売上
- 月次利益(概算でOK)
- 現場別の原価と粗利
- 未入金・未払金の残高
- 現預金残高と今後の支払い予定
これらは専門知識がなくても理解できる数字です。
▶ 詳しくは
「社長が月1回やる数字チェックリスト」
税理士に任せていい仕事・任せてはいけない仕事
ここが最も重要なポイントです。
税理士に任せていい仕事
- 税務申告
- 税務相談
- 税制改正対応
社長(または社内)が持つべき仕事
- 売上・請求管理
- 原価・外注費の把握
- 資金繰り管理
- 月次試算表の確認
数字を「作る・使う」部分は社内、
税金の専門判断は税理士
この役割分担が理想です。
税理士依存から抜けるための3ステップ
いきなり全部を変える必要はありません。
次の3ステップで十分です。
STEP1|月次で数字を見る習慣を作る
完璧な数字でなくて構いません。
「毎月見る」ことが最優先です。
▶ 関連記事
「建設業の月次試算表の作り方・見方」
STEP2|売上・原価・入金を分けて管理する
- 売上管理
- 原価管理
- 入金管理
これを一緒に考えると混乱します。
▶ 関連記事
「建設業の売上管理|請求漏れ・入金ズレを防ぐ仕組み」
「建設業の原価管理|利益が残る会社の考え方」
STEP3|ツールを使って“見える化”する
Excel管理に限界を感じたら、
建設業向け会計ソフト・管理ツールを使うのが近道です。
▶ 比較記事へ内部リンク
「建設業に強い会計ソフト比較|弥生とマネーフォワード」
税理士と「対等に話せる社長」になる
数字を持つと、税理士との会話が変わります。
- 「今期の利益はどうなりそうですか?」
- 「この投資、税務的に問題ありますか?」
一方的に説明を受ける立場から、
判断する側へ変わることができます。
これは、社長にとって大きな武器です。
まとめ|税理士は「丸投げ先」ではなく「パートナー」
税理士依存から抜けることは、
税理士を否定することではありません。
- 数字は社長が持つ
- 税務は税理士に任せる
この分業ができた会社ほど、
利益も資金も安定しています。
まずは
「今月の数字を10分見る」
ここから始めてみてください。





