はじめに|月次試算表、見ていますか?
「決算のときに税理士さんが作るもの」
「正直、見てもよく分からない」
月次試算表について、こう感じている建設業の事務担当者・経営者の方は少なくありません。
しかし実際には、
**月次試算表は“会社の健康診断表”**のような存在です。
- 今月、儲かっているのか
- 原価は想定通りか
- 資金繰りは大丈夫か
これらを早い段階で把握できるのが、月次試算表です。
この記事では、建設業の事務として
月次試算表の作り方・見方・活かし方を、実務目線で分かりやすく解説します。
月次試算表とは何か
月次試算表とは、毎月の取引を集計して作成する
簡易的な損益計算書・貸借対照表のようなものです。
決算書との大きな違いは、
- 毎月作る
- 細かい調整はしない
- スピード重視
という点です。
なぜ建設業に月次試算表が必要なのか
工事が長期にわたる
建設業は、工事期間が数か月〜1年以上になることもあります。
決算まで数字を見ないと、赤字工事に気づくのが遅れるというリスクがあります。
原価変動が大きい
材料費・外注費・人工費が月ごとに大きく変動するため、
毎月の数字確認が非常に重要です。
👉 原価管理について
▶ 建設業の原価管理をラクにする方法
月次試算表を作るための前提条件
① 仕訳が月内に終わっている
月次試算表は、仕訳が終わっていなければ作れません。
- 未収入金・前受金
- 未払金・前払金
これらを正しく処理していることが前提です。
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② 売上計上のルールが決まっている
- 請求基準
- 完成基準
- 出来高基準
どのルールで売上を計上しているかが曖昧だと、
月次試算表の数字もブレます。
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建設業の月次試算表の作り方【実務手順】
ステップ①:当月分の仕訳入力を完了させる
- 領収書
- 請求書
- 外注費
- 給与仕訳
入力漏れがないかを確認します。
ステップ②:原価を月次で集計する
工事別原価を月ごとに把握することで、
- 赤字工事
- 利益が出ている工事
が見えてきます。
👉 原価管理が曖昧な場合
▶ 建設業の原価管理をラクにする方法
ステップ③:試算表を出力する
会計ソフトで「月次試算表」を出力します。
細かい修正は後回しで問題ありません。
月次試算表の見方【ここだけ押さえればOK】
売上高
- 前月との比較
- 想定との差
工事進捗と大きくズレていないかを確認します。
売上原価
- 材料費
- 外注費
- 労務費
特定の費目だけ急に増えていないかをチェックします。
粗利益(売上総利益)
建設業では、粗利益が最重要指標です。
- 工事の取り方
- 見積精度
が数字に表れます。
経費
- 車両費
- 通信費
- 事務所経費
ここは「大きな増減」がないかを見る程度でOKです。
利益(営業利益)
月次では「ざっくり黒字か赤字か」が分かれば十分です。
よくある月次試算表の失敗例
- 決算と同じ精度を求めて止まる
- 仕訳が追いつかず作らない
- 見ても活用しない
月次試算表は
**「完璧よりスピード」**が何より重要です。
月次試算表を活かすコツ
社長に全部説明しようとしない
- 今月の利益
- 気になる工事
- 来月の見通し
この3点だけ伝えれば十分です。
毎月同じタイミングで作る
- 月初〇日まで
と決めることで、作業がルーティン化します。
一人事務こそ月次試算表が武器になる
一人で経理・事務を担当している場合、
月次試算表は「自分を守る資料」になります。
- 仕事をしている証拠
- 数字で説明できる材料
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まとめ|月次試算表は「会社の現在地」を知る道具
月次試算表は、難しい分析資料ではありません。
今の会社の状態を把握するための道具です。
- 完璧を目指さない
- 毎月作る
- 数字の変化を見る
これだけで、建設業の経理・事務は一段レベルアップします。





